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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

巨獣大狂乱(スタンダード)

岩SHOW

 最近は怪獣映画の当たり物が多い。皆が子どもの時に描いた妄想をそのまま映像化できる時代になったのだ。滑らかに暴れ回りビルを粉砕する大怪獣、巨大爬虫類とゴリラのドツき合い、時には人類も巨大ロボットで応戦だ。怪獣はいくつになってもワクワクさせてくれる。寝る前に怪獣図鑑を眺めることを日課としていた少年だった僕にとっては、それはもう嬉しい時代である。

 マジックにだって、映画の世界に負けないくらい魅力的な怪獣がたくさんいる。重いコストや従えるのに制限がかけられたものが多いが、それらの怪獣を使いこなして勝利するのはこの上なく心地よいものである。

 今日は一癖あるスタンダード界の怪獣を使いこなす、暴力的なビートダウンデッキを紹介しよう!

AHammer - 「巨獣大狂乱」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年10月14日)[MO] [ARENA]
13 《
5 《
4 《根縛りの岩山
1 《森林の地溝

-土地(23)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《僧帽地帯のドルイド
4 《クロールの銛撃ち
4 《鉄葉のチャンピオン
4 《むら気な長剣歯
2 《翡翠光のレインジャー
2 《蔦草牝馬
2 《原初の飢え、ガルタ

-クリーチャー(26)-
4 《宝物の地図
4 《実験の狂乱
2 《苦悩火
1 《ビビアン・リード

-呪文(11)-
3 《無効皮のフェロックス
2 《蔦草牝馬
4 《殺戮の暴君
2 《溶岩コイル
2 《焦熱の連続砲撃
2 《苦悩火

-サイドボード(15)-

 パッと見は前環境に合った「鉄葉ストンピィ」。《ラノワールのエルフ》からの《鉄葉のチャンピオン》という環境でも最強レベルのブン回りで最序盤から相手を圧倒する、緑単およびそれに色をチョイ足ししたクリーチャー主体のデッキの総称だ。

 このデッキはその「鉄葉ストンピィ」が抱えていた弱点を新カードで補う、新たなタッチ赤版だ。初期手札が良ければ、怒涛のラッシュであっという間に手札を吐き出し《原初の飢え、ガルタ》まで展開できてしまうのがウリのデッキだが、逆に手札があっという間に尽きてしまうのが弱点だ。展開したカードで決着までもっていければいいが、相手も指をくわえて見ているだけではない。

 クリーチャーを対処されてしまってはもう毎ターンドローしたカードのみで戦うしかない、いわゆる「トップ勝負」をするしかない。この最大の弱点を補うために赤から輸入されたのが《実験の狂乱》だ。

 赤単デッキではもはや基本装備となり、息切れ防止に一役も二役も買っているパワフルなエンチャント、これを導入することで、後半も複数のカードを1ターンにプレイして攻め手を途切れさせないようにするのだ。

 この《実験の狂乱》は普通に単体で使っても強いが、このデッキではある怪獣と組み合わせてその強さを一段階上に引き上げるアプローチを取っている。《むら気な長剣歯》だ。

 一見シナジーは無いように見えるが、これが実に噛み合っている。《実験の狂乱》を使っていて辛い点は、トップに土地が来てしまった時。1枚目はまだそれをトップから戦場に出せるが、これが続いたりすると何もできずにターンを終えなければならない。この問題を、1ターンに置ける土地の枚数を長剣歯で増やすことで解決しようってわけ。天才の発想だ!

 ガシガシ土地を置くことでパーマネントの数も増え、都市の承認を得て長剣歯も殴りに行けるようになる。これが2体、3体と並べばライブラリーからズドドドドととてつもない勢いでパーマネントが降ってくる。ガルタの召喚も苦も無くできるだろう。

 土地が並べば、狂乱を破壊するためのマナを払うのも簡単になる。手札が充実したら割ってしまって手からプレイするカードでゲームを終わらせる、というプランが理想的か。

 長剣歯のみに頼らず《宝物の地図》《翡翠光のレインジャー》でもライブラリーを操作できる点もグッド。これらのカードは単体で使っても強いのが嬉しい。

 長剣歯との相性も良く、この怪獣を活かすためにはどんなカードと組み合わせるのが良いか、よく考えられて作られたデッキであることが伝わってくる。

 最高のエンディングは殴って狂乱+長剣歯で盤面を作って、X=5以上の《苦悩火》でのフィニッシュ! 実験により恐竜が怒り狂って大爆発ENDとか、ストーリー性もあって最高だ。

 グルールがやってくる前からすでに熱い赤緑、ギルドの色だけが選択肢じゃないってことを、巨獣の狂乱で世に示そう!

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