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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボンバーマン(レガシー)

岩SHOW

 このコラムをやっていると全フォーマットのデッキを追いかけなくてはならない。このご時世、ネットで強力デッキは簡単にシェアされ、昨日のシークレットテクが今日の常識となる。すなわち、とてつもない速度でデッキが進化してしまうのだ。モダンやレガシーなんて、ちょろっと目を離している隙に採用カードがガラリと変わって同じデッキとは思えない動きをするなんてこともザラだ。

 今日紹介するデッキも、ここ最近でゴリゴリッと新カードを得て進化したものだ。その名は「ボンバーマン」! 「サルベイジャーコンボ」とも呼ばれ、エターナル環境では古くから知られているものである。手札はすべて捨てなければならないが3マナ得られる《ライオンの瞳のダイアモンド》。これを使って白マナを3つ得て《オーリオックの廃品回収者》の能力を起動して拾い、再度唱えて3マナ得て……を繰り返し、好きなだけ白マナを得たら今度は赤マナを増産し、最終的に無限に得られるマナを用いて《黄鉄の呪文爆弾》を投げて2点、オーリオックで回収して2点……を好きなだけ繰り返し、対戦相手のライフを0にして勝利する、瞬殺コンボを備えたデッキだ。

 オーリオックの英名から「サルベイジャー」、爆弾を投げまくる姿から「ボンバーマン」と呼ばれるようになった。

 このデッキの特徴はコンボを決めたそのターンのうちに勝てる点と、コンボパーツが多く見えて墓地からカードを拾うのでオーリオックさえ戦場に出すことができればどうにでもなるという点。その独特の動きから愛好家も多く、ここ数年でデッキもブラッシュアップされているのは知っていたが……2018年に発売されたセットからも多数新戦力を得ていたとはね。

 というわけで、リストを見てみよう!

Tamura, Hajime - 「シルバードラゴン」(ボンバーマン)
エターナル・ウィークエンド・アジア2018 レガシー選手権 10位 (2018年8月18~19日)[MO] [ARENA]
4 《古えの居住地
4 《教議会の座席
4 《空僻地
1 《産業の塔
4 《古えの墳墓
3 《裏切り者の都
-土地(20)-

2 《練達飛行機械職人、サイ
3 《オーリオックの廃品回収者
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(9)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
4 《オパールのモックス
1 《Lodestone Bauble
4 《ディミーアの印鑑
1 《アズカンタの探索
4 《直観
4 《アンティキティー戦争
1 《掘葬の儀式
1 《木端 // 微塵
4 《虚空の杯
3 《ウルザの後継、カーン
-呪文(31)-
1 《古えの遺恨
1 《天啓の光
1 《魔術遠眼鏡
1 《窒息
1 《孤独の都
1 《仕組まれた疫病
1 《罠の橋
4 《虚空の力線
2 《Helm of Obedience
2 《仕組まれた爆薬
-サイドボード(15)-
 

 「ボンバーマン」とは言うものの、もう呪文爆弾の類は採用されていない。カード単体で見た時に少々力不足であり、また自身のデッキと噛み合わなくなってしまったからだ。

 現在、このデッキには《虚空の杯》を採用するのが基本である。

 これをX=1で設置して、対戦相手の1マナ域をシャットアウト。こうすることでコンボを阻害する《剣を鍬に》や《外科的摘出》を恐れる必要がなくなるってわけだ。

 この杯によって自身の呪文爆弾が引っかかるので解雇、代わりに入ってきたのが《歩行バリスタ》と《Lodestone Bauble》だ。

 前者は無限マナから弾を撃ちまくって勝利するという光景が簡単に思い浮かぶが、後者は? この{0}アーティファクト、墓地の基本土地をライブラリーの上に戻して、次のターンのアップキープにカードを引くというものなのだが……対戦相手も対象にとることができる。これで相手を指定しては回収して投げつけ、ライブラリーアウト勝ちを狙うのだ。爆弾から矢のようなものに持ち替えたというビジュアルもなんだかカッコイイ。

 と、ここまでの進化は昨年あたりでも見られたもの。ここに加わった新カードを見ていこう。

 《アンティキティー戦争》&《ウルザの後継、カーン》! 『ドミナリア』が誇るアーティファクトデッキで使えと言わんばかりのアドバンテージ源&フィニッシャーがガッツリ採用されている。

 両方とも4マナと重いカードだが、《古えの墳墓》《裏切り者の都》と2マナ土地のあるレガシーであれば運用も簡単! 《虚空の杯》で軽量マナ域を封殺された相手には、わざわざコンボを決めなくてもこれらのカードで殴り勝つことだって可能だ。特にマナ・アーティファクトや土地もゲームエンド手段に変える《アンティキティー戦争》は、思った以上のプレッシャーとなることだろう。

 殴り勝つと言えば、『基本セット2019』から《練達飛行機械職人、サイ》が参入したのも追い風だ。

 アーティファクトを適当にプレイしているだけで戦場に飛行機械を増産できるので、コンボを決めなくても強力な盤面を作ることが可能。クリーチャーデッキ相手にはコンボまでの時間稼ぎになる。そしてもし相手が《神聖の力線》を用いてきたら無限ダメージは機能しないが(編注 9/14:《神聖の力線》があっても「無限ドロー」は機能します。お詫びして訂正いたします)、オーリオック&サイで無限トークンというコンボのゴールが残されるときたもんだ。素晴らしい!

 このリストは《直観》から《オーリオックの廃品回収者》《ライオンの瞳のダイアモンド》《掘葬の儀式》の3枚を持ってきて、相手がどれを選んでもコンボが決まるというパッケージも採用。除去であり、コンボゴールである《木端 // 微塵》まで備えているなど、「ボンバーマン」の自由度の高さを最大限に活かして、プレイしても見ていても楽しい、素敵なデッキに仕上げてある。

 エターナル・ウィークエンド・アジアでは惜しくも10位だったが、同時に700人近い大規模トーナメントでトップ8を狙えるデッキであることを証明したのも事実。これから爆発的人気が出てもおかしくはないのだ。

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