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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

運命を血に染めて(スタンダード)

岩SHOW

 個人的に注目しているマジックプレイヤーは何人かいるが、この時代にマッチしているなと思うのはオンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráskýだ。

Ondrej-Strasky-Profile-Photo.jpg

 プロツアー(ミシックチャンピオンシップの前身)で2度トップ8に入賞している実力派で、世界選手権に出場した経験もある。彼はMTGアリーナのプレイを日々配信しており、毎月ランク戦の上位に君臨している。MTGアリーナを用いた初の賞金制トーナメントであるミシックインビテーショナルでもトップ4に入賞しており、MTGアリーナの申し子と言っても良い存在だ。

 彼は配信を盛り上げるためにも、環境最初期には本当に様々なデッキにチャレンジしており、『基本セット2020』のリリース間もないタイミングで《風景の変容》×《死者の原野》を用いた「バント・シフト」にチャレンジし、その強さを世に知らしめた立役者でもあるのだ。ニューウェーブが知りたければオンドレイ君に注目!

 今回はそんなオンドレイ君が使用していたデッキの中でも、一際異彩を放っていたデッキを紹介しよう。同じチェコのトッププレイヤーであるスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaが彼に調整するよう託した野心作で、オンドレイ自身も気に入ってリストを洗練させていた。

 どんなデッキか、百聞は一見に如かず。未知の扉、オープンッ!

Ondřej Stráský - 「ティムール・ネクサス」
スタンダード (2019年8月6日)[MO] [ARENA]
1 《
4 《繁殖池
1 《内陸の湾港
4 《神秘の神殿
4 《蒸気孔
4 《天啓の神殿
4 《踏み鳴らされる地
4 《睡蓮の原野

-土地(26)-


-クリーチャー(0)-
4 《選択
4 《成長のらせん
4 《根の罠
4 《血染めの太陽
4 《荒野の再生
3 《抽象からの抽出
2 《薬術師の眼識
4 《運命のきずな
1 《発展 // 発破
4 《伝承の収集者、タミヨウ

-呪文(34)-
1 《ハイドロイド混成体
4 《ショック
4 《夏の帳
4 《丸焼き
2 《否認

-サイドボード(15)-

 《荒野の再生》でターン終了時に土地をアンタップさせることで大量のマナを得て《運命のきずな》で追加ターンを得るコンボデッキ、いわゆるネクサス系。

 青緑の2色のものが最も一般的だが……ここにまさかまさかの《血染めの太陽》!? なんだこりゃ……?

 なぜ《血染めの太陽》なのか。それには実は冒頭で紹介したデッキが大きく関わってくる。《死者の原野》だ。2/2を14体とか平然と並べてきて、それらを全体除去で処理しても土地を置くだけで瞬時に戦線を立て直す、驚異のデッキが現スタンダードでは大きな勢力を誇っている。このデッキへのアンサーとして、マナ能力以外の能力を土地から失わせる《血染めの太陽》に白羽の矢が立ったというわけ。

 《死者の原野》《風景の変容》デッキは、どのタイプであれ《爆発域》など原野以外にも能力を持った土地を多数用いるので、それらをまとめて沈黙させる太陽は強烈に突き刺さる! このスタンダードならではの1枚をネクサスに取り込んだのだ。

 もちろん、ただ原野対策を積んだだけではなく、太陽を美味しく利用するという意志もこのデッキには込められている。《睡蓮の原野》とのコンボだ。

 《睡蓮の原野》は戦場に出た際に土地を2つ生け贄に捧げなければならず、またタップ状態で戦場に出るという、2つの嬉しくない能力を持っている。これを太陽が帳消しにしてくれる。すると……好きな色マナを3つ出せるという、最高の土地として運用できるってわけだ。強いよこいつぁ。これにより《運命のきずな》を唱えることが容易になり、《荒野の再生》から得られるマナがわけのわからないことになる。なんとまあ貪欲さに正直なデッキだろうか!

 このデッキのたどるストーリーは……ドローを進め、土地を置いて《荒野の再生》をセットする。あるいは《血染めの太陽》からの《睡蓮の原野》で、いずれにせよ大量に得られるマナで《抽象からの抽出》《伝承の収集者、タミヨウ》でさらに手札を整えつつ、隙あらば《運命のきずな》で追加ターン。《根の罠》も使って相手の攻めは無効化し、睡蓮と荒野が複数戦場に並ぶ状態を目指していく。

 十分なマナが得られるようになったら、ターン終了時にあふれんばかりのマナを注ぎ込んだ《発展 // 発破》の《発破》を唱えてゲームセット!

 《発展 // 発破》は途中で使ってもタミヨウで後から拾えるので、ここぞという時には惜しまずにX枚ドローとして使っていこう。自分1人でカチャカチャとパズルを完成させていくデッキが好きだという方は一度チャレンジしてみてはどうだろう。

 今回の取り上げたオンドレイ君のように、情報を多く発信しているプレイヤーは他にもまだまだいるので、皆も自分好みのデッキを紹介しているプレイヤーはガンガンとフォローして最新情報を得ていこう! 英語やその他の言語がわからなくても、今は簡単に翻訳できるし、何よりデッキリスト画像を見ればその全容がわかるというのがマジックの良いところだからね。

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