READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

犬と琥珀と白ウィニー(モダン)

岩SHOW

 犬ってかわいいよね。わんこ。嬉しい時には舌出して尻尾ブンブン振って。一緒に散歩に行けるのも良い。僕が小さかった頃、祖母の家で飼われていた白い犬がいた。一人で知らないところへ行こうとする僕の後によくついてきて、迷子にならないよう家まで送ってくれたのを覚えている。今思えば心配してたんだろうな、すまんかったね……なんて、わんこへの愛で今回は終えても良いかなと思うのだがそこはほら、これはデッキ紹介コラム。ちゃんとデッキも紹介しますから安心して! 今回は犬が主役のデッキだよ!

 マジック的に犬といえば、皆はどのカードを思い浮かべるだろう。犬=ジャッカルってことで《地揺すりのケンラ》? 近年最も活躍した犬カードだろうね。《野生の雑種犬》でフラッシュバックにスレッショルド、マッドネスを嗜んだ世代。もっと遡って《野生の犬》に《怨恨》貼り付けた世代や《ジャッカルの仔》でライフを削りまくった世代……定期的に、軽くて強い犬が出てくるもんだ。

 猟犬タイプのクリーチャーの中で唯一の伝説のクリーチャー、《今田家の猟犬、勇丸》も例外にあらず。

 1マナ2/2、能力はないがデメリットもない。1マナ圏でこのスペックは破格のもので、当時はこれを1マナ圏に据えた白いビートダウンデッキが使われたものである。

 激しさとモフモフなかわいさを併せ持った勇丸、実はこの2018年に新たなデッキを生み出す可能性に満ちた存在であることがわかった。忠実な愛犬には、素敵な首輪を。それは1つのアクセサリーによって生まれたデッキ。

kaosofmind - 「白ウィニー」
Magic Online Competitive Modern Constructed League 5勝0敗 / モダン (2018年8月20日)[MO] [ARENA]
10 《平地
1 《永岩城
4 《地平線の梢
4 《幽霊街

-土地(19)-

4 《今田家の猟犬、勇丸
4 《アクロスの英雄、キテオン
3 《スレイベンの検査官
4 《スレイベンの守護者、サリア
1 《族樹の精霊、アナフェンザ
4 《レオニンの裁き人
4 《刃の接合者
4 《民兵のラッパ手
3 《ミラディンの十字軍

-クリーチャー(31)-
4 《モックス・アンバー
4 《流刑への道
2 《密輸人の回転翼機

-呪文(10)-
2 《ブレンタンの炉の世話人
3 《レオニンの遺物囲い
2 《無私の霊魂
1 《弁論の幻霊
4 《安らかなる眠り
2 《石の宣告
1 《清浄の名誉

-サイドボード(15)-

 モックスシリーズ最新作《モックス・アンバー》!

 自身のコントロールする伝説のクリーチャー or プレインズウォーカーと同じ色のマナを生み出すこのアーティファクトは、扱うのがなかなか難しい。伝説のクリーチャーがすでに戦場に出ているということはある程度のマナはある状態。そこから1マナ増えて嬉しいかというと、そうでないデッキの方が多い。

 でも、1マナの伝説のクリーチャーと一緒に用いれば? なんと1ターン目から2マナ使えるではないか。というわけで、このデッキでは最序盤に盤面を作り上げるために勇丸と《アクロスの英雄、キテオン》を4枚ずつ採用。1ターン目に1マナ伝説→モックス→もう1体の1マナ伝説と動いたり、2ターン目に3マナのクリーチャーを呼び出して一気にクライマックスへとなだれ込んだり……白単ビートができなかったことを可能にする構築に挑んでいる。

 軽い伝説と言えば2マナに《スレイベンの守護者、サリア》もいるので、1ターン目にとりあえずモックスを置いておけば、2ターン目以降には結構な確率でマナが出ることだろう。

 しかし軽さがウリでやってきた白単のビートダウン、いわゆるウィニーにマナ加速は必要なのか? 答えはこのカードにあると言っても良いだろう。《民兵のラッパ手》だ。

 3マナ2/3警戒、パワー2以下のクリーチャーを手札に補充する能力持ちで、アドバンテージを得ながら盤面を作れるかなり優れた3マナ圏だ。昨今のモダン環境ではコントロールデッキが再び息を吹き返し、ビートダウンにとっては全体除去にいかに立ち向かうかが課題となっている。土地をあまり入れずに、でもしっかり3マナのラッパ手を唱えたい。そんな時代のニーズに合わせた形なのだ。

 ただ殴るだけではなく、サリアに《レオニンの裁き人》&《幽霊街》という白系ビートダウンお決まりのクリーチャー兼行動妨害パッケージが相手を一歩スローダウンさせる。

 これらのカードやサイドボードの各種デッキ対策クリーチャーも含め、デッキ内のすべてのクリーチャーがパワー2以下。なのでラッパ手で持ってきて、モックスからすぐ唱える……なんて動きができる。こりゃあ安定感あるわ。

 2枚以上引いたモックスや勇丸など伝説勢は無駄カードになりやすく見えるが、これも《密輸人の回転翼機》で捨てて他のカードを引いてしまえば問題なし。

 白単色ではあるが、引き出しの多さと開幕から相手よりも1マナ多く動いてくる速さを兼ね備えた新型ウィニー。勇丸をモフりたいプレイヤーにぜひとも使ってほしい。

 ちなみに勇丸の犬種は秋田犬らしい。神河にも秋田という地域があるのだろうか。実在の犬種が出てくるってことは、いつの日か〈柴犬/Shiba-Inu〉というカードが出てくるのも夢ではないのか?〈土佐の闘犬/Fighting Dog of Tosa〉とかむちゃくちゃ強そうだ。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索