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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
疫病アブザン(レガシー)
「ファイレクシアの強襲」という構築済みデッキがあった。『ウルザズ・サーガ』で描かれた機械の軍団・ファイレクシアがより本気度を増したのが続くセット『ウルザズ・レガシー』。この構築済みデッキはこのセットの魅力を伝えるのにうってつけの存在だった。
当時中学生だった僕も、迷わずこのデッキを買った。そこにはサーガで描かれた以上にえげつないファイレクシア産のカードが多数収録されていた、中でも《ファイレクシアの疫病王》はカッコイイ上に強くて、最高の1枚だった。多くの少年少女がこのカードにハートを鷲掴みされたことだろう。
この構築済みデッキにはもう1つ、個人的に強くそそられるカードがあった。《仕組まれた疫病》だ。
まずカード名のデンジャラスな響きがたまらない。指定したタイプのクリーチャーのみが-1/-1修整を受けるというのも、初心者ながらにいやらしいデザインだなぁと大変に好みのものだった。その能力がイラストを見ればよくわかるのも良かったね。鎖で縛りつけられたゴブリンとヴィーアシーノ、鼻水をたらすなどウィルスによるダメージを受けているのはゴブリンのみ……ダークな背景とも相まって、一度見たら忘れられない1枚だ。
このカードを使いたくてデッキに入れていたが、当時はまだクリーチャータイプを統一した部族デッキは数少なく……そもそも、人間のタイプがなくて皆クレリックやウィザード、ノーマッドなんかに散っていたのでどれを指定してもごくわずかのカードにしか被害を与えられなかったものだ。
今では適当にデッキを組んでも人間が多数入る時代。レガシーであれば、部族デッキも少なくない。そもそもタフネス1の特定のクリーチャーが戦場に存在できないようにするだけでも効果があるデッキもいるしね、《吸血鬼の呪詛術士》とか。
それでもこのカードを使っているデッキというのは珍しいものであり、それもメインから複数採用している今日のデッキなんかは、どのデッキにも分類されないオリジナル存在と言えるかもしれない。リストはこれだ。
2 《森》 1 《冠雪の森》 2 《ドライアドの東屋》 1 《沼》 1 《冠雪の平地》 1 《Bayou》 1 《Savannah》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《新緑の地下墓地》 1 《ボジューカの沼》 1 《陰謀団のピット》 1 《カラカス》 3 《不毛の大地》 1 《幽霊街》 1 《市長の塔》 2 《イス卿の迷路》 -土地(26)- 4 《聖遺の騎士》 3 《クルフィックスの狩猟者》 1 《秋の騎士》 1 《ラムナプの採掘者》 -クリーチャー(9)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《森の知恵》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《未練ある魂》 2 《仕組まれた疫病》 1 《窒息》 1 《大渦の脈動》 1 《三なる宝球》 4 《緑の太陽の頂点》 4 《虚空の杯》 -呪文(25)- |
2 《ガドック・ティーグ》 3 《フェアリーの忌み者》 1 《剣を鍬に》 1 《湿地での被災》 2 《窒息》 2 《仕組まれた疫病》 1 《大渦の脈動》 1 《謙虚》 1 《虚空の力線》 1 《ボジューカの沼》 -サイドボード(15)- |
メイン・サイド併せて4枚の《仕組まれた疫病》、そして疫病のみならず《窒息》までメインに投入という心意気。ハマれば強い、そうじゃない場合は引かなければよかろうなのだ、ってことでこのデッキには緑が誇るドロー操作の中でも最高峰の《森の知恵》がフル投入されている。《森の知恵》コントロールと言っても差し支えない構築だ。
この《森の知恵》を1ターン目から戦場に出すために《モックス・ダイアモンド》で加速する。モックスダイアの加速を知恵のためだけというのももったいないので、《虚空の杯》による1マナ圏ロックも狙う。
杯を使うので《剣を鍬に》や《致命的な一押し》といった定番軽量除去が使えないので、マナ域をずらして1枚で多数を処理できる疫病を採用しているのかもしれない。というわけでレガシーに多く存在する低マナ域に偏ったデッキ・低タフネスの人間を多く使ったり部族が統一されているデッキ・青いデッキを狙い撃ちした、環境が生み出した魔物のような存在である。
《聖遺の騎士》もこのデッキのキーカードで、これで《ボジューカの沼》や《カラカス》などの特定のデッキに突き刺さる土地を探してきて優位に立つ。
ほとんど基本でない土地でマナ基盤が構成されているデッキなんかには《不毛の大地》《幽霊街》を投げつけよう。《ラムナプの採掘者》でハメられれば完璧。
そうこうしているうちに墓地の土地が増え、膨れ上がった聖遺で2~3回殴って勝利!というのがこのデッキの描き出したいストーリーだ。一昔前のレガシーっぽさが色濃くて、なんだか懐かしく思える。
ふと気づいてしまったのだが、『ウルザズ・レガシー』が発売されたのは1999年2月。20年経ってるのか、ヒエ~ッ。あの頃で出会った《仕組まれた疫病》が今でもシブいデッキで活躍しているなんて、なんだか嬉しいね。これからもこんな感じで、「古い友人」たちが載っているリストを見つけてはニンマリしてしまうんだろうな。幸せなことだ。
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