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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラナウェイ・レッド(スタンダード)
『ラヴニカのギルド』楽しんでるゥ? 僕はもう連日楽しくってしょうがない。
とりあず今のところ一番好きなカードは《記憶の裏切り》で、配信でもこれを使った無茶なデッキが組めないか皆でやいやいするのが実に楽しい。あんまり決まらないんだけれども、このカードが本領発揮した際には他のカードには到底できない究極の勝ち方を提供してくれるね!
このセットが発売される前に気になっていたのは《遁走する蒸気族》だ。
蒸気族という名前がまず面白い。イラストもヤカンがピーピー言いながら走り回っているようでかわいいし。そして能力もオンリーワンなもので、これを使ったデッキを組んでみたいなとは思っていたがあまり良いものが思いつかず……これはMagic Onlineの結果を見ようと競技リーグ戦全勝リストを待った。
待望のリストには、実にシンプルな構成の《遁走する蒸気族》デッキが掲載されていた。《記憶の裏切り》デッキはややこしすぎるので、それに疲れた脳にはこういうデッキが良いだろうと飛びついてコピってみた。レアカードの使用枚数が抑え目で、土地が《山》だけで良いのでMTG Arenaで作成するのも楽だったというのも大きい。
で、実戦投入してみると……このデッキがまあ、予想よりもはるかにとんでもないことをするモンスターデッキだったのだ!
22 《山》 -土地(22)- 4 《狂信的扇動者》 4 《ギトゥの溶岩走り》 4 《遁走する蒸気族》 4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師》 4 《ゴブリンの鎖回し》 -クリーチャー(20)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 3 《ケルドの炎》 4 《危険因子》 3 《魔術師の稲妻》 -呪文(18)- |
4 《金剛牝馬》 4 《軍勢の戦親分》 3 《溶岩コイル》 4 《火による戦い》 -サイドボード(15)- |
ローテーション後の環境最初期にここまで完成度の高いデッキが出てくるとは、たまげたものである。ベースとなっているデッキは前環境の「ケルド・レッド」だ。軽量クリーチャーをパパッと展開して手札が空になるタイミングで《ケルドの炎》を設置、これで2枚ドローして手札を補充しつつ、Ⅲ章能力でクリーチャーと火力のダメージを増幅させて削りきる……赤いデッキの中でも最も前のめりなデッキだった。
「ケルド・レッド」は《ボーマットの急使》《損魂魔道士》《地揺すりのケンラ》などなど、主力であった1・2マナ圏のクリーチャーが揃ってローテーションにより退場したため、かなり弱体化するのではないかと思われた。しかし……蒸気族、コイツは去って行った者たちとはまた異なった強さを持った、マスターピースであったのだ!
やることは元のデッキと同じく、クリーチャーを展開して火力でブロッカーをどけて殴る・状況次第で本体にも火力を投げていち早く相手を倒す。この動きを行う中で、《遁走する蒸気族》は素晴らしいパフォーマンスを見せる。
赤い呪文を唱えると+1/+1カウンターを得る、その呪文はクリーチャーでもインスタントでもソーサリーでもエンチャントでも構わないという幅の広さ。スタートこそ2マナ1/1と貧弱だが、あっという間に3/3、4/4と赤い《タルモゴイフ》と呼んでも差し支えない打点に成長する。去っていったクリーチャーの中にも、ここまでのハードパンチャーはいなかった。
このカウンターは3つ以上置かれることがない。その代わり、3つ取り除くと{R}{R}{R}を得ることができる。一見おまけに見えるこの能力が重要! 《ケルドの炎》を置きたいが《ゴブリンの鎖回し》などがいて手札を捨てるのがもったいない、というジレンマを解決してくれる、そういう意味でまさしくマスターピースなのだ。このマナ能力を使えば、《山》を3枚しか出してないのに同じターンに2枚鎖回しを展開して相手の戦場を焼け野原にすることも簡単にできる。カウンターを使ってサイズダウンするのはせっかく育てたのにもったいないと感じるかもしれないが、そのマナで赤い呪文を唱えることでまたすぐにサイズアップするということである。遠慮せずに展開に次ぐ展開で手札を使い切ろう!
空になった手札は《ケルドの炎》で補充したいが、このカードは2枚以上同時に手札に来ると使い道がない無駄ドローになってしまうので、3枚が採用限度枚数か。でもそれだけだとちょっと枚数も足りない……そんな悩みを解決するのが新カード《危険因子》!
対戦相手が4点ダメージを受けることを選ばなければこちらがカードを3枚引く、というどっちに転んでもオイシイ効果を、たった3マナで得られる……しかもインスタントという、なかなかにすごいカードだ。過去に似たような《怒鳴りつけ》というカードがあったが、あれよりも強いように思える。なぜかというと、この呪文は再活能力を持っており墓地からおかわりすることができるからだ。手札を叩きつけまくってこれも使って相手のライフを削って、ライフを危険な値に追い込んだら再活から悠々と3枚ドローさせてもらおう。
このカードもまた、《遁走する蒸気族》が絡むとわけのわからないことになる。1ターンに2度唱えたり、引いたカードをそのターンのうちに全部使ったり……蒸気族が2体並ぶと、こういった動きも妄想ではなく簡単に現実のものとなる。ダメージとドロー、どっちを選んでも敗北なんて場面も。
再活付きなので《ケルドの炎》で捨ててしまっても無駄にならない、という点も素晴らしく……終わるかと思われた赤単の時代が、これからも続いていくと予感させてくれるのだ。
僕もこのデッキにはお世話になって、随分と勝たせてもらった。ただ個人的には、「土地を引きすぎる」という持病の発作が起こりまくって負けることが多かったので、土地の枚数を21枚に減らして……配信を見てくれていた人々の意見を取り入れて《苦悩火》を採用してみると、事故も減ってとてもしっくりくる形になった。その分、サイドの3マナ以上のカードを使うために22枚目の《山》をサイドボードにとることになっているので、あまり意味はないかもしれないが……。何度も言うように完成度はかなり高いデッキなので、そのままでもブンブン勝てるだろう。同じような「マナフラッドの呪い」に憑りつかれている人は、そういうアプローチも試してみてほしい(笑)。
とりあえずサクッと勝ちたい、なんだかいろいろとテクニカルな動きもしたい、そんなプレイヤーはぜひこの「ラナウェイ・レッド」を手に取って回してみてほしい。これまでの赤単と同じなようでオンリーワンな動き、病みつきになるはずだ!
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