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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤単ドラゴン(モダン)

岩SHOW

 『基本セット2019』には明らかにスタンダード以外のフォーマットを意識したカードが収録されていたりする。

 1ターン目から強力なパーマネントが飛び出すモダンやレガシーで活躍が期待される万能追放除去《疎外》に、3種類のウルザの土地のいずれかのタイプを失わせることで機能不全に陥らせる《高山の月》、ストームコンボへの対策になり得る《安全の護符》といった新カード。そして《世界のるつぼ》《風景の変容》など、レガシーとモダンで活躍するカードの再録。これを機に多くの人にいろんなフォーマットに興味を持ってくれれば、基本セットとしての役目を十分に果たしたと言えるのではないかな。

 新規カードの中には対策カードだけでなく、モダンで新たなデッキを生み出したものもあるぞ! 先日、スタンダードでも新たな方向性のデッキを誕生させていることを伝えたばかりの《火の血脈、サルカン》がモダンでもやってくれたッッ!

Ozzy Kelly - 「赤単ドラゴン」
StarCityGames.com Modern Classic Philadelphia 優勝 / モダン (2018年7月22日)[MO] [ARENA]
21 《冠雪の山
2 《占術の岩床
1 《魂の洞窟
-土地(24)-

4 《雷破の執政
4 《栄光をもたらすもの
2 《嵐の息吹のドラゴン
-クリーチャー(10)-
4 《雪崩し
4 《稲妻
4 《龍詞の咆哮
2 《漸増爆弾
4 《血染めの月
2 《神々の憤怒
4 《火の血脈、サルカン
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(26)-
3 《破壊放題
1 《高山の月
4 《ドラゴンの爪
1 《漸増爆弾
3 《溶鉄の雨
2 《神々の憤怒
1 《殴打頭蓋
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 《火の血脈、サルカン》を使ったデッキということは2つ目の[+1]能力、ドラゴン用のマナ加速を用いるわけで……すなわちドラゴンデッキ! スタンダードでお馴染みの《栄光をもたらすもの》に加えて、モダンならではのちょっと懐かしのドラゴン《雷破の執政》《嵐の息吹のドラゴン》が採用されているぞ。ファンタジー世界最強の至高の存在、ドラゴンで殴り抜く喜びを、このデッキは体感させてくれる!

 ベースとなっているのは赤単のコントロール、氷雪デッキ、「Skred Red」などと呼ばれる、2年ほど前にモダンで流行ったデッキだ。《雪崩し》を万能除去として用いるために《冠雪の山》をたっぷり採用。《稲妻》《神々の憤怒》とクリーチャーを捌くことにかけては一流と言っても良いデッキだった。

 ただ、決定力はそれほど高くないというのが欠点とも言えた。《槌のコス》に頼りっきりなデッキという印象が強い。

 そんな《雪崩し》コントロールが《火の血脈、サルカン》を手に入れたことで、ちょっと重めのドラゴンを運用しやすくなった。もっさり目のデッキが、スムーズに1ターンに2アクション取れるようになったってわけだ。

 デッキの方向性は先述の氷雪コントロールから大きく変わっているわけではない。クリーチャーを除去して、《血染めの月》を貼って、対戦相手の自由なプレイを許さない。

 戦場が落ち着いたらプレインズウォーカーを戦線投下し、そこからさらにドラゴンに繋げて勝ち……というのが理想のストーリー。サルカンのみならず《反逆の先導者、チャンドラ》も採用し、勝ち筋はスッキリまとめてあるが骨太だ。

 ドラゴンたちはいずれも攻撃的で、速攻・除去能力・除去耐性を備えている。《嵐の息吹のドラゴン》は除去を白や《致命的な一押し》に頼るデッキにとっての悪夢で、《雷破の執政》も倒されても本体に3点のダメージを置き土産に。

 本体ダメージと言えば、これらのドラゴンを採用したことで《龍詞の咆哮》が使えるのも大きい。

 クリーチャーとプレイヤーに3点ダメージで、除去しながらライフを詰めることができる。相手を完璧にコントロールできるデッキというよりは、疲弊しているうちに勝負を決めて勝ち逃げしたいデッキなので、こういったコントロールしつつ勝利にわずかでも近づけるカードの存在はありがたいのだ。

 一見扱いにくそうなプレインズウォーカーが1枚参入するだけで、全く新しいデッキが生まれてしまうモダン。3マナのプレインズウォーカーってのは、どれだけ大人しく見えても試す価値があるんだなという勉強になった。これを見て赤いカードをごそごそとストレージから引っ張り出すプレイヤーが一人でもいることを願いつつ、今日はここまで!

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