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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

単色にタッチする:白単と赤の場合(パイオニア)

岩SHOW

 デッキを組む際に、まずはその色を決めることになる。

 これは可能であれば単色であることが望ましい。マナのトラブルが無くなり、同一の色マナを多数要求するダブルシンボルやトリプルシンボルのコストを持った強力なカードを扱えるからだ。2色や3色のデッキでダブルシンボルのカードを2ターン目にプレイできる確率はそう高いものではないが、単色であれば土地2枚さえあればいいのだから問題なしだ。

 ただ、単色でデッキを組むということにはデメリットもついてくる。その色では行えないことを全くできないデッキになってしまう。

 なので、多色土地に恵まれているフォーマットではタッチという形を用いることが多々ある。基本は単色なのだが、強力な多色カードだったり除去だったり、その色の弱点をカバーしてくれるカードだったり……そういったものを添えるように、少しだけ2色目を足すのだ。「X単タッチY」といったデッキ名の表記はそのような意味を持っている。

 パイオニアも多数のセットからさまざまなタイプの2色土地が揃ったフォーマットなので、タッチを行っているデッキを見ることがある。グランプリ・名古屋2020#1の直前になって目立ったものは、白単に赤をタッチしたものだ。今日はそのバリエーションを見ていただこう。

Dan Benett - 「白単タッチ赤」
マジックフェスト・オースティン2020 金曜日パイオニアPTQ 準優勝 / パイオニア (2020年1月10日)[MO]
9 《平地
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
4 《感動的な眺望所
2 《変わり谷

-土地(23)-

4 《不屈の護衛
3 《尊い騎士
4 《鼓舞する古参
4 《サリアの副官
4 《立派な騎士
4 《ベナリアの軍司令
3 《軍勢の切先、タージク

-クリーチャー(26)-
2 《ボロスの魔除け
2 《石の宣告
4 《ベナリア史
2 《議事会の裁き
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(12)-
1 《鬼斬の聖騎士
2 《耳の痛い静寂
1 《精霊への挑戦
4 《安らかなる眠り
2 《ボロスの魔除け
2 《石の宣告
2 《丸焼き
1 《議事会の裁き

-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)

 

 こちらのデッキは白の主要クリーチャータイプである騎士と人間にフォーカスして組まれている。白単のアグロデッキを組むのであれば必須とも言える《ベナリアの軍司令》。すべてのクリーチャーを強化しつつ、騎士であり人間であるこのカードはまさしくこのデッキにピッタリだ。

 軍司令や1マナの騎士たちを唱えれば《立派な騎士》が人間・トークンを生成し、面で押すデッキの特性を強化。また、人間・トークンが並んだり毎ターンのように出てくるのは《サリアの副官》とも相性抜群だ。

 手札をガンガン使って高い打点を生み出す盤面を作って一気に押し潰す! このプランを強めるために、騎士であり人間の《鼓舞する古参》のために赤を足している。

 これもまた騎士を強化するので、軍司令や《ベナリア史》と絡めて高い打点を弾き出そうってなわけだ。

 赤を足すことで得ているのは打点だけではなく、なんと除去耐性も上昇している。《軍勢の切先、タージク》は他のクリーチャーがダメージ呪文で除去されることを防ぐ。《轟音のクラリオン》なんかもへっちゃらだ。

 《ボロスの魔除け》も全パーマネントに破壊不能を与えてくれることで《至高の評決》などを無効化する。

 このインスタントはクリーチャー同士のぶつかり合いで使って一方的に打ち勝ったり、4点ダメージや二段攻撃付与で最後の一押しを担ったりと便利な1枚だ。デッキの長所を伸ばし、苦手なものに対してのお守りとなる……タッチの典型的な例と言える良いサンプルだ。

Michael Cieszinski - 「白単タッチ赤」
マジックフェスト・オースティン2020 金曜日パイオニアPTQ 4位 / パイオニア (2020年1月10日)[MO]
9 《平地
4 《聖なる鋳造所
4 《感動的な眺望所
1 《戦場の鍛冶場
1 《アーデンベイル城

-土地(19)-

4 《不屈の護衛
4 《万神殿の兵士
4 《スレイベンの検査官
3 《アクロスの英雄、キテオン
4 《白蘭の騎士
4 《サリアの副官
3 《徴税人
4 《ベナリアの軍司令
3 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(33)-
4 《精霊への挑戦
4 《石の宣告

-呪文(8)-
1 《鋭い突端
2 《アダントの先兵
2 《耳の痛い静寂
3 《安らかなる眠り
2 《ボロスの魔除け
2 《丸焼き
2 《集団的努力
1 《残骸の漂着

-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)

 

 一方こちらは……ほぼ白単で、騎士にはこだわってはいないが《ベナリアの軍司令》《サリアの副官》で強化して殴る人間デッキである。

 そこに放り込まれたメイン唯一の赤いカードが……まさかの《熱烈の神ハゾレト》!

 人間でもなく色も合っていないこのカードをわざわざ採用しているのは、「速攻で高い打点を持ち除去耐性もあるクリーチャーがいれば……」と思う場面が実際にあったからだろう。白単にその答えがなければ、他の色から足せばいい。幸いハゾレトはシングルシンボルで足しやすいカードである。手札が1枚以下でなければ攻撃できないという能力も、白単アグロであればデメリットになることはないだろう。手札を使い切ったところでクリーチャーを捌き切られて、さあここからと対戦相手が反撃してくるその前にハゾレトがとどめの一撃を叩き込む。

 土地の枚数を削って1~2マナのクリーチャーを大量に詰め込み攻め手を絶やさないようにしつつ、《白蘭の騎士》できちんと軍司令やハゾレトを唱えるためのマナも確保する抜け目のない構築が施されている。

 非クリーチャー呪文も最小限で、除去の《石の宣告》と除去避け兼攻撃を無理やりねじ込むプロテクション付与呪文《精霊への挑戦》のみとわかりやすい。白単をやり込んだ末にたどり着いた形なのだろう。

 どちらのデッキも海外のマジックフェスト内で開催されたプレイヤーズツアー予選で上位入賞したもので、その強さは折り紙付き。おそらくは名古屋でも白単に赤なり何かを足したアグレッシブなデッキを持ち込むプレイヤーが少なからずやってくることだろう。

 サイドボードを見てもわかる通り、赤を足すと《丸焼き》などのカードが取れて、単色の時よりも同型などに対する耐性がアップしている。

 さあ、単色デッキに色をタッチして新たな可能性に挑んでみよう!

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