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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
太っ腹!無限ゴブリン砲!(モダン)
『エルドレインの王権』には2つの派閥が存在するのはご存知の通り。人間と、そうでない者とだ。
王国の中で暮らす人間に対して、その外で暮らす人ならざる者たちは多種多様。エルフやゴブリン、トロールや森の獣などなど……これらの一見無関係な種族たちは、人間でないクリーチャーに対してボーナスを与える・得る能力を持っている者がおり、寓話の住人として一致団結したデッキを組めるようになっている。
中でも注目は《太っ腹、グラングリー》。
人間でないクリーチャーが戦場に出る際に、茸をご馳走して+1/+1カウンターを得させるというナイスなおっちゃんだ。
単純にクリーチャーのサイズが上がるというのはどんな状況下でも喜ばしいもので、リミテッドでは勝負を決めるほど大きな効果をもたらす。一方、構築シーンとなるとこの能力の意味するところは少し変わってくる。ただクリーチャーを強化する以上の、もっとすごいことを引き起こす可能性があるのだ。これを説明するために、まずはマジック初心者に向けてルールのおさらいをしよう。
クリーチャーの上に置かれるカウンターというものはいくつか種類があるが、主要なものは+1/+1カウンター。そしてそれと対を成す-1/-1カウンターだ。これらは置かれているかぎりその個数分、クリーチャーのサイズを修整する。
では、これら2種類が同時にクリーチャーに置かれるとどうなるのか? 答えは……相殺されるのである。プラスマイナス0という状態になり、見た目にややこしいのでこれらのカウンターは取り除かれる。例えば+1/+1カウンターが2個置かれているクリーチャーに-1/-1カウンターを1個置くと、結果として+1/+1カウンターが1個置かれている状態になる。
ルールを振り返って何が言いたいのかというと、この現象をグラングリーで引き起こそうというのが今日のテーマだ。新しい伝説のゴブリンがモダンにもたらしたコンボがこれだ!
2 《山》 2 《血の墓所》 2 《踏み鳴らされる地》 2 《乾燥台地》 1 《沸騰する小湖》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《魂の洞窟》 -土地(21)- 4 《スカークの探鉱者》 1 《ゴブリンの奇襲隊》 3 《飛び道具の達人》 2 《モグの戦争司令官》 2 《朽ちゆくゴブリン》 4 《ゴブリンの女看守》 4 《太っ腹、グラングリー》 3 《ゴブリンの戦長》 1 《パシャリク・モンス》 4 《ゴブリンの首謀者》 4 《残忍なレッドキャップ》 2 《投石攻撃の副官》 -クリーチャー(34)- |
4 《霊気の薬瓶》 1 《タール火》 -呪文(5)- |
1 《飛び道具の達人》 4 《夏の帳》 4 《アタルカの命令》 4 《嵐の乗り切り》 2 《溶鉄の雨》 -サイドボード(15)- |
赤を中心に緑と黒を足したゴブリンデッキだ。ゴブリンは『モダンホライゾン』にて多数の新規カードを得てパワーアップしていたのだが、そこにグラングリーが加わったことで勝利のルートが1つ確立された。それも、対戦相手がどれだけのライフを持っていようがお構いなしの無限ダメージだ! 手順を説明しよう。
- 《太っ腹、グラングリー》+《残忍なレッドキャップ》+《スカークの探鉱者》or《投石攻撃の副官》の3枚を戦場に揃える。
- 《スカークの探鉱者》or《投石攻撃の副官》で《残忍なレッドキャップ》を生け贄に捧げる。
- レッドキャップの頑強能力が誘発し、墓地から戦場に戻る。戦場に出たので、パワー分のダメージを与える能力が誘発する。
- 本来なら頑強能力は-1/-1カウンターが1個置かれて戦場に出るのだが、グラングリーの+1/+1カウンターで相殺され、ピュアな状態のレッドキャップとして戦場へ。なので、もう一度生け贄に捧げてもまた戻ってくる。
- これを好きなだけ繰り返し、ダメージ能力を誘発させまくって対戦相手のライフを削りきる。
カウンター相殺による無限頑強で勝つ!というわけだ。パーツは3枚必要とはいえ、揃ったら即決なのがこのコンボの良いところ。
しかも重要なのは、このコンボがなんとゴブリンのみで成り立っているという点。ゴブリンであるならば《ゴブリンの女看守》でサーチしたり、《ゴブリンの首謀者》で一気に手札に加えるなどコンボパーツを探すのが楽勝! 《ゴブリンの戦長》でコストを軽くしたり《霊気の薬瓶》で展開できたりなど、とにかくゴブリン3枚で勝てるコンボというのは良いことばっかりてんこ盛り!
このデッキはコンボであると同時に、ゴブリン部族デッキでもある。上述のサポートに加えて《モグの戦争司令官》で並べて《飛び道具の達人》などで除去して殴るという、普通のビートダウンデッキとしても立ち回れるのが強みだ。
コンボパーツがどれも普通のゲーム展開においても強いもので、グラングリーで強化して殴り切ったり生け贄コンビと《パシャリク・モンス》の爆撃で一気にライフを削ったりと、コンボパーツをどれか封じられてしまっても何も気にせずに勝つことが可能だし、その逆に《罠の橋》の足止めもコンボの前には役に立たなかったりと戦法は自由自在だ。こういうの、相手する側は最高にイヤなんだよなぁ(誉め言葉)。
表舞台で大活躍ということはなかったが、常に一定数の使用者がいたモダンの「ゴブリン」デッキ。2019年の大量補強によって一線級のデッキとしてモダンを駆け回るのか? 今一番グイグイきてるデッキだと思うんだよなぁ。
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