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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

コモン・オブ・ザ・デッド(Pauper)

岩SHOW

 何があるのかわからないのがマジックの世界。プロツアーがミシックチャンピオンシップへと名称を変えることになるとは、昨年の今頃は思いもしなかったもんだ。

 このミシックチャンピオンシップへの参加権利を得るための予選は、略してMCQと表記される。MCQはただ名称が変わっただけでなく、1つ新しい試みが行われている。これまでの予選に用いられることがなかったフォーマットの導入だ。コモン限定構築戦、Pauperで本戦出場の権利を懸けて争うという初めての試みがなされたのだ。

 Pauperはずっとカジュアルなフォーマットであり、これを日ごろから遊んでいたプレイヤーもまさかここからプロたちが戦う舞台へと道が繋がるとは思いもしなかったことだろう。

 今回はこの3月にロサンゼルスにて開催されたMCQの決勝ラウンドに進出する活躍を見せたデッキを1つ、紹介しよう。

John Poglodzinski - 「黒単ゾンビ」
マジックフェスト・ロサンゼルス2019開催 Pauper MCQ トップ8 / Pauper (2019年3月3日)[MO] [ARENA]
19 《
2 《やせた原野
1 《ボジューカの沼

-土地(22)-

4 《屍肉喰らい
4 《ただれたミイラ
1 《よろめくゴブリン
4 《スゥルタイの使者
4 《グール起こし
4 《アスフォデルの灰色商人
3 《宝石の手の汚染者

-クリーチャー(24)-
3 《グール呼びの詠唱
3 《チェイナーの布告
3 《血の署名
2 《名も無き転置
2 《不純な捧げ物
1 《黒死病

-呪文(14)-
4 《腐敗を導く者
2 《墓所を歩くもの
3 《強迫
1 《チェイナーの布告
4 《押し寄せる砂
1 《黒死病

-サイドボード(15)-
ChannelFireball より引用)

 トップ8にはバラエティー豊かなデッキが顔を並べており、見ているだけで面白かったのだが……その中から1つ選べと言われたらどうしてもこのデッキになってしまうのがゾンビ好きの性か。というわけで「黒単ゾンビ」だ。

 Pauperはコモンのカードのみが使用できるので、やれることの幅は他のフォーマットよりも限られてくる。そんな限られたカードプールの中でも、ゾンビはとても多くのセットに収録されているため、コモンと言えどもバリエーション豊かな面々が揃っている。

 さまざまなゾンビの中でも「ゾンビデッキを組みたい!」と思わせる最高の1枚がある。それが《アスフォデルの灰色商人》。

 ゾンビを並べて盤面に黒の信心を集めて、コイツの能力でその数だけライフを吸うという、理想的なフィニッシュをもたらしてくれる。灰色商人だけであればゾンビにこだわる必要もないのだが……ここに《宝石の手の汚染者》が加わることでゾンビデッキを組む意味が出てくる。

 ゾンビを並べれば並べるほど、相手のライフを削り取れる。たとえ相手のクリーチャーよりもサイズが小さくて攻撃できなくても、飛び道具で相手を仕留められるのは頼もしい。《宝石の手の汚染者》はサイクリングのコストも2マナと軽く、気軽に使える点が嬉しい。またサイクリングで捨てたものを、《グール呼びの詠唱》《グール起こし》で回収してまた投げつけるという必殺ムーブを決められる。ただ並べて殴るだけでない、ちょっとしたコンボ的な動きがあるのが楽しいね。

 コンボムーブと言えば《屍肉喰らい》!

 《ただれたミイラ》《よろめくゴブリン》《スゥルタイの使者》と、死亡すると能力が誘発するゾンビが揃っているので、これらを思い切りパクパク食べて《屍肉喰らい》のサイズを上げながらゲームをコントロールしていこう。

 この食わせたゾンビも《グール起こし》《グール呼びの詠唱》で回収して……というわけで、このデッキの影の主役はこのWグールである。

 他のフォーマットであまり見ないこれらのカードが活躍しているのは、マジック好きとしてなんだか嬉しくなってくる。

 Pauperは今後もMCQに選ばれたり、あるいは他の形でフィーチャーされることがあるかもしれない。今好きでプレイしている人はどうかそのまま楽しみながら続けてやってほしい。興味がある人も挑戦してみてほしい。どんなフォーマットでもプレイし続けていれば、何か思わぬスポットライトが当たるかもしれないからね!

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