READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑単トロン?(スタンダード)

岩SHOW

 巷で「スタンダードのトロン」と言われているデッキがある。

 トロンとはモダンのデッキだ。《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》の3つを並べて、大量の無色マナを早いターンに得て……そこから無色のパワーカードを叩きつけて圧倒する。シンプルにして絶大な破壊力を誇り、高い人気を得ている。トロンはいくつかの形に分かれるが、現在の主流は「緑単トロン」。緑の土地サーチカードを活用してより早くウルザ土地を揃えようというスタイルだ。

 現スタンダードで見られるトロンというのも、この緑単色のものである。言うまでもなくウルザ土地は現スタンダード環境には存在しない。どういうことだろうか?

 リストを見ると分かりやすいかな、早速そのトロンの姿を拝んでみようじゃないか。

Kanye Best - 「緑単トロン?」
スタンダード (2019年5月17日)[MO] [ARENA]
15 《
4 《爆発域
4 《廃墟の地
-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《マーフォークの枝渡り
4 《楽園のドルイド
4 《野茂み歩き
4 《翡翠光のレインジャー
-クリーチャー(20)-
3 《繁茂の絆
2 《世界のるつぼ
4 《大いなる創造者、カーン
4 《世界を揺るがす者、ニッサ
4 《人知を超えるもの、ウギン
-呪文(17)-
4 《無効皮のフェロックス
1 《静かな隠し矢
2 《減衰球
2 《魔術遠眼鏡
1 《繁茂の絆
1 《強制着陸
1 《世界のるつぼ
1 《王神の立像
1 《不滅の太陽
1 《ビビアン・リード
-サイドボード(15)-
Kanye Best氏のTwitter より引用)
 

 緑ならではのマナを出す能力を持ったエルフたちと、そして森から得られるマナを2マナにする能力を持った《世界を揺るがす者、ニッサ》を用いて大量のマナが得られるようになっている、という点がトロン的な要素ではある。

 それ以上にこのデッキのトロン感を後押ししているのはカーンとウギンの二人の存在だ。モダンのトロンでは《解放された者、カーン》と《精霊龍、ウギン》の2大無色プレインズウォーカーがデッキの看板とも言える存在だ。それらよりサイズは抑え目になったが、このデッキでもカーンとウギンが主役である!

 うむ、これはトロンだね。ちと強引か? まあ「緑単ビッグマナ」とか「プレインズウォーカー・ランプ」とかで各々の呼びやすい名前で認識してあげよう。ビッグマナもランプも、緑を主体としたマナを大量に得て重いカードをプレイして勝つことを狙ったデッキのことだ。

 デッキとしてはマナを増やすのに全力一本気!……というわけでもなく、毎度おなじみ探検パッケージで戦場を固めながら戦っていくことになる。《野茂み歩き》を出してから《マーフォークの枝渡り》《翡翠光のレインジャー》でライフ回復とサイズアップをしつつ土地を手札に得る、ということを続けられれば理想的だ。

 然る後にプレインズウォーカーで盤面を制圧していきたい……ところだが、相手の戦場にクリーチャーが並びすぎてそうも簡単にいかないこともある。なのでこのデッキのコントロール要素を活用して、盤面を平らにしていきたい。《爆発域》を使うのだ。

 クリーチャーとニッサからマナを得られればカウンターを増やすことは容易で、これを投げつけて厄介なクリーチャーなどのパーマネントをまとめて吹き飛ばそう。自分のパーマネントを巻き込む点にはしっかり注意して運用したい。もちろん背に腹は代えられない場面もあるので、いざという時の思い切りが大事かな。

 この土地と《廃墟の地》を使いまわすために《世界のるつぼ》が搭載されているのも特徴だ。

 このカードもどちらかといえばモダンやレガシーのイメージがあり、スタンダードで用いるデッキを見るのは初めてかもしれない。MTGアリーナでプレイすると演出が異常なまでにカッコイイのが嬉しいこのるつぼで、《爆発域》で土地でないパーマネントを、《廃墟の地》で土地を攻め続けて持久戦に持ち込めればこのデッキの理想形だ。そう、緑単色のデッキではあるがコントロールデッキなのである。

 《大いなる創造者、カーン》はそのるつぼを含む各種アーティファクトをサイドボードから手札に加える重要なアドバンテージ源だ。その状況に合ったカードを持ってきて優位に立とう。個人的には《王神の立像》を持ってきてクリーチャー化させて殴るのが絵面も面白くて好きだ。《減衰球》は《弧光のフェニックス》デッキの対策になり《次元間の標》に頼った多色プレインズウォーカーデッキの妨害にもなる。個人的には他に万能パーマネント破壊である《隕石ゴーレム》やアドバンテージ源になる《宝物の地図》なんかも採用するのが好きだ。皆も使いたいアーティファクトを仕込んで楽しんでほしい。

 《人知を超えるもの、ウギン》はパーマネントをバキバキと破壊し、2/2のトークンを戦場に展開して攻めにも守りにも有能なデッキの守護神的な存在だ。彼とニッサが並ぶと、毎ターン2/2と3/3がどんどんと増えていく。プレインズウォーカー同士の睨み合いを一方的に制することができるだろう。無色の呪文を2マナ軽くする能力で、カーンとその秘密道具の展開速度を速めてくれるのも嬉しいところ。ウギンが生き延びて定着できれば、勝利はもう目の前だ。

 個人的には緑の大量マナから大型呪文!というデッキがとても好きなので、こういうデッキが登場してきてくれたのは嬉しい限りだ。ニッサは森タイプを持っていれば《草むした墓》のような土地からも得られるマナを増やしてくれるので、2色の形も模索してみたいね。《戦争の犠牲》を使いたいなぁ。皆もいろいろ試して、強い形が分かったらこっそり教えてね!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索