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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

4色フェニックス(レガシー)

岩SHOW

 ミシックチャンピオンシップにて復活を果たした弧光のフェニックス》。これぞまさに不死鳥だ。スタンダードのみならず、モダンとレガシーでも墓地から飛翔を繰り返す、稀代の名クリーチャーである。

 マジックにおいて、「マナを支払わずに○○できる」というカードは強いのである。マナなしで3/2飛行・速攻を召喚できるのは偉大だ。まあこのカードの場合は、インスタントかソーサリーを唱えるのが条件であるため、完全にコストフリー、とまではいかないが……それらの呪文がドローであれば手札は減らないし、そのコストが軽ければ軽いほど実質無料ってやつに近づいていく。

 軽くて手札が減らないカードは、カードプールが拡がれば拡がるほど増えるので、それこそレガシーのフェニックスは強烈な存在だろう。《渦まく知識》に《思案》があり、《納墓》などの墓地に送る呪文も完備されている。

 ここに更に、「コストが0で手札が減らない」というとんでもない呪文が加わった形のフェニックスデッキが新たに姿を現した。《魔力変》も実質コスト0でドロー付きだが、これを上回る「唱えるためのマナ・コストが0」の呪文だ。

 では、もったいぶらずにその正体を暴くとしよう!

David Raczka - 「4色フェニックス」
Star City Games Legacy Open Syracuse 19位 / レガシー (2019年3月2~3日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
3 《Underground Sea
2 《Tropical Island
1 《Bayou
1 《Volcanic Island
4 《汚染された三角州
-土地(13)-

3 《氷の中の存在
2 《恐血鬼
4 《弧光のフェニックス
-クリーチャー(9)-
4 《渦まく知識
4 《入念な研究
4 《思案
4 《思考掃き
4 《納墓
4 《陰謀団式療法
2 《コジレックの審問
1 《思考囲い
4 《土地譲渡
4 《魔力変
3 《意志の力
-呪文(38)-
2 《外科的摘出
1 《思考囲い
4 《蓄積した知識
3 《突然の衰微
2 《古えの遺恨
1 《暗殺者の戦利品
1 《記憶の旅
1 《歩哨の塔
-サイドボード(15)-
Star City Games より引用)
 

 正解は《土地譲渡》!

 手札に土地がない状況であれば、それを公開することでマナの支払いなしで唱えられるという一風変わったソーサリーだ。ライブラリーから森タイプの土地を持ってこれるので、それを1~2枚のみ採用したコンボデッキにて用いられているカードだったのだが……まさか、このようなデッキで採用されるとは夢にも思わなかった。

 このリストは土地が13枚と絞られており、0マナで唱えることは容易い。これ4枚を土地とカウントできるので、実質17枚となって初手をキープしやすくなる。ライブラリーの中の土地の枚数を少なくし、インスタント&ソーサリーの連打に貢献と、確かにフェニックスとの相性は◎。

 せっかくこの《土地譲渡》で土地を手札に得るのだから、それをただマナとしてだけでなくもうちょっと上手く使おう……という意図があるのだろう、《恐血鬼》が入っているのも興味深い。

 上陸能力で戦場に出たこれで殴る、というのもあるだろうが、大抵の場合は《陰謀団式療法》のフラッシュバック・コストに充てるのだろう。例えば……《渦まく知識》で《恐血鬼》と《陰謀団式療法》をライブラリーの上へ。続けて《思考掃き》でこれらをまとめて墓地に落とし、上陸で《恐血鬼》を戦場に戻して療法をフラッシュバック。計2マナでインスタントとソーサリーが3回唱えられ、フェニックス復活の条件を満たしつつ《剣を鍬に》のようなカードを相手の手札から叩き落すことができるという、ビューティフル・ムーブを決められる!

 このように、デッキのカードが1枚1枚では効果が薄くとも、組み合わせることで大きな結果が得られる、パズル的な面白さを持ったデッキだ。

 基本戦略は、とにかく呪文を連打してフェニックスを復活させて殴る。ただこれだけでは打点不足な部分もあるし、相手のクリーチャーとの殴り合いに負けてしまう可能性もあるので、《氷の中の存在》を併用している。《目覚めた恐怖》に変身させて相手のクリーチャーを吹っ飛ばし、パワー7でガツンと一撃お見舞いしてやろう。

 これらのクリーチャーでの攻めと、手札破壊のよる妨害で勝つデッキであり、プレイング難度はやや高めとなるだろう。ただ、愛情を持って回せば回すほど、手に馴染む楽しいデッキであろうことは伝わってくる。《土地譲渡》というチョイスが良いんだよなぁ。

 サイドボードにも《歩哨の塔》という珍しいカードがとられていたり、大量のパーマネント破壊と《蓄積した知識》などがあることから、デッキの動きをガラリと変えてコントロール要素を高めて戦うようにスイッチすることが想像できる。ここまで野心的なリストをレガシーで見たのも、久しぶりだ。

 フェニックスはメジャーな存在となったかもしれないが、それを活かす手段はまだまだ眠っているようだ。皆も「これ、相性良いんじゃないか?」と思ったらぜひ試してみてほしいね。僕は《壊滅的な夢》で盤面を更地にしてフェニックスだけにするデッキをプレイしたいと考えているよ!

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