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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
グリクシス・サクリファイス(スタンダード)
以前に《死の飢えのタイタン、クロクサ》を用いるモダンデッキを紹介した。コストが2マナと軽いのを活かして、《万面相、ラザーヴ》でコピーになって早いターンから殴るというデッキ構築が魅力的なリストだった。
あれから少し時間も経って、スタンダードでもクロクサを有効に用いるデッキが増えてきた。赤黒2色で、生け贄に捧げるその能力から《波乱の悪魔》と組み合わせることで効果的に用いることが可能で、また自身の能力で生け贄に捧げる前に《魔女のかまど》のコストに充ててしまえば食物が2つ生成できるなど、「ラクドス・サクリファイス」デッキとの相性の良さが注目されてきた。参考になるリストも増えてきて、同じタイタンである《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に押されていた環境初期とはだいぶ風向きが変わってきた。
今日はそんなクロクサを用いた生け贄系デッキのサンプルを紹介!……と行くんだけども、ちょっと個性的なリストを取り上げさせていただこう。正直、最初に見た時はなんやこれと。詰め込み過ぎだろうよと思わなかったわけではないが…使ってみるとこれが妙に馴染む、馴染むぞ。
4 《沼》 3 《山》 1 《島》 4 《血の墓所》 3 《湿った墓》 4 《蒸気孔》 2 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《大釜の使い魔》 1 《脚光の悪鬼》 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《万面相、ラザーヴ》 1 《戦慄衆の解体者》 4 《波乱の悪魔》 1 《湖に潜む者、エムリー》 1 《悲哀の徘徊者》 2 《半真実の神託者、アトリス》 1 《メア湖の海蛇》 -クリーチャー(23)- |
4 《魔女のかまど》 2 《初子さらい》 3 《ティマレット、死者を呼び出す》 1 《影槍》 1 《エンバレスの宝剣》 1 《王家の跡継ぎ》 -呪文(12)- |
3 《戦慄衆の解体者》 2 《エンバレスの盾割り》 1 《悲哀の徘徊者》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《初子さらい》 1 《ショック》 2 《壮大な破滅》 2 《害悪な掌握》 1 《焦熱の竜火》 -サイドボード(15)- |
あまりの1枚挿しの多さに、このデッキでの対戦を配信していると視聴者から「ブロールかな?」なんてコメントがあったほどだ。思いついたカードを片っ端から放り込んで、削れるところを無理やり整えた感じのこのリスト……正直、こういうリストが好きってプレイヤーもいるだろう。かく言う僕もね……。
とりあえず目を引くのは《メア湖の海蛇》なのは間違いない。
こいつは土地を生け贄に捧げる能力を持っているので、これでザクザクと捧げて《波乱の悪魔》マシンガンを誘発させていこうという魂胆。サイズもデカいので、グダグダになった時にポンと出てきて1枚で勝負を終わらせてくれる可能性も。墓地に落ちた状態なら、対戦相手の墓地を5枚食って手札に帰ってくる。そう、これで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》とかその脱出の種として溜まっている墓地を根こそぎいただいちゃおうってわけだ。
青を足したのはこの海蛇のためだけというわけではなく、メインとなるのは《万面相、ラザーヴ》。
冒頭でも触れたモダンのデッキで使われたギミックが、最近はスタンダードでもなかなかに決まる。中速のデッキが環境に増えてきたので、ラザーヴが案外生き延びて無事にクロクサに変身し、対戦相手に殴るところまで行けるケースが多いのだ。手札を1枚奪って、それが土地だったら3点・そもそも捨てられなくても3点と、容赦のない追加ダメージで追い打ちをかける6/6のプレッシャーはなかなか他のカードでは真似できない。
このラザーヴでの変身をサポートするのが《ティマレット、死者を呼び出す》。
自分のライブラリーを墓地に落とすことでラザーヴの能力の対象となるクロクサやその他のクリーチャーにアクセスし、ついでにゾンビを並べて盤面を固めてくれるナイスな1枚。この手の生け贄デッキでは定番の、《魔女のかまど》の相方である《大釜の使い魔》もここから発見してグルグル回り出したりする。もちろん、《メア湖の海蛇》もだ。
《ティマレット、死者を呼び出す》と同じく墓地にカードを落とす役割を担いながら、トークンを出すのとはまた違ったアプローチでゲーム展開を助けてくれるのは《湖に潜む者、エムリー》だ。
彼女は墓地からアーティファクトを唱えられるようにしてくれるので、これでキーカードである《魔女のかまど》を拾うわけだが、それしか対象がないってのはなんだか物足りない。そんなわけで、このデッキは《影槍》と《エンバレスの宝剣》を1枚ずつ仕込んでいる。
さすがにこのデッキが宝剣を振り回してくるのは対戦相手も想像していないので、裏をかかれて度肝を抜かれるってなもんだ。伝説の装備品を担いだクロクサはまさしくゲームを終わらせる存在となる。実に気持ちがいい。
他にも、ちょっと紹介しきれないが1枚挿しを中心に意欲的な構築が取り入れられている。それぞれにどんなデッキ相手に効くのか、その役割ははっきりと分かれている。対戦相手が使ってくるデッキ傾向からこの辺を調整していくと、より馴染む形に仕上がってくれることだろう。
ちなみにこのデッキを実際に作ったプレイヤーの声を聴くことがあったのだが、どうも調整していくうちに《メア湖の海蛇》は抜けてしまったとのこと。ちょっと残念ではあるが、このカラーリングのかまどデッキは真剣に煮詰めていくだけの可能性を持ったリストであるということでもある。もちろん、海蛇がカッコイイから使い続けるぞという姿勢もマジックを楽しむ上では大事なことなので、各自の好きなように遊んでほしいね。
ただひとつ、一点の曇りもなく言い切れることはある。回していて楽しいデッキであるってことだ。それだけは保証するよ!
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