READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒と吸血鬼への信仰(パイオニア)

岩SHOW

 マジックをやっていると、徐々に特定の色やクリーチャータイプ、プレインズウォーカーや戦術などに妙に愛着が湧くことがある。いったん虜になってしまうと、憑りつかれたようにそのカードのみを使うようになってしまうものだ。一種の信仰である。これを突き詰めて各コミュニティの名物プレイヤーとして知られる者もいれば、世界的に知られる第一人者になる者も。

 マジックは時にその信仰心を試してくる。簡単に応えられる時もあれば、苦難の道のりとなることもある。その信仰が形を成した時、デッキは強くそして美しいものとなる……

 ってな感じで、今日は2つのカテゴリーに対して信心深いデッキを紹介しよう! その信仰の対象は黒、そして吸血鬼だ!

CLYDE THE GLIDE DREXLER - 「黒単吸血鬼信心」
Magic Online Pioneer Challenge #12006893 3位 / パイオニア (2019年11月3日)[MO] [ARENA]
12 《
4 《ロークスワイン城
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
2 《ニクスの祭殿、ニクソス
4 《変わり谷
-土地(24)-

4 《漆黒軍の騎士
4 《才気ある霊基体
2 《流城の死刑囚
2 《歩行バリスタ
2 《マラキールの解放者、ドラーナ
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
4 《薄暮の勇者
4 《アスフォデルの灰色商人
-クリーチャー(24)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
4 《傲慢な血王、ソリン
-呪文(12)-
2 《荒廃甲虫
1 《真髄の針
2 《闇の掌握
2 《害悪な掌握
2 《魔女の復讐
4 《虚空の力線
1 《ボーラスの城塞
1 《夢を引き裂く者、アショク
-サイドボード(15)-
 

 『テーロス』では自身のコントロールしているパーマネントが持つ、特定の色マナシンボルをカウントしてその数に応じて効果が上下するという、その名も「信心」という概念が登場した。テーロス次元の5柱の神に対する信仰心を表現したもので、これが多ければ多いほどリターンが大きい……要するにシンボルたっぷりの単色デッキを組めというシステムである。

 中でも強かったのは《ニクスの祭殿、ニクソス》!

 単色デッキにおける猛烈なマナ加速であり、パーマネントをある程度並べた後にこれで生み出したマナでさらなる巨大な呪文を唱えたり、パーマネントの能力を起動させまくったりという動きで対戦相手を圧殺する戦術を用いるデッキが多数現れた。

 それらの中でも頭ひとつ抜けて強かったのは黒、《アスフォデルの灰色商人》という強烈なフィニッシャーを擁するためだ。

 そんな「黒単信心」デッキをベースに、黒の主要部族である吸血鬼のシナジーも絡めたのがこのデッキだ。吸血鬼は黒マナを2つ以上要求するカードが多く、《才気ある霊基体》のように戦場を固めながら信心のカウントを伸ばすことができて相性が良い。というわけで「黒単吸血鬼信心」デッキがパイオニアで活躍中だ!

 スタンダードでもおなじみの《漆黒軍の騎士》から始まり、《才気ある霊基体》に《流城の死刑囚》《マラキールの解放者、ドラーナ》と、軽くて殴りに行ける吸血鬼たちを序盤から展開。

 これらで殴り切れそうならそのまま一気に勝負を決めても良いし、相手も盤面を作ってくるなら無理しなくても良い。先にも述べた通りこちらには《アスフォデルの灰色商人》という10点以上のライフを奪う兵器がある。吸血鬼でスクラムを組んで、相手に攻撃を躊躇わせながら信心カウントを伸ばしていこう。

 吸血鬼を多数採用することで《傲慢な血王、ソリン》が使用できる点もこのデッキの強みだ。

 どのモードも吸血鬼デッキであれば効果的であり、ローテーション前のスタンダードでは相方だった《薄暮の勇者》を出す動きもパイオニアでは健在。補充した手札はニクソスからのマナで展開して盤面に崩れぬ牙城を築き上げよう。

 ソリンは吸血鬼を生け贄にすることで3点ダメージを飛ばせるが、これと《アスフォデルの灰色商人》で直接プレイヤー本体を狙うプランをとったり、生け贄によって《致命的な一押し》の「紛争」を達成したりと実に多芸だ。たった3マナでここまでいろいろやれるプレインズウォーカーを使役できるのは、吸血鬼デッキならではのものだ。

 《ニクスの祭殿、ニクソス》のマナの使い道は先に述べた通り、手札のダンプ。《アスフォデルの灰色商人》の連打だって夢じゃない。さらに《歩行バリスタ》に注ぎ込んでダメージに変換するという手もある。巨大なXで唱えてバシュバシュ、能力起動で弾を補充してバシュシュとね。

 能力起動といえば《漆黒軍の騎士》にマナを注ぎ込みまくるのも最高だ。複数体で殴って抜けたところに+9/+9修整!とかやってみたいものだ。

 同じくマナを注いでサイズアップするのが《ゲトの裏切り者、カリタス》。

 墓地対策にもなり、ゾンビを発生させて数での勝負も、それらを食って単騎での勝負もどんとこい。絆魂を持っているのが大変に嬉しく、殴り合いになればコイツがそのカードパワーを存分に発揮してゲームを優位に進められるだろう。ゾンビをコストにできるので使い終わった《アスフォデルの灰色商人》も食ってしまえる点を忘れずに。ゾンビのみならず吸血鬼も無慈悲にむしゃむしゃやって、勝負所を見逃さずに決めてやろう!

 吸血鬼と黒の名カードで構成されたなんとも美しいリストである。サイド後には《虚空の力線》で墓地対策を強めつつ、ゲーム開始と同時にマナなしで信心を2つ得ている状態になるというのも面白い。

 吸血鬼にこだわらずとも、《アスフォデルの灰色商人》がいる限り「黒単信心」というアーキタイプは強くて楽しいデッキが組めるだろう。《最後の望み、リリアナ》とかも使っていきたいね!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索