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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
勝率から見るMCⅣ(モダン)
前回はミシックチャンピオンシップⅣの振り返りということで、このトーナメントの最大勢力となった「ホガーク・ヴァイン」を紹介した。最大勢力に続いて、今日は別の切り口で活躍したといえるデッキを紹介しよう。
それは……勝率! トーナメントを通してどれだけ勝利したのか、その数字からこそ最強のデッキが判断できるというものだ。そして、最大勝率を誇るデッキが優勝デッキと違うということが往々にしてあるというのもマジックの面白いところである。
プロツアー殿堂顕彰者であり、いつも情報量に満ちたカバレージを熱心なプレイヤーへ提供してくれるフランク・カーステン/Frank Karstenが今回書き上げた「同型戦を排除した各デッキの勝率」を見てみると……98名の使用者を誇った「ホガーク・ヴァイン」の勝率は56.2%。多くのプレイヤーが勝ち越しているというわけだ。
この数字を超える勝率でそこそこの使用者がいたデッキは、「ホガーク・ヴァイン」よりも強かったと言えるだろう。その筆頭とも言えるのは、使用者7名で勝率60.4%のこのデッキ!
1 《山》 1 《ドライアドの東屋》 2 《踏み鳴らされる地》 2 《血の墓所》 4 《樹木茂る山麓》 3 《新緑の地下墓地》 1 《銅線の地溝》 1 《黒割れの崖》 2 《宝石鉱山》 1 《真鍮の都》 1 《忘れられた洞窟》 -土地(19)- 4 《縫い師への供給者》 4 《恐血鬼》 3 《ゴルガリの凶漢》 2 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 3 《秘蔵の縫合体》 3 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(23)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 4 《壌土からの生命》 4 《這い寄る恐怖》 2 《燃焼》 -呪文(18)- |
3 《自然の要求》 2 《稲妻の斧》 2 《思考囲い》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《突然の衰微》 1 《悪ふざけ》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
よう! 俺だよ、ホガークだよ! と言わんばかりの主張っぷり。
「ホガーク・ヴァイン」と同じく《甦る死滅都市、ホガーク》のカードパワーを活かしつつも、ちょっと異なるアプローチで攻める墓地利用デッキだ。
ドレッジとは「発掘」能力のこと。《信仰無き物あさり》《安堵の再会》《縫い師への供給者》で《臭い草のインプ》《ゴルガリの凶漢》《壌土からの生命》など発掘能力を持ったカードを墓地に落とす。
そこから通常ドローや上記の呪文のドローを発掘に置き換え、カードを引く代わりにライブラリーから規定枚数のカードを墓地に落としつつ、発掘カードを手札に戻す。
ライブラリーから墓地に落ちた《恐血鬼》や《ナルコメーバ》を墓地から戦場に出すことで《秘蔵の縫合体》もついでに蘇らせ、マナを支払って唱えることなく盤面にクリーチャーを多数並べる。
これらで攻撃しつつ《這い寄る恐怖》でライフを詰め、《壌土からの生命》で手札を増やして《燃焼》のフラッシュバック・コストに充ててフィニッシュ!というのが主な流れ。
ここにホガークが加わることで、8/8トランプルというさらなる圧力も加わってデッキは大幅に強化されている。
98名の「ホガーク・ヴァイン」と比べると、7名と使用者自体は少ないが、だからこそ7名全員が勝たなければ勝率も低くなるというもの。そういった条件下で、ただでさえ強豪ひしめく中、6割という数字を叩き出したということは無視できない事実だ。
6割の立役者は強力なメインと、そしてサイドボードにこれでもかと搭載されたパーマネント破壊呪文の数々によるものだろう。《虚空の力線》でも《墓掘りの檻》でも《安らかなる眠り》でもなんでも持ってこいや!と言わんばかりだ。
いずれかのプレイヤーがドラフトラウンドでもう少し勝っていれば、このデッキもトップ8に躍り出ることとなったのだろう。これに関しては1名しか送り出せなかった「ホガーク・ヴァイン」にも同じことが言える。ドラフトとモダンの双方で勝つということはやはり並大抵のことではない。
1 《平地》 3 《島》 1 《沼》 2 《神聖なる泉》 1 《湿った墓》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《天界の列柱》 2 《氷河の城砦》 4 《水没した地下墓地》 1 《爆発域》 -土地(25)- 4 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(4)- |
4 《選択》 4 《流刑への道》 2 《ドビンの拒否権》 4 《エスパーの魔除け》 3 《ケイヤの手管》 4 《謎めいた命令》 2 《至高の評決》 3 《論理の結び目》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(31)- |
2 《疫病を仕組むもの》 2 《儀礼的拒否》 3 《致命的な一押し》 2 《思考囲い》 2 《天界の粛清》 2 《ドビンの拒否権》 1 《ケイヤの手管》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
実は「ホガーク・ドレッジ」を上回る61.1%という最高勝率を誇るデッキが、この「エスパー・コントロール」! 使用者がわずか2名に留まったためサンプル数が少ないがゆえの数字だろうが、それでもその構成に目を通しておくことには今後のミシック予選などを戦う上では大いに意味があるだろう。
プロツアー殿堂顕彰者ギョーム・ワフォ=タパ/Guillaume Wafo-Tapa謹製のこの青白黒の3色デッキは、打ち消しとクリーチャー除去で相手の攻勢を凌ぎ、その手が緩まったならば《精神を刻む者、ジェイス》や《天界の列柱》で一転攻勢、というロングゲームを想定した古き時代を思い起こさせる、これぞコントロールと呼べるデッキだ。
《謎めいた命令》《エスパーの魔除け》とモードを選択する呪文が多く、それゆえにプレイ難易度は高いものになる。中でも注目すべきは《ケイヤの手管》。
すべての対戦相手の墓地のカードを追放するという、ホガーク系を狙い撃ちにするモードを武器に、常に最善の選択肢を選び続ければ勝利はこちらに転がり込んでくるだろう。パーマネントでない墓地対策なので、前述の通り破壊することでサイド後に勝負しようというデッキ相手にも優位に立てるというのが、このカードの良いところ。
今回はミシックチャンピオンシップⅣの勝率で見た優秀なデッキを2つ紹介させてもらった。数字がすべてのゲームではないが、時には使用率や勝率などを眺めてみるのもスポーツ的な要素で楽しい。そこからそれぞれのアンサーを導き出して、フォーマットに革命をもたらしてほしいね!
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