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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
モダン強化週間:蘇りし者たち
モダン強化週間最終日、本日紹介するのは今モダンにおいて旋風を巻き起こしている、墓地利用デッキたちだ。これらのデッキは、真面目なデッキから見るとズルいことをやっている。マナを支払ってクリーチャー呪文を唱えるのではなく、その能力を利用して墓地から戦場に直接展開するのだ。本来ならば失ったはずのものが集まる墓地を、まるで手札のように利用する……ゆえにこれらのデッキは強く、高い使用率を誇っている。
まずは墓地利用デッキの代名詞とも言える、こちらのデッキからいってみよう!
2 《山》 2 《血の墓所》 2 《踏み鳴らされる地》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 2 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 4 《銅線の地溝》 1 《宝石鉱山》 1 《マナの合流点》 -土地(19)- 4 《恐血鬼》 4 《ナルコメーバ》 2 《ゴルガリの凶漢》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《臭い草のインプ》 -クリーチャー(18)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《叫び角笛》 1 《暗黒破》 4 《安堵の再会》 4 《壌土からの生命》 4 《這い寄る恐怖》 2 《燃焼》 -呪文(23)- |
1 《復讐に燃えたファラオ》 4 《自然の要求》 3 《稲妻の斧》 1 《暗黒破》 3 《古えの遺恨》 1 《突然の衰微》 1 《集団的蛮行》 1 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
発掘能力を用いて墓地にカードを大量に落としてワルいことしちゃおうというコンセプトの「ドレッジ」だ。
《信仰無き物あさり》《安堵の再会》《叫び角笛》で発掘持ちを墓地に落として、その後のドローは発掘に置き換える。既定の枚数のカードがライブラリーから墓地に落ち、その中に《ナルコメーバ》がいればそのまま戦場へ。《恐血鬼》がいれば土地を出して上陸能力で蘇らせる。その土地も発掘で回収した《壌土からの生命》があれば問題なく用意できる。
こうやって墓地から戦場にクリーチャーが出たことで、ターン終了時には《秘蔵の縫合体》ものそのそと出てくる。こうやって盤面をクリーチャーで覆いつくして相手のライフを詰めていこうというデッキだ。
この戦略の何が強いかって、破壊するタイプの除去で対処しても簡単に盤面を復元されてしまうというところ。中途半端な対処は焼け石に水で、ターンを経るごとに発掘で墓地が膨れ上がっていって、ついには対処不能で圧殺されてしまうだろう。
また、「ドレッジ」はこれらのクリーチャーだけでなく、飛び道具も強力。《燃焼》はフラッシュバックで唱える際に、コストを手札を捨てる形で支払う。
《壌土からの生命》で土地を拾って手札を増やして、まとめて捨てて本体やクリーチャーにダメージをばらまいてやろう。
そしてマナも手札も消費せず、相手のライフを3点吸い取る《這い寄る恐怖》、これが強烈だ。
防御に関しては不得意なこのデッキが、殴り合いを制するのを大いに後押ししてくれる。予測不能な角度からの逆転劇も演出してくれる、「ドレッジ」が他のデッキに対して誇れる1枚だ。これらのおかげで《罠の橋》で詰むこともない。
3 《島》 2 《山》 2 《蒸気孔》 4 《沸騰する小湖》 1 《霧深い雨林》 1 《汚染された三角州》 4 《尖塔断の運河》 1 《硫黄の滝》 -土地(18)- 4 《氷の中の存在》 1 《瞬唱の魔道士》 4 《弧光のフェニックス》 2 《弾けるドレイク》 -クリーチャー(11)- |
2 《外科的摘出》 4 《思考掃き》 4 《信仰無き物あさり》 4 《血清の幻視》 4 《手練》 4 《稲妻》 2 《稲妻の斧》 4 《魔力変》 2 《紅蓮術士の昇天》 1 《漂流》 -呪文(31)- |
2 《払拭》 2 《呪文貫き》 1 《外科的摘出》 2 《削剥》 2 《血染めの月》 1 《神々の憤怒》 1 《標の稲妻》 1 《貪欲な罠》 1 《粉砕の嵐》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《イゼット副長、ラル》 -サイドボード(15)- |
「ドレッジ」も人気・使用率ともに高いデッキだが、今モダンでの人気ナンバーワンといえばこのデッキ、「イゼット・フェニックス」!
スタンダードでも人気のアーキタイプが、モダンのより強力なインスタント&ソーサリーで武装して、一躍モダンの顔とも言えるデッキに。《思考掃き》《信仰無き物あさり》《稲妻の斧》といった呪文で墓地に《弧光のフェニックス》を落とし、あと2回インスタント or ソーサリーを唱えて、戦闘時に戦場に舞い戻らせたそれでガツガツとライフを詰めていく。《魔力変》などのドロー付きの呪文でこのアクションを行うので手札が尽きにくいのが強みだ。
また、フェニックスのみで勝とうというわけではなく、むしろ強烈なのは《氷の中の存在》だったりもする。
これをハイスピードで《目覚めた恐怖》に変身させ、盤面のクリーチャーを吹っ飛ばしつつ7点ダメージを叩き込むという動きは、クリーチャーで勝とうとするデッキにとって悪夢以外のなにものでもない。
この変身とフェニックス復活をいち早く行うための0マナの呪文であり、かつ同型のフェニックス対策にもなる点からメインに《外科的摘出》を複数枚採用するというのが今のトレンド。こいつぁ恐ろしい話だ。
また、それを見越して、さらなる勝ち手段として《紅蓮術士の昇天》を搭載するのも一般的になってきた。倍々ドローを連打して《稲妻》を見つけて大ダメージを叩き込もう。
先月開催されたグランプリ・ビルバオ2019ではこの「イゼット・フェニックス」の使用率はダントツの13.4%。2日目には22.2%と、5人に1人はこのデッキを使用している形に!(参考)そのまま優勝して、まさにこのトーナメントを支配する存在となった。
もちろん対策はされてはいるが、上述の通り多様な攻めを有しているために、それでもなお強いデッキとして君臨している。
本日紹介したデッキのおかげで、サイドボードに墓地対策を用意することの重要さがわかっていただけただろう。ただ問題は、どのカードをどれだけ採用するか、そのバランスである。ハマれば最強な《虚空の力線》も、デッキの安定性がダウンするという弱点がある。もちろんこれらの対策カードをそれらのデッキが黙って見過ごすわけもなく、対策への対策が飛んでくることもお忘れなく。
そんなわけで、モダンのサイドボードは15枚じゃ足りない!という悲鳴をよく耳にする。明日から開催されるグランプリ・横浜2019、プレイヤーたちはサイドボードも含めてどんなデッキを用意するのか? そこを楽しみながら観戦してほしいね。モダン強化週間がその一助になったのであれば幸いだ。
グランプリに出ないという方も、マジックフェスト会場には楽しいイベントがたくさんあるので、ぜひ遊びに来てほしいね! それじゃあ、Have a nice weekend!!
グランプリ・横浜2019 実況生放送
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