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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

カーリア・ミッドレンジ(スタンダード)

岩SHOW

 『基本セット2020』にはそれまでの基本セットには見られなかった3色のカード、いずれも神話レアで伝説のクリーチャーが収録されている。

 これらの中には初登場でまだ素性がよくわからないものから、すでにカード化されていて馴染みのあるものまでさまざま。どいつもこいつも個性的だが、最近マジックを始めた人には《天頂の探求者、カーリア》は異質な存在に見えたんじゃないだろうか。

 天使の如き羽毛に覆われた翼と、デーモンやドラゴンを想起させる爪と被膜を有する翼を併せ持つ人間の女性。キャラが立っている! 彼女はすでに《巨大なるカーリア》としてカード化されており、そのためその背景もかなり判明している。

 出身次元はアラーラで、本名はリア。幼少時より石を破壊する魔法の才能に秀でていた。ニコル・ボーラスの策略により5つに分断されていたアラーラの断片が1つに衝合し、それぞれの断片の住人らはそれまで目の当たりにしたことがないマナからなる生物や文化と遭遇することになった。リアの村にも《グリクシスの首領、ネファロックス》が訪れ、儀式のために村人をさらっていった。リアはその被害に遭う前にアジャニの同士である猫人(ナカティル)らに救出され、村人を助け出すためにその魔法の力が必要だと告げられる。悪魔の軍勢へと向けて出陣する際に、ナカティルにより新しい名を授かる。力を意味するカーをつけて、カーリアと。

 カーリアはその力を用いて儀式を阻止しようとするも失敗、ネファロックスにより気絶させられ、目を覚ますとそこには誰の姿もなかった。カーリアは村の人々を奪った悪魔に復讐するため、正義と憎悪を同時に携えて天界と冥界の両方から力を得ている……という、セットの主役を十分に務められそうなキャラクターなのだ。

 彼女はストーリー同様に能力も魅力的で、どちらのカードも天使・ドラゴン・デーモンと関わりのあるものになっている。《天頂の探求者、カーリア》はこれらの3種族がデッキに入っていればいるほど手札が増えるという、デッキの組みがいがある能力を持っている。

 構築が難しそうなカードではあるが、機能すると得られるアドバンテージは莫大なもの! 今日は彼女を用いたデッキの一例を紹介しよう!

MatuvueFR - 「カーリア・ミッドレンジ」
Arena Super Cup Qualifier - Single 4位 / スタンダード (2019年8月7日)[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
4 《神無き祭殿
4 《孤立した礼拝堂
1 《静寂の神殿
4 《聖なる鋳造所
4 《断崖の避難所
4 《血の墓所
2 《竜髑髏の山頂

-土地(25)-

4 《翼の司教
4 《輝かしい天使
3 《天頂の探求者、カーリア
2 《秤の熾天使
2 《豊潤の声、シャライ
1 《正義の模範、オレリア
2 《黎明をもたらす者ライラ
2 《スカルガンのヘルカイト

-クリーチャー(20)-
2 《神々の思し召し
3 《喪心
2 《アングラスの暴力
1 《灯の燼滅
2 《魔性
2 《轟音のクラリオン
3 《復讐に燃えた血王、ソリン

-呪文(15)-
4 《強迫
3 《害悪な掌握
1 《アルゲールの断血
1 《魔術遠眼鏡
2 《屈辱
1 《煤の儀式
2 《夢を引き裂く者、アショク
1 《目覚めた猛火、チャンドラ

-サイドボード(15)-
mtggoldfish.com より引用)

 赤白の天使デッキに黒を足して、カーリアという手札補充手段と《喪心》などのクリーチャー除去をより強力にした、という趣のリストだ。

 天使に寄せており、ドラゴンも《スカルガンのヘルカイト》2枚のみ、デーモンは不採用。なのでカーリアで3枚ゲットでウハウハ!というわけにはならないが、3種族の中で最もムラがなく、またマナ域も3~5マナの間でまとまっていて、いずれも状況に強さが左右されにくい天使にまとめたことで、安定感のあるデッキに仕上がっている。

 ついついカードの最大の力を発揮させる構成がしたくなってしまうが、カーリアは1枚引ければ十分! と割り切った構築をすることも大事だってことだね。カーリア自身は適当なクリーチャーと相討ちさせて《復讐に燃えた血王、ソリン》で使いまわすというのが最高のパフォーマンスとなるだろう。

 デッキとしてはいわゆる中速デッキ、ミッドレンジというやつで、それも除去が多めでよりコントロール要素の強めなもの。序盤の要となるのは《翼の司教》だ。

 タフネスが4と硬く、序盤から攻めてくるクリーチャーデッキ相手に壁役となり、カーリアから天使へと繋げればライフを4点回復でき、中盤以降に盤面では勝っているのにライフが切れて負けるという事態を防いでくれる。さらに天使が死亡してもスピリットを残して戦線を維持するという……このカードがあるから天使型の構築ができていると言っても過言ではない、屋台骨的な重要カードだ。司教で稼いだ時間を用いて、後半は各種天使とヘルカイトの空襲でゲームをまくり返そう!

 天使もデーモンもドラゴンも、いずれも含まれないセットというのは稀有なもの。秋に出る新セット『エルドレインの王権』はおとぎ話調の次元が舞台だが、何かしら新戦力は現れるだろうか? 各色の主要部族を扱うカーリアの強さは、セットを重ねるごとに高まっていくだろう! 成長性、Sランクでしょ!

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