「時は令和元年。水無月から文月にかけ、城下の町にて怪しい噂が流布す。『見たこともないような姿かたちの忍びを見た』とのものである。

　神河より侵入せし人間、鼠、鬼といった曲者達は過去に目撃例あれど、そのいずれにもあらずとのこと。城下一の学者にその特徴を伝えたところ、一つは毘樽賢(ヴィダルケン)とのこと。多くの次元に点在する青白い肌の亜人であると。更には、那亜我(ナーガ)も紛れておるとのことである。南方に生息せし獰猛な蛇人間であると云う。極めつけは、不死者(ゾンビ)。かつて忍びだった者の躯が蘇り、欠損せし腕を杭にて補強し壁をよじ登るとあっては、これほどの怪異は他になし。

　何故これらの忍びが同時期に参集したのか幕臣一同で論じたところ、『当風地平線(モダンホライゾン)』の発売がその理由ではないかという結論に至る。同じく地平線より這い出し翼の生えた蛇とともに、闇夜に紛れるその者らを『巣龍態(スゥルタイ)忍者』と名付け、今後お尋ね者とする。」

　というわけでモダンの忍者デッキの最新リストをご紹介しよう。

　忍者の最大の特徴はなんといっても「忍術」。攻撃クリーチャーがブロックされなかった際に、忍術コストを払うことでその攻撃クリーチャーを手札に戻し、代わりに忍術持ちを攻撃している状態で戦場に出すという、トリッキーな能力だ。

　忍者のほとんどがこの忍術と、戦闘ダメージを対戦相手に与えた際に誘発する能力を持っている。軽量の飛行持ちなどで序盤から攻撃を通しつつ忍術でペースを握る、これが忍者デッキの基本的な狙いとなる。『モダンホライゾン』で新規登場した３種類の忍者たちで、お命頂戴と神出鬼没に立ち回るぞ。

　このリストでは最新の１マナ飛行クリーチャー《フェアリーの予見者》がスピーディーな忍術をサポート。

　占術２でライブラリーを操作し、《巧妙な潜入者》のドロー能力を量だけでなく質も高いものへと押し上げてくれる。

　同じく攻撃を通す要員であるのが《氷牙のコアトル》。

　飛行だけでなく、氷雪基本土地を並べることで接死も得るので、相手はブロックすることを大いに嫌がってくれるだろう。これ自身でドローして、忍術で入れ替わってアドバンテージを得て、さらにコアトルを出しなおしてドロー、というのが理想的なムーブだ。

　《致命的な一押し》などで道をこじ開けつつ《瞬唱の魔道士》で殴って忍術回収再使用、ってのも最高にオイシイ。戻すことが得になるクリーチャーも、忍者たちと同じくらいこのデッキにとっては大事な存在だ。

　ドローをもたらす上に、忍術コストの安い《巧妙な潜入者》がやはり最優先されているが、残りの忍者も強力。《霧組のナーガ》を忍術でねじ込むことに成功したら、そこから倍々ゲームの開幕だ。

　全体除去を使用しない or ブロックするクリーチャーを並べないタイプの相手は、これだけでボッコボコにできるだろう。《マナ漏出》《否定の力》で護って速やかな勝利をその手に。

　《堕ちた忍び》は相手のライブラリーに依存するのでアドバンテージが得られるかは不確定だが、いきなり《精神を刻む者、ジェイス》やら《グリセルブランド》やらが飛び出して盤面がとてつもないことになったりする、夢にあふれた浪漫忍者であることは間違いない。

　これらの忍者で攻撃することは、モダンで最も楽しい戦闘であると言っても決して過言じゃないだろう。殴れば殴るほど有利になる、This is Ninja!! 忍びの極意を極めし者がミシックチャンピオンシップでも現れるのか？ そのあたりに大いに期待したいッッ！