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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ネクサス系あれこれ(スタンダード)

岩SHOW

 Nexus(ネクサス)、意味は連鎖・結び・関係などなど……2つ以上のものが関わりを持っている様を表す単語だ。マジックのカード名において、これは主に「きずな」と訳されている。人と人が関係を深い関係を結ぶというよりも、ある現象とその原因の因果関係を描いているものに用いられている。

 最近話題のネクサスと言えば、《運命のきずな》。

 追加ターンを得て、墓地に置かれる際には代わりにライブラリーに戻っていく……すなわち使い切りではなく、引くことができればもう一度唱えられる。ライブラリーがこれのみになれば、いつまでも自分のターンを続けられる……7マナというコストが安く感じられるほどパワフルなインスタントだ。

 これを各種ドローや《水没遺跡、アズカンタ》から見つけて連打する、という決着方法を搭載したデッキが、ここ半年ほどスタンダードに存在し続けている。「バント(白青緑)ネクサス」ってやつだ。

 このデッキはプロツアーで輝きを放ったこともあるが、どちらかと言えばマニア向けのデッキという位置づけだった。対コントロールデッキにて勝利を収めることが難しいというのもあって、支配的な強さを発揮するというほどではなかったが……メインデッキ戦のみのMTGアリーナのランク戦においては高い勝率が見込めるため、使用者は多かった。

 そして『ラヴニカの献身』にて、デッキがバッチリ強化され……環境でも上位に位置する、強力・人気デッキとなった。今週末のミシックチャンピオンシップでもその独特な動きを見せつけることになるか? リストをおさらいしてみよう。

Will Craddock - 「バント・ネクサス」
Star City Games Standard Classic Dallas 3位 / スタンダード (2019年2月10日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
4 《神聖なる泉
3 《氷河の城砦
3 《寺院の庭
3 《陽花弁の木立ち
1 《オラーズカの拱門

-土地(25)-


-クリーチャー(0)-
4 《成長のらせん
4 《活力回復
4 《根の罠
3 《アズカンタの探索
4 《薬術師の眼識
4 《荒野の再生
1 《予知覚
4 《運命のきずな
4 《解任 // 開展
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー

-呪文(35)-
3 《拘留代理人
3 《秋の騎士
2 《黎明をもたらす者ライラ
2 《原初の潮流、ネザール
4 《否認
1 《アズカンタの探索

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 相手の攻撃は《根の罠》などでスルーし、とにかくドローを連打する、という動きから《濃霧》を用いた過去の同タイプのデッキになぞらえて「ターボ・フォグ」と呼ばれることも多い。

 《根の罠》系の呪文だけではただ手札が減るだけなので、《活力回復》や《解任 // 開展》の《解任》といったドロー付きの呪文、通称キャントリップも用いて、相手の攻撃から身を守りながらキーカードを目指してライブラリーを掘り進んでいく。

 このデッキのエンジンである《荒野の再生》を設置したら、もう止まらない。

 《薬術師の眼識》やアズカンタの能力を同一ターンに複数回行って、《運命のきずな》を手に入れて終わりの来ない終わりへと突き進む。《荒野の再生》の能力で土地がアンタップするのに対応してマナを出し、アンタップ後にさらに得たマナで《運命のきずな》を唱えて……とやりだせば、もう対戦相手は心が折れて投了となることが多いだろう。

 一応の勝ち手段は、テフェリーの紋章で相手のパーマネントをすべて吹き飛ばし、毎ターンのドローで土地1枚以上のものを出せなくさせてしまってライブラリーアウトまでもつれこませるか、あるいは延々と続く自分のターンの中で《解任 // 開展》の《開展》から出した飛行機械で殴りきるか。まあ完走する前に勝負ありとなるのが普通だ、1本目とかで最後まで見届けてしまうとラウンドの残り時間も無くなってしまいかねないしね(笑)。サイド後はクリーチャーを増やして殴るというプランも持っているので、うっかり除去を全抜きしないように気を付けよう。

 最近では「もはや白はいらないのでは?」と、青緑の2色でまとめたものも主流となっている。以下がそのリストだ。

John Johnson - 「シミック・ネクサス」
Star City Games Standard Open Dallas 4位 / スタンダード (2019年2月9~10日)[MO] [ARENA]
6 《
5 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
2 《シミックのギルド門
4 《天才の記念像
1 《オラーズカの拱門

-土地(26)-

4 《エリマキ神秘家
3 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(7)-
4 《成長のらせん
4 《根の罠
4 《アズカンタの探索
3 《一瞬
4 《薬術師の眼識
4 《荒野の再生
4 《運命のきずな

-呪文(27)-
4 《生体性軟泥
2 《殺戮の暴君
1 《原初の潮流、ネザール
1 《ペラッカのワーム
3 《否認
3 《押し潰す梢
1 《鋭射手の斉射

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 白を抜いて2色にまとめたことによって、デッキの安定性は増している。勝ち手段は《エリマキ神秘家》か《ハイドロイド混成体》を出して相手にターンを渡さずの殴り勝ち。

 神秘家で相手の呪文を打ち消す→自分のターンに《一瞬》のキッカーコストを支払って神秘家を手札に戻しつつドロー→荒野の能力で土地がアンタップ、というちょっとしたロック状態に持ち込めるのもこのデッキの特色だ。2色でまとまっていてマナ基盤に余裕があるため《天才の記念像》を運用できるというのも強み。

 サイド後には《生体性軟泥》などで押しつぶすビッグマナデッキへの変型プランが、3色のものよりも現実的な形で採用されている。軟泥、無茶苦茶強くて楽しいのでぜひ一度戦場に出して分裂させまくってほしい。

 他にも門デッキを土台に、《迂回路》から土地を伸ばして《ハイドロイド混成体》《運命のきずな》をプレイする「Nexus of Gate」といったデッキもある。

 いずれも手札破壊と打ち消しの両方を用いてくる「エスパー・コントロール」をやや苦手としている節があるが、果たして今週末はどうなるだろうか。《運命のきずな》がチャンピオン・トロフィーと結びついているのか、目撃するのは君自身だ!(それっぽいエンディング)

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