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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ソプター・ニンジャ(レガシー)

岩SHOW

 マジックの楽しみ方の中で、デッキ構築はかなり大きなウェイトを占めていると個人的には思っている。

 特に、他のプレイヤーがあまり注目していないカードを用いたデッキを練り上げている時間というのはニヤニヤできる至福のひと時だ。広大なカードプールからマニア向けの1枚を探し出し、デッキに潜ませる……独自チューンのデッキの秘密兵器をシークレットテクと形容することがある。このシークレットテクが表舞台で披露され、好成績を残すと……それはシークレットの域を出て、1つの常識となることがある。自分が生み出した戦術がワールドスタンダードになる。これに喜びを覚えるデッキビルダーたちもいるのだ。どうだい、あなたもマジックの歴史に爪痕を残してみたくないかい?

 日本のプレイヤーだって面白いカードを発掘して、それらを活かすデッキを生み出している。ここ最近、レガシー界で有名になったのは《改良式鋳造所》。

 霊気装置を生み出し、その霊気装置を生け贄に捧げて飛行機械にランクアップさせ、さらにそれをもとに4/4の構築物を……と面白い動きをするアーティファクトだ。

 このカードを、ある日本のプレイヤーがトーナメントシーンで活躍する1枚へと引き上げた。そのデッキはアーティファクトがメイン……と思いがちだまったくそんなことはなく、なんと忍者が主役のデッキである。

 なぜニンジャ? その答えはデッキリストを見ながら解き明かしていこう!

Flugel310 - 「ソプター・ニンジャ」
Magic Online Legacy Challenge #12006894 17位 / レガシー (2019年11月3日)[MO] [ARENA]
4 《冠雪の島
2 《冠雪の沼
2 《Underground Sea
4 《汚染された三角州
1 《沸騰する小湖
1 《霧深い雨林
1 《新緑の地下墓地
4 《虹色の眺望

-土地(19)-

4 《羽ばたき飛行機械
3 《変わり身ののけ者
4 《悪意の大梟
3 《虎の影、百合子
4 《巧妙な潜入者

-クリーチャー(18)-
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《改良式鋳造所
3 《致命的な一押し
3 《目くらまし
4 《意志の力
1 《残忍な切断

-呪文(23)-
1 《疫病を仕組むもの
2 《思考囲い
1 《夜の戦慄
1 《水流破
2 《リリアナの勝利
1 《基本に帰れ
1 《否定の力
4 《虚空の力線
1 《誤った指図
1 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-

 

 忍者・クリーチャーの共通能力、忍術。攻撃クリーチャーがブロックされなかった際に、忍術コストを支払うことでそのクリーチャーと手札の忍者を入れ替えるという能力だ。

 忍者の大半は、この忍術とともに対戦相手に戦闘ダメージを与えた際に誘発する能力をセットで持っている。つまりいきなりドロンとニンジャが現れ、戦闘ダメージとともに厄介なことを仕掛けてくるというわけ。

 つまり忍者を活かすには、軽くて回避能力を持ったクリーチャーが必要。1ターン目にそれらのタネになるクリーチャーを出し、2ターン目には忍術をかまして美味しい思いをしたいってなもんだ。そこで用いられるのが0マナ0/2《羽ばたき飛行機械》と、1マナでブロックされない《変わり身ののけ者》。

 これらでスイスイ回避して忍術して……と、気付いてくれただろうか。こいつら両方、飛行機械のタイプを持っているのだ(変わり身は多相能力でね)。なのでこれらをコストに《改良式鋳造所》を起動して4/4構築物を生成することも可能なのである。忍術のタネであり、構築物のタネでもある飛行機械(英語でソプター)が主役のこのデッキは、「ソプター・ニンジャ」だ!

 上述のソプターたちに加えて、飛行でかつ接死も持つのでブロックされにくく、手札に戻して出し直すとカードが引けてお得な《悪意の大梟》。

 あとは《改良式鋳造所》から生成したトークンをタネに出現する忍者は《虎の影、百合子》と《巧妙な潜入者》の2種類。

 どちらも自分だけでなく「忍者が戦闘ダメージを与える」ことで誘発する能力を持っており、かつ手札を補充する能力で統一されている。忍者が殴れば良いってことは、《変わり身ののけ者》が素の状態でも仕事をするってことで、忍者登場後も無駄にならずに嬉しいポイント。

 《巧妙な潜入者》はシンプルにカードを引かせてくれる。《虎の影、百合子》は少し特殊で、ライブラリーの一番上のカードを公開し手札に加える。何を引いたのかはバレてしまうわけだが、その代わりにそのカードの点数で見たマナ・コスト分だけ対戦相手のライフを失わせるので打点としてもカウントできるのだ。これを複数誘発させれば、線の細い忍者たちでもゴリゴリとライフを削ってくれるはずだ。《渦まく知識》や《思案》で《意志の力》を仕込んで5点!とかやってみたいものである。

 忍者で手札を常に補充しながら、相手のアクションは打ち消しとクリーチャー除去で妨害しながらずっと殴り続ける……そんなゲームプランをこのデッキは狙っている。

 忍者による手札補充か、構築物を量産してサイズで圧倒するか。最序盤から展開しつつも消耗戦にも強いという高品質はメイドインジャパンの証。世界にも認知され拡がりつつある《改良式鋳造所》入り忍者デッキに続くべく、君も何か新しいシークレットテクを見つけて研究してみよう!

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