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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
The Rock(スタンダード)
『アポカリプス』は衝撃的なセットだったことを今でも覚えている。カードパワーがとにかく高く、これまでにほとんどなかった、当時で言う対抗色と呼ばれる色の組み合わせを推すセットだったからだ。
その名の通り、対抗色は相性の良くない色を意味する。カード背面のデザインに描かれた5つの色を表す玉を見るとよくわかる。隣り合っている色は仲良し、友好色で、そうでない残りの2色は敵対色というわけで、お互いに対策しあうカードが多くデザインされていた。この常識がぶち壊されたわけだ。《破滅的な行為》《名誉回復》《魂売り》……黒がこれまでいがみ合ってきた緑や白と手を組んだ時、そこにはかつてないほどの優秀なカードが現れたのである。
これらのカードは当時中学生だった僕らには憧れを抱くものだった。いつかこれらで固められたデッキ、「The Rock」を使いたい! そう夢見ていたものである。黒に緑か白、あるいは両方を絡めた中速デッキを、ある時期は「The Rock」と呼んだものである。元ネタは某世界的なプロレスラーであり、あるプレイヤーが自身のデッキ名をこのように登録したことから広まった。パーマネント破壊に長けた圧倒的なカードパワーの塊であり、スーパースターの名で呼ぶことが妙にしっくり納得がいったものである。
ラヴニカにはそれぞれ白緑・白黒・黒緑のギルドがある。これらにはアポカリの日々を思い起こさせるパーマネント破壊、優秀なクリーチャーといった中速デッキ向けのカードが揃っていることが多く、過去2回のラヴニカ・ブロックではこの3色で在りし日の「The Rock」を再現せんとするデッキが構築されたものである。
『ラヴニカの献身』にてオルゾフがやってきたことで、第3世代のラヴニカ版「The Rock」が構築可能となった! さあ、その妙技を味わえ!
5 《平地》 3 《沼》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 3 《寺院の庭》 2 《陽花弁の木立ち》 2 《草むした墓》 2 《森林の墓地》 -土地(25)- 4 《薄暮軍団の盲信者》 4 《オルゾフの処罰者》 4 《真夜中の死神》 4 《秤の熾天使》 2 《黎明をもたらす者ライラ》 -クリーチャー(18)- |
3 《喪心》 4 《ベナリア史》 2 《屈辱》 2 《採取 // 最終》 1 《回生 // 会稽》 3 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 1 《暴君への敵対者、アジャニ》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(17)- |
4 《秋の騎士》 1 《黎明をもたらす者ライラ》 4 《強迫》 2 《ケイヤの怒り》 2 《最古再誕》 2 《昇華 // 消耗》 -サイドボード(15)- |
『ラヴニカのギルド』のみの環境でもこの3色のデッキは存在したが、やはり《神無き祭殿》がなくっちゃね。
そしてトークン戦術のセレズニア、墓地にカードを落とし込むゴルガリの2つのギルドはベクトルが大きく異なっており、テーマを特に持たずにパワーカードで固めたデッキを作る、という視点で見ればやはりオルゾフ抜きにはパッとしなかった。お待たせしましたとオルゾフは、このデッキが望んでいたようなカードをきちんと引っ提げてやってきたのだった。
このデッキのエースは、そんな新カード《秤の熾天使》だ。
4マナでパワー4の飛行、状況によって警戒や接死を得られる万能さ、そして死亡してもなお1/1飛行を2体も戦場に残す死後能力! 相手のパーマネントを破壊しつつ単純なカードパワーで押すという戦略にはおあつらえ向きな1枚である。天使であるのも《黎明をもたらす者ライラ》で強化できるためとてもエライ。
これら天使や《ベナリア史》で圧力をかけていくデッキなのだが、これらのスターが出そろうまで戦場を固めるクリーチャーたちもいぶし銀揃い。いずれも死亡してもカード1枚分の仕事は果たす、という共通のテーマがある。
新顔の《オルゾフの処罰者》は熾天使と同じく死後持ちでかつ接死も備える、嫌らしさナンバーワンな仕事人だ。
これと《真夜中の死神》が絡めば、相手は相討ちになる攻撃は絶対にしたくないという状況に追い込まれてしまう。その上を天使で飛び越え、この防備を乗り越えそうなものは《屈辱》などの優秀な除去でご退場願おう。
サイド後は睨みあった状況を《ケイヤの怒り》で吹っ飛ばしつつ死後持ちを《採取 // 最終》で拾ってお疲れさん、という強烈な動きを決めてみたいね。
《豊潤の声、シャライ》などの他の天使も入れて、「Angel Rock」を目指すのも楽しそうだ。フィニッシャー枠を《生体性軟泥》にするのもアリだろう。《徴税人》などもっと死後死後していくデッキというのもいやらしそうだ。環境いちシビれるデッキ、構築してほしいね!
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