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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オルゾフ・シスターズ(レガシー)

岩SHOW

 マジックには多数のアクションがある。マナを得る・カードを引く・ライフを失わせる・パーマネントを増やす……それらの中で、かつて軽視されていたものがあった。それは「ライフを得る」という、主に白いカードが担っていたアクションだ。

 マジック最古のサイクル(統一感のあるカードのグループ)である1マナのインスタント、《Ancestral Recall》《暗黒の儀式》《稲妻》《巨大化》の4枚はいずれも強力であり、それぞれに構築のデッキでも活躍した実績があるのに対して、白の《治癒の軟膏》は3点のライフを得るという、ちっぽけな効果でカードパワーには大きく差がついていた(3点軽減モードは悪くないのだが)。ただライフを得るだけのカードは確かに時間稼ぎにはなるが、根本的な解決策にはならない。もっと直接的にゲームに影響を与えるカードを使うべき、というのがかつての構築のセオリーだった。

 ただこれが単に回復するだけでなく、クリーチャーの能力だったり、相手のクリーチャーを除去したりといった本来の役割にオマケで回復がついているデザインになれば一転、大活躍することがあった。『ラヴニカの献身』にて再録される《吸収》なんかはその最高峰とも言える。最近では絆魂持ちで殴りに行けるスペックのクリーチャーや、回復付きの除去が増えた。ライフ回復はアグロデッキに対する、有効なアプローチとなったのである。

 白に次いでライフを得ることを担う色は黒。主要部族が吸血鬼であることからもそれはうかがえる。この2色にはもうひとつ、共通の得意アクションがある。それはトークンの生成だ。ライフ回復とトークンの生成、どちらも少量であればゲームに与える影響は微々たるものでも、チリも積もればなんとやら。徹底的にこの2つを行って戦うデッキを紹介しよう!

ewlandon - 「オルゾフ・シスターズ」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2019年1月4日)[MO] [ARENA]
8 《平地
1 《
4 《Scrubland
4 《湿地の干潟
4 《溢れかえる岸辺
1 《吹きさらしの荒野
1 《カラカス
-土地(23)-

4 《魂の管理人
4 《魂の従者
-クリーチャー(8)-
4 《剣を鍬に
2 《軍団の上陸
4 《無形の美徳
4 《急報
3 《苦花
4 《未練ある魂
4 《金切るときの声
2 《幽体の行列
1 《イニストラードの君主、ソリン
1 《真面目な訪問者、ソリン
-呪文(29)-
3 《エーテル宣誓会の法学者
2 《フェアリーの忌み者
2 《トーモッドの墓所
2 《思考囲い
1 《外科的摘出
2 《盲信的迫害
1 《解呪
1 《議会の採決
1 《名誉回復
-サイドボード(15)-
 

 トークンを出す、ライフを得る。2つの異なる動きを繋ぐのは《魂の管理人》と《魂の従者》。

 魂/Soulを名に冠する女性のカードが主役ということで、彼女らを搭載したデッキは「ソウル・シスターズ」と呼ばれる。これに赤を足したものが「ノリン・シスターズ」と呼ばれることは先日にも紹介したね

 この白黒バージョンは「オルゾフ・シスターズ」とでも呼ぼうか。クリーチャーが戦場に出るとライフを1点回復させる彼女らを複数体展開したうえで、《苦花》のように継続してトークンを生成したり、《未練ある魂》のように1枚で複数体生成するなどして、毎ターンがっつりライフを得ていく。

 これらのトークンで相手のクリーチャーをブロックしつつ、飛行持ちで攻撃して毎ターン着実にライフ差を広げていく……攻撃的なコントロールデッキと言えるかな。

 このリストではモダンで見かけるトークン生成呪文に加えて、レガシーならではの《金切るときの声》まで採用されているのがポイントだ。

 このカードも1枚で飛行持ちのトークンを4体も生み出せるし、何よりフラッシュバック・コストにマナが不要な点が良い。

 これらでズラーッと戦場を構築したら、《無形の美徳》で強化して一瞬で相手のライフをかっさらってやろう。

 《イニストラードの君主、ソリン》と《真面目な訪問者、ソリン》、Wソリンもトークン生成と打撃力アップを手掛ける、このデッキの大将格だ。これらが悠々と働きだすまで盤面を作れたら、もう勝利は目前。

 トークン生成はともかくとして、レガシーでライフを得ることはどれほどのことなのか。あまりビートダウンがいるイメージがない、という疑問もあるかもしれない。では振り返ってみよう……「グリクシス・デルバー」「Death & Taxes」「バーン」といったデッキは序盤からライフを狙ってくるデッキだ。これらに対してブロッカー&ライフ作戦は有効に働くだろう。

 また「ANT」はライフ20点を削ることを目標としたコンボデッキで、これが30や40を狙うとなるとその手間は跳ね上がっていく。《暗黒の深部》から20/20でのワンパンチを狙う「ターボ・デプス」系のデッキも、飛行持ちのトークンでのブロックでしのいで、よしんば通っても一撃で葬れない、という展開には参ってしまうだろう。トランプル持ちのクリーチャーが少ない環境なのでトークンでしのぎ、ライフを得るというアプローチも有効だというわけだ(もちろん、こういう戦法が通じない相手もいるが、その時は全力展開から殴りきろう)。

 『ラヴニカの献身』にて登場する《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》はこのようなデッキのサイドボードに入れてみると面白そうだ。

 1マナ以下の強力なパーマネントも、墓地を利用するのもレガシーでは日常茶飯事。彼女の参入により、より柔軟になったオルゾフがレガシーでパワーを増すかも? メインから使う、別のアプローチもありだ。各々思いついたオルゾフデッキを組んでみてほしいぞ!

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