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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スゥルタイ・ミッドレンジ(スタンダード)
マジックのデッキを形容する際に「丸い」というフレーズを用いることがある。尖っている、の逆の様というわけだ。
尖っているデッキと言えば、バーンなどに代表されるライフを減らすことに一直線なデッキや、開幕1~2ターン目にコンボを決められなかったら負けを覚悟しているデッキなんかが思い浮かぶ。デッキにたった4枚だけのキーカードに依存しているデッキなんかもそうだ。
対して丸いデッキというのは……「最大の売りはこれ!」と異常なまでに特化した部分はないが、デッキを構成するカードは万能なものが多く、安定した動きが約束されているデッキのことだ。クリーチャーで殴れて相手のクリーチャーも除去でき、アドバンテージを得るカードも多少ある、いわゆるミッドレンジと呼ばれる中速デッキなんかがそうだね。こういったデッキは尖らせていない分、メインはそこまで強くなかったりするのだが、対応力の高さでサイド後の勝率で勝負するスタイルのものも多い。
現環境で言えば、「スゥルタイ」がまさしくそれだ。優れたパーマネント除去と戦線を支えられるクリーチャー、《ビビアン・リード》と《ハイドロイド混成体》によるアドバンテージ獲得で勝つ……
戦闘がムチャクチャ得意とか、呪文の応酬は任せろってなデッキでもないんだけれども、不得意なこともさしてないのがイイところ。グランプリ・京都2019ではトップ8に3名ものプレイヤーを送り込んだのも記憶に新しい。3名とも世界クラスの実力を持ったプロプレイヤーであるというのも印象的だった。どっしりと、相手に合わせながら戦っていくというスタイルは実力者にとって好みのものだったのかもしれない。
それではリスト確認のお時間だ。
4 《森》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《繁殖池》 1 《内陸の湾港》 4 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 1 《愚蒙の記念像》 -土地(24)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《野茂み歩き》 1 《培養ドルイド》 4 《翡翠光のレインジャー》 3 《人質取り》 1 《殺戮の暴君》 4 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(25)- |
3 《喪心》 2 《ヴラスカの侮辱》 3 《採取 // 最終》 3 《ビビアン・リード》 -呪文(11)- |
4 《クロールの銛撃ち》 2 《打ち壊すブロントドン》 1 《殺戮の暴君》 4 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《喪心》 1 《ヴラスカの侮辱》 -サイドボード(15)- |
前環境の終盤では「ゴルガリ」が一大勢力を誇ったものだが、『ラヴニカの献身』環境ではそれに《ハイドロイド混成体》を追加して、よりミッドレンジとしての完成度を高めたこの「スゥルタイ」がそのポジションを受け継ぎ、環境最初期から終盤まで強力デッキとしての地位を死守した。
このデッキの1つの勝ち筋である、《野茂み歩き》を探検クリーチャーで肥大化させるパッケージ。
これがある限り、アグロデッキ相手には有利に戦っていける。特に赤単系のデッキは、野茂みのもたらすライフ回復により相手の戦略を否定することができるのが強みだ。何せ《翡翠光のレインジャー》を出せば、3/5の壁と6点のライフを同時ゲットだからね、そのまま余力を持ってハイドロイドに繋げて逃げ切りってのが必勝パターンで、これがある限りは環境有力デッキの座はそうやすやすと譲らんぞと。
探検クリーチャーはただ回復をサポートしているわけではなく、自身も相手のクリーチャーと相討ちを狙えるポテンシャルと、このデッキにとって最も大事な土地を確保する役目も担っている。次のドローが不要なものであれば墓地に送って、必要であればそれを元にプランを立てて行動できるという点も魅力的で、腐ることはまずないのが魅力的。
同じく、対ハイドロイドのアンサーでありながらそれだけに留まらず、クリーチャーデッキ全般にとって有効に機能し、《宝物の地図》のようなアーティファクトも奪ってしまえる《人質取り》もこのデッキの柔軟性の高さの象徴と言えるだろう。
同型戦ではこれの使い方が勝負のカギを握っていると言っても良いだろう、ハイドロイドを奪って唱えられたら最強だが相手もそれをそうやすやすとは許してくれない……臨機応変にベストな動きをさせて戦局を有利にしていこう。無駄遣いは禁物!
打点を弾き出すフィニッシャーであり、ライフと回復をもたらすハイドロイド。これと上述の連中を墓地から拾える《採取 // 最終》の《採取》の使い方も重要だ。
状況によっては全体除去《最終》として用いることができるのもまたこのデッキの柔軟さを……何度柔軟と言えばいいのやら。さすがはクラゲのバケモンを核にしているデッキである。これらと《喪心》《ヴラスカの侮辱》で盤面を万全に持っていき、《ビビアン・リード》を安定運用できるようになれば……すなわち勝利だ。
自分より遅い、すなわちカードパワーの高い構成のデッキと戦うと苦しい展開になることもあるが、そこはサイドの《強迫》と《軽蔑的な一撃》でなんとかすることができる。環境が変わっても変わらず頼れる《殺戮の暴君》でも圧をかけていこう。
緑絡みのデッキなので《クロールの銛撃ち》を採用できるのも強みだ。青単なんかはこれでグエーと言わせてやろう。
ご覧のようにぶっ飛んだカードはないのだが、すべてが堅実で真っ当に強いカードで構成された「スゥルタイ」。次期環境でも新戦力を得て、その鉄板っぷりを増すのか? あるいは青に変わる代わる3色目の候補が出てくるかもしれないね。
新ビビアンやヴラスカの登場も確定しているので、その辺りも楽しみだ! マジックの王道的な戦い方を求めているプレイヤーは、このデッキを組んでみよう!
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