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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
猛毒の群れ(ヴィンテージ)
ヴィンテージというフォーマットに対して、あなたはどのようなイメージを抱いているだろうか?
「敷居が高い」と感じている人はかなり多いだろう。このフォーマットには原則的には禁止カードはなく(ゲーム以外の部分で勝負するカードなどは禁止されている)、他のフォーマットではとてもじゃないが使うことが許されそうにないカードを1枚制限で用いることができる。古のとんでもないデザインのパワーカードも使えるのが魅力だが、これすなわち25年前の絶版セットのカードを持っていることがスタートの条件のようになっているので、敷居が高いと感じてしまうのは自然なことだろう。
それでも割合は少なくとも、手に入りにくいカードを集めてヴィンテージのデッキを用意し、このフォーマットを遊ぶプレイヤーは存在している。思うに、彼ら彼女らはマジックが大好きなのだ。ヴィンテージのトーナメントなどを見ていて感じるのは、皆本当に楽しそうにプレイしているなということ。共通の趣味の中でも特にディープなものを共有する仲間が集まって、ヴィンテージでのみ許されたカードの力に酔いしれている……一種の社交場のような雰囲気がある。
ヴィンテージプレイヤーのマジック大好き度は、デッキリストからも感じることがある。《Black Lotus》や各種Moxでマナ加速ができ、《Ancestral Recall》で簡単に手札を増やしたり《悪魔の教示者》で何でもカードを探してこれたりするヴィンテージ環境。どこまでも強さを追求したデッキを作ることもできるが、「これらでバックアップすればどんなデッキでも割と形になる」という特性もある。ゆえに、「今日はあえて流行りものではなく、このマニアックなコンボを狙いにきたんだ!」といった遊び心にあふれたデッキリストも多く見る。
今日紹介するリストも、わざわざそんな勝ち手段を狙わなくてももっとスマートなコンボは組めそうなところを、あえて楽しさ重視で組まれた感満載、まばゆいマジック愛を放っているものだ!
1 《島》 3 《Underground Sea》 3 《汚染された三角州》 4 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 4 《墨蛾の生息地》 -土地(17)- 4 《荒廃の工作員》 2 《疫病のとげ刺し》 3 《大祖始》 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(10)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 2 《精神的つまづき》 1 《呪文貫き》 1 《狼狽の嵐》 2 《致命的な一押し》 1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 1 《思案》 2 《定業》 1 《ギタクシア派の調査》 1 《Demonic Consultation》 1 《神秘の教示者》 1 《吸血の教示者》 1 《悪魔の教示者》 1 《Time Walk》 1 《修繕》 4 《意志の力》 1 《冒涜の行動》 4 《猛火の群れ》 -呪文(33)- |
2 《トーモッドの墓所》 3 《鋼の妨害》 3 《ハーキルの召還術》 3 《実物提示教育》 4 《貪欲な罠》 -サイドボード(15)- |
ヴィンテージで「感染」デッキ!
ヴィンテージで毒による勝利自体は、実は珍しいものでもない。《修繕》から《荒廃鋼の巨像》を高速展開して一撃で毒殺を狙うというのは、たった2枚分のスロットで仕込めるので多くのデッキがサブの勝ち手段として潜ませている。
ただこのデッキでは、その《修繕》ルートも用意しながら、他の感染持ちクリーチャーも採用して本気で毒殺しようという姿勢で組まれている。良い趣味してるぜ!
メインとなる毒殺ルートも、実は真面目なビートダウンではなくコンボである。まずは感染能力を持ったクリーチャー、中でも回避持ちでコストの軽い《荒廃の工作員》か《疫病のとげ刺し》、あるいは《墨蛾の生息地》を出す。
これで攻撃し、通ったところに《猛火の群れ》!
このカードは真面目にコストを払う代わりに、手札から赤いカードを追放することでも唱えられる。そのカードのコストがXに代入され、クリーチャーのパワーが上昇する。9マナ以上のカードを追放すれば感染持ちのパワーが10以上になる。戦闘ダメージを与えて、一・撃・必・殺。そのために唱える気は全くない《大祖始》と、もしかしたら唱えるかもしれない《冒涜の行動》がデッキに入っている。これらをコストにした《猛火の群れ》で最速2ターン目の勝利を狙う、なかなかに熱気が漂う熱いデッキだ。
元々はモダンで使用されたコンボデッキであり、3ターンキルを頻発させたために《猛火の群れ》は禁止となった。日の目を浴びることがなくなったコンボをヴィンテージで輝かせるという、粋も感じるね。
サイド後は使い捨てのコンボパーツだった《大祖始》を《実物提示教育》で直接戦場に出し、2回殴って勝つというプランに切り替えることもできる。
メインにあまりクリーチャー除去を搭載しないヴィンテージという環境の隙を突いてメインを勝ち、ガードが上がったサイド後はよりどっしりと戦う方に切り替える。やんちゃなようで冷静さも持ち合わせているところが良いね。
トーナメントでの結果は3勝3敗と勝ち越しとはならなかったようだが、おそらくゲーム自体はとても楽しいものだったろうな。こういうついつい応援したくなるリストがこれからも見られることを祈っている。
敷居が高くともリストを見るだけでも楽しいのがマジック。自分がやっていないフォーマットのデッキリストにも、一度目を通してみてはいかがかな。きっと面白い発見が待っていると思うよ!
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