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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
知識の放棄は勝利への道(レガシー)
マジックというゲームにおいて、プレイヤーはプレインズウォーカーと設定づけられている。
我々が遊んでいるゲームは、次元を超える力を持った至高の魔術師による決闘なのだ。土地を置くことで領土を拡げ、自身の魔力を高めるマナを引き出す。そのマナを使って、さまざまな次元の住人を召喚し、味方につけるというわけだ。
ライブラリーとはその名の通り、プレインズウォーカーが魔法の知識などを保管している書庫と考えていいだろう。あるいは知識そのものだ。歴代のドロー呪文を振り返れば、書物を読んだりかき集めたり、あるいは瞑想したり他者の精神と感応したりして直接知識を頭に流し込んだりといったアクションを行っている魔術師らの姿を散見できるだろう。
その源泉が失われ、もう知識を得ることができなくなったら敗北、と考えればカードが引けない状態になった時に敗北するというルールもなんだかすんなりと納得がいくもんだ。ライブラリーとはプレイヤーにとってかけがえのないものなのである。
ところがこれを放棄しようという、せっかくの知識を無にしてしまうデッキが最近は大流行。このコラムでも最近たびたび取り上げている《タッサの神託者》の登場により、ライブラリーを空っぽにすることが勝利に直結するようになったのだ。
たった2マナという軽さにして勝利をもたらしてくれる神託者は、さまざまなフォーマットで引っ張りだこだ。レガシーともなれば、ライブラリーを0枚にしてしまう方法も多岐にわたる。
今日は神託者で勝利することを狙った、一風変わったコンボデッキを2つ紹介しよう!
8 《島》 4 《古えの墳墓》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 -土地(19)- 4 《タッサの神託者》 4 《研究室の偏執狂》 -クリーチャー(8)- |
4 《水蓮の花びら》 4 《思案》 4 《定業》 4 《渦まく知識》 4 《狼狽の嵐》 4 《パラダイム・シフト》 4 《Thought Lash》 4 《意志の力》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(33)- |
1 《外科的摘出》 2 《呪文貫き》 2 《大祖始の遺産》 3 《残響する真実》 1 《ハーキルの召還術》 3 《防御の光網》 1 《精神壊しの罠》 1 《貪欲な罠》 1 《誤った指図》 -サイドボード(15)- |
1つ目は青単色。青には神託者以前にも、カードが引けない時に代わりに勝利するという能力を持った《研究室の偏執狂》《神秘を操る者、ジェイス》の先輩カードがある。これらとセットにすることでコンボパーツは割り増しだ。
で、これらのライブラリーが空っぽになるのを待っている連中と組み合わせるのは2種類。1つ目は《パラダイム・シフト》。
なんとたったの2マナで《真実を覆すもの》の能力と同じく、ライブラリーをすべて追放し、墓地のカードをライブラリーと置き換える効果を持った驚くべきソーサリーだ。4マナあれば勝負あり、スピード勝負ならレガシーの他のコンボとも肩を並べることができる、なかなかに恐ろしいヤツだ。しかし、今になって『ウェザーライト』に収録されたこのカードが日の目を浴びることになるとは……発売から約23年後だぞ。
もう1枚のライブラリー吹っ飛ばしスイッチは《Thought Lash》だ。
なかなかにホラーなイラストが個人的には大好きなんだが、このカードは青には珍しい、プレイヤーが受けるダメージを軽減するエンチャントである。ライブラリーを1枚追放すれば次に受けるダメージを1点軽減できる。
延命のために知識を犠牲にするというフレイバーが味わい深いのだが、このデッキでは防御的にではなく攻めの1枚として用いる。能力の起動にはマナが要らないので、ライブラリーをすべてこれに食べさせてしまってそのままゴールインッ。知識を失ってでも勝利を手にする、その貪欲なまでの姿はコンボとして実に美しいものだ。
青単色なので打ち消しやドローにも秀でているので、一見派手な見た目にして堅実なデッキでもある。
2 《冠雪の島》 1 《冠雪の平地》 3 《Tundra》 2 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 2 《魂の洞窟》 -土地(19)- 3 《コーの遊牧民》 4 《セファリッドの幻術師》 3 《ナルコメーバ》 3 《石鍛冶の神秘家》 1 《タッサの神託者》 3 《護衛募集員》 1 《厚かましい借り手》 -クリーチャー(18)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《陰謀団式療法》 1 《目くらまし》 1 《戦慄の復活》 4 《意志の力》 1 《手甲》 1 《殴打頭蓋》 1 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(23)- |
3 《真の名の宿敵》 3 《外科的摘出》 4 《剣を鍬に》 2 《狼狽の嵐》 2 《残響する真実》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
こちらは「セファリッド・ブレックファースト」と呼ばれる伝統あるコンボデッキの現代版だ。
呪文や能力の対象となることでライブラリーを3枚墓地に落とす能力が誘発する《セファリッドの幻術師》に向けて、《コーの遊牧民》などの起動コストが{0}であり、1ターンに何度も使える能力を連打!すると自身のライブラリーが空っぽになる。こうして墓地に落ちた《ナルコメーバ》が戦場に出てくるので、それらをコストにして《戦慄の復活》を唱える。
過去はこれにより超巨大な《縫合グール》なんかを墓地から引っ張り出したものだが、この枠を《タッサの神託者》でサクッと勝ってしまう形に進化した。手札に来ても簡単に出せるコストなので破綻しにくく、純粋に盤面にコンボパーツを揃えりゃなんとかなるのは大きな強化である。
コンボルートをなんらかの形で潰されても《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》で殴り勝つパターンが狙えるようになっているのも特徴だ。
この石鍛冶は《手甲》というコンボパーツへのアクセス手段でもある。
装備も対象を取る能力なので、セファリッドと何らかのクリーチャーを往復させてライブラリーを削り落とそう。
この石鍛冶も含め、デッキ内のすべてのクリーチャーをサーチ可能な《護衛募集員》はこのデッキの重要な1枚である。
どっちのリストもレガシーならではの、古くて味わい深いオンリーワンなカードが使えるのが醍醐味だ。さあ、ため込んだ知識を放出し、最大の快感である勝利をその手につかもう! 個人的には《歯と爪》から《タッサの神託者》《地ならし屋》をセットで持ってきて勝つコンボをやってみたいね!
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