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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
フェロキドン、檜舞台に立つ(スタンダード)
日本選手権2019より約1週間。『基本セット2020』環境のスタンダード、最初で最後の大規模トーナメントが終わった。
誰よりもこの日を待ち望んでいたのは……間違いなく、《暴れ回るフェロキドン》だ!
いや~、フェロキドンよ。お前さん、1年半以上眠ってたんだな……。《暴れ回るフェロキドン》はもともと、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》のコンボに対する抑止力としてデザインされたものだったのだが、彼がこの世に生を受ける前に《守護フェリダー》が禁止に。強烈なクリーチャーコンボへのアンチテーゼとして設計されたフェロキドンは、その獲物を牙にかける機会を与えられなかった。
しかし、ライフ獲得とクリーチャー横並びを否定するその能力は強力なもので、当時の赤単「ラムナプ・レッド」の定番サイドカードとして地位を得ていた。……のだが、当時のスタンダードはエネルギーという概念を用いつデッキがほぼ一強という状況で、これをなんとかするためにエネルギーデッキのパーツが複数禁止カードに指定されることになった。で、エネルギーがいなくなればナンバー2だった「ラムナプ・レッド」が一強の座を受け継ぐことも自然なことだと予想され、このデッキもパワーダウンさせないと……というわけで《暴れ回るフェロキドン》も禁止カードに指定されてしまったのだった。禁止改定の度に「フェロキドン解禁くるか?」という声がネット上で見られるのがちょっとしたマジック風物詩だったものだ。
この8月末、フェロキドンはスタンダードからローテーション落ちする直前に禁止が解かれて、まさかの帰還。これは使うっきゃないと、フェロキドンを使うデッキを日本選手権に持ち込んだプレイヤーも少なくなかった。
さあ、この獰猛すぎる恐竜が久方ぶりにそのパワーを振るったデッキリストを見てみようじゃないか。
19 《山》
-土地(19)- 4 《狂信的扇動者》 4 《ギトゥの溶岩走り》 4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師》 2 《ゴブリンの鎖回し》 2 《暴れ回るフェロキドン》 -クリーチャー(16)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 4 《舞台照らし》 4 《批判家刺殺》 4 《魔術師の稲妻》 1 《危険因子》 1 《実験の狂乱》 2 《炎の侍祭、チャンドラ》 1 《炎の職工、チャンドラ》 -呪文(25)- |
1 《山》 2 《凶兆艦隊の向こう見ず》 1 《ゴブリンの鎖回し》 3 《溶岩コイル》 2 《丸焼き》 1 《危険因子》 2 《実験の狂乱》 2 《炎の侍祭、チャンドラ》 1 《炎の職工、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
まずは「赤単アグロ」! 最近ではメインに《ゴブリンの鎖回し》4枚が定番だったが、その枠をフェロキドンと分かち合う形になっている。
赤単はカードを投げ捨ててライフを減らすデッキなので、回復されることを苦手とする。その弱点をフェロキドンでしっかりカバー。
また、赤単はクリーチャーで殴ることも重要視しているので、《死者の原野》×《風景の変容》コンボを決められるとお手上げ、むしろ攻守が一瞬で入れ替わって負け~ということが度々ある。この苦手とするゾンビ・トークン大量生成もフェロキドンならむしろやってみろよ!ってなもんである。鎖回しも《ラノワールのエルフ》や《発現する浅瀬》などに強いので、それぞれ2枚ずつ採用するのがベストバランスなのだろう。
このリストは《舞台照らし》と、それを《炎の侍祭、チャンドラ》で使いまわすのがメインのアドバンテージ源になっているのも特徴的だ。
《実験の狂乱》をメイン1枚で抑えているのは、《屈辱》を用いるデッキが多いと読んだからだろうか。《危険因子》も入って、より軽く攻撃的にまとめあげられている。日本選手権11位という結果は、この構築が正しかったという証明になるだろう。
8 《森》 7 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《根縛りの岩山》 -土地(23)- 4 《ラノワールのエルフ》 3 《無法の猛竜》 3 《ザル=ターのゴブリン》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《暴れ回るフェロキドン》 4 《切り裂き顎の猛竜》 1 《変容するケラトプス》 4 《スカルガンのヘルカイト》 -クリーチャー(25)- |
4 《無謀な怒り》 3 《稲妻の一撃》 1 《争闘 // 壮大》 4 《ボーラスの壊乱者、ドムリ》 -呪文(12)- |
3 《変容するケラトプス》 2 《ショック》 1 《夏の帳》 3 《溶岩コイル》 2 《燃えがら蔦》 1 《不滅の太陽》 2 《世界を揺るがす者、ニッサ》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
続いてはフェロキドンが恐竜であることがより活きてくる「グルール・アグロ」!
《無法の猛竜》から2マナで唱えつつ、猛竜のパワーを上昇させて展開と打点アップの両方を同時にこなそう。
このデッキは自身がクリーチャーをガンガン展開するので、フェロキドンがいると自分自身にもダメージが飛んでくるデメリットを受けることになる。一見これは嫌なものに見えるが、先述の猛竜や《ボーラスの壊乱者、ドムリ》で打点を上昇させることができ、かつ《グルールの呪文砕き》をはじめとする速攻を得るクリーチャーも多いので、多少フェロキドンからダメージを受けようが正面からの殴り合いに負けるということはない。
《無謀な怒り》で道を切り開き、フェロキドンの威迫でラッシュをかけよう!
フェロキドンをメインから採用したこれらのデッキは10位、11位とかなりの好成績を残したが、トップ8には惜しくもあと一歩及ばず。
ただ《贖いし者、フェザー》を使ったデッキのサイドボードにはこのフェロキドンが投入され、念願のスポットライトを浴びることに成功! おめでとうフェロキドンよ、最後に輝ける舞台がやってきて本当に良かった……
まあ華々しい檜舞台はもう夏とともに過ぎ去ってしまったんだが、フライデー・ナイト・マジックやMTGアリーナではまだまだフェロキドンの力を思う存分満喫できるので、どうかその牙と爪にできるだけ多くの獲物を与えてやってほしいね。しかしまあ、ドラマにあふれたカードだったなぁ。
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