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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ジャンド・アドベンチャー(スタンダード)
僕には中学時代、マジックを始めた時から今日に至るまで、20年来の付き合いの友がいる。彼はここ数年マジックを離れていたが、心の底ではまたプレイしたいという思いがあったようだ。「今はテフェリーが2種類いて……」なんて話をするたびに関心を持って聞いてくれたものだ。
で、この秋のローテーションとMTGアリーナの正式ローンチは彼にとってマジック復帰するには絶好の機会だったと。嬉々として『エルドレインの王権』パック開封の結果を送ってくれて、こちらもホッコリしたものだ。
彼はアーティストの中でも《ファイレクシアの疫病王》や《怨恨》を担当したKev Walkerの大ファンでもある。『エルドレインの王権』でKev Walkerが担当している《恋煩いの野獣》がパックから出てきて、良い反応を見せていた。
3マナ5/5という文句のないサイズ、そしてその野獣がどことなく2人の共通の友に似ていることから「これ使ったデッキを作るぞ」と息巻いてくれていた。マジックに関わる仕事をしていて一番嬉しいのは、マジックから離れていた人が最新セットのカードに魅力を感じ、復帰してくれる時である。友とマジックに恵まれて、幸せだなぁ。
彼がハマった《恋煩いの野獣》を用いたデッキがないものかと、最新の情報を逐一チェックしていると、「Fandom Legend」というコミュニティがストリーマーや海外のプロプレイヤーらを招いて毎週開催しているアリーナのトーナメントにおいて、《恋煩いの野獣》を4枚採用したデッキが上位に入賞していた。
野獣入りというだけでなく、デッキの大半が『エルドレインの王権』のカードで構成されているので、何種類ものパックを剥かなくて良いというのも、復帰したてのプレイヤーにとってはありがたいのではないだろうか。
我が友と同じような形でマジックの世界に戻ってきたプレイヤーには注目してほしい、初心者でなくとも野獣が使いたい場合はぜひ組んでほしい、魅力的なデッキを紹介しよう!
6 《沼》 2 《山》 6 《森》 1 《血の墓所》 4 《草むした墓》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《穢れ沼の騎士》 2 《真夜中の騎士団》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 4 《残忍な騎士》 4 《豆の木の巨人》 -クリーチャー(26)- |
4 《幸運のクローバー》 4 《むかしむかし》 2 《軍団の最期》 -呪文(10)- |
2 《変容するケラトプス》 4 《強迫》 2 《夏の帳》 4 《害悪な掌握》 2 《軍団の最期》 1 《暗殺者の戦利品》 -サイドボード(15)- |
『エルドレインの王権』の目玉ギミックである出来事クリーチャーをたっぷりと採用したデッキだ。その中でも最強と呼べる《残忍な騎士》を抱える黒と、出来事クリーチャーで固めたデッキだとアドバンテージを稼ぎ出す《エッジウォールの亭主》を擁する緑をメインに組み合わせ、そこに《砕骨の巨人》を足した……その名も「ジャンド・アドベンチャー」だ! アドベンチャー…その響きだけでワクワクしてくるじゃないか!
デッキとしてはクリーチャー主体の中速デッキだ。《残忍な騎士》《砕骨の巨人》など出来事で唱えると優秀な除去であるカードで相手のクリーチャーやプレインズウォーカーに対処しつつ、デッキの主役である《エッジウォールの亭主》《幸運のクローバー》を戦場に並べる。
このクローバーはすごいよ、出来事・呪文をコピーすることで除去1枚で複数のパーマネントを破壊することができるというだけでもビックリだが、《豆の木の巨人》と組み合わさった時は最高だ。
《肥沃な足跡》は基本土地をライブラリーから直接戦場に出すマナ加速だ。これで戦場に出る土地はアンタップ状態なので、クローバーが出ているとアンタップの土地2枚を手に入れて、続けて別のアクションをとることが可能なのだ。クローバーが2枚、3枚と並んでいるともう途方も無いことになっちゃうぞ!
巨人だけでなく、単体ではそれほど強くない出来事もこのクローバーでコピーすることで強さは文字通り倍増する。3マナ1枚ドローでライフ1点損失と効率がかなり悪い《穢れ沼の騎士》の出来事も、クローバーが1枚あれば手札が増え、2枚あれば3マナ3枚ドローと最高クラスの効率の良さで手札がホクホクになる強ドローに!
本体も1/1ではあるが接死持ちで、そして1/1だからこそ《恋煩いの野獣》の攻撃可能条件を満たしてくれる良き友となるのだ。野獣の出来事だって1マナで能力なしの1/1が1体だと何とも思わないが、2体以上出れば強力だ。
上記のようにクローバー下で出来事を連打して得をして、追放されたクリーチャーを唱えて《エッジウォールの亭主》でドローして、また次なる出来事に……と、毎ターン確実にアクションを繋げていく。そしてがら空きになった戦場を野獣やゾンビらが駆け抜けて勝利する! 《豆の木の巨人》は簡単に10/10以上に育つので、1~2撃で決着まで持って行くのも簡単だ。
プレイしているとどんどんと相手がリソースを失っていき、こちらの追放領域には後にプレイされるのを待つクリーチャーがズンズン並んでいくのが気分が良い。
ただ気を付けてほしいのは、クローバーを複数枚貼ったことで黒の出来事をガンガンとコピーすると、ライフもそれだけ失われるということ。タダで美味しい思いはできないってことだ、気が付いたら瀕死なんてことにならないように! 《残忍な騎士》の絆魂は大事なので、どうでも良い状況で戦場に出して簡単に死なせてしまわないようにだけ気を付けよう!
マジックは延々と続くコンテンツで、だからこそ一度離れた人がまた帰ってくることができる。そのきっかけとなる出来事が何かあれば、君の友人もまたマジックをプレイし始めるかもしれないね。そんな素敵な物語が今後も紡がれ続けることを祈っている。
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