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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ティムール・アドベンチャー(スタンダード)

岩SHOW

 MTGアリーナは誰でも気軽にマジックを始められるという点で優れた媒体である。カードを集めていく喜びも体験でき、毎日コツコツとパーツを得ていって初めて理想のデッキが完成した時には、初心者だけが味わえる達成感も得られるだろう。

 カジュアルなプレイに留まっても良いし、あるいはよりハイレベルな競技の世界へと繋がっているのもアリーナの良いところだ。ランク戦で腕を磨き、月ごとに上位に入賞することでさまざまなイベントへの招待を勝ち取れるチャンスが巡ってくる。

 また、これを用いたトーナメントも世界中で開催され、巨額の賞金を得ることも可能だ。先日、アメリカはアナハイムでも「Dreamhack Anaheim 2020」という大型のeスポーツイベントが開催され、MTGアリーナのオープンイベントも開催された。優勝賞金は30,000ドル! また、次なるステージであるミシックインビテーショナルへの招待も獲得可能とあって、非常に大きなもののかかったトーナメントであった。いやぁ、新しい時代が始まってるんだなと実感するね。

 このトーナメントを勝ち抜いたデッキは「ティムール・アドベンチャー」だ!

Aaron Gertler (littlebeep) - 「ティムール・アドベンチャー」
DreamHack Magic Arena Open Anaheim 2020 優勝 / スタンダード (2020年2月21~23日)[MO] [ARENA]
6 《
4 《
2 《
4 《繁殖池
1 《神秘の神殿
4 《踏み鳴らされる地
2 《奔放の神殿
3 《蒸気孔
1 《天啓の神殿

-土地(27)-

4 《エッジウォールの亭主
4 《願いのフェイ
4 《砕骨の巨人
4 《厚かましい借り手
4 《恋煩いの野獣
4 《豆の木の巨人

-クリーチャー(24)-
4 《幸運のクローバー
3 《僻境への脱出
1 《グレートヘンジ
1 《孵化 // 不和

-呪文(9)-
1 《神秘の撤回
3 《霊気の疾風
1 《軽蔑的な一撃
1 《否認
1 《投げ飛ばし
1 《自然への回帰
1 《ドムリの待ち伏せ
1 《魔術遠眼鏡
1 《過去と未来
1 《嵐の怒り
1 《僻境への脱出
1 《影槍
1 《目覚めた猛火、チャンドラ

-サイドボード(15)-
Aaron Gertler氏のTwitter より引用)

 

 最近、ランク戦でミシックランク一桁台を争っているようなプレイヤーの間で注目されているこのデッキ。優勝者もこのデッキでの121マッチ中なんと100勝という大変に高い勝率を記録している。

 「アドベンチャー」デッキの名の通り、キーとなるのは出来事能力を持ったクリーチャーたち。

 《幸運のクローバー》が出ている状態でこれらを出来事で唱え、コピーを作る。

 《恋煩いの野獣》で人間・トークンを2体生成、《砕骨の巨人》で計4点ダメージ、《厚かましい借り手》で2枚バウンス……いずれもコスト比で考えれば他のカードでは得られないほどの効率の良さだ。

 中でも《豆の木の巨人》は驚異的。

 土地を2枚サーチして使用可能なマナをグッと増やす。しかもこの出来事で持ってくる土地はアンタップ状態なのが強い。2ターン目クローバー、3ターン目豆の木から得た2マナで巨人や借り手を……という動きはムチャ強だ。もちろん、これらの出来事はクローバーが2枚以上あれば、もう祭りレベルに強くなるのは言うまでもない。

 出来事として唱えた後は、クリーチャーとしてもう一度唱えて戦力に。《エッジウォールの亭主》でドローもできれば完璧だ。

 これらのクリーチャーをプレイしていれば、気がつけばゲームが有利になっている、楽しんでプレイしやすいデッキである。

 ただ、このデッキを扱うのは簡単というわけではない。どの出来事を唱えるか、そもそも出来事としてではなくクリーチャーとして唱えた方が戦況は良くなるのではないか、土地はどんな順番で置いていくか……選択肢が多いので、考える能力が求められるだろう。

 最も扱うのが難しいのは《願いのフェイ》だ。

 これでサイドボードから状況に合ったもの・相手のデッキにクリティカルなものを手札に加えるのがこのデッキでは重要なムーブだ。クローバーがあれば2枚サーチできるのだが、ここで一体何を持ってくるのかというのが難しい。なんとなくで持ってきたりすると、そのカードを唱えるタイミングが訪れずに結局無駄になってしまうことも。パーマネント除去と打ち消し、アドバンテージ獲得源、《目覚めた猛火、チャンドラ》などからベストな選択を行うことは慣れなければ難しい。

 ただ、ハマればこれほど強い動きもない。《豆の木の巨人》や《僻境への脱出》でマナをしっかりと増やして有効活用したいところ。個人的には《投げ飛ばし》で突然ゲームを終わらせるのが楽しい。

 また《過去と未来》も扱うのは難しいだろうが、最高のタイミングでカードを2枚拾えればそれで決着へと持っていけるポテンシャルも感じられた。

 出来事としてではなく、《願いのフェイ》として早いターンに唱えることも重要なのも覚えておこう。タフネス4の壁役として相手の攻撃を食い止め、後続に繋げよう。

 しかしながら121マッチやって100勝とは、恐ろしい数字を弾き出している。高いプレイヤースキルと強力なデッキが噛み合うと、こんなことも起こるんだね。

 だからと言ってこのデッキが最強・敵なしかというと……そういうわけではない。対抗馬になり得るデッキを次回紹介しよう!

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