毎日毎日、ほんまに暑いでんなぁ。こうも暑いと、考えることを放棄したくなってくるってなもんや。マジックをするなら、必ず冷房の効いた室内でやるように！ 自分は中学生の頃、もっぱら公民館の自由スペースでやってたなぁ、懐かしい。

　暑い時ほど鍋が食いたくなったりすることがあるように、暑い時ほどアッチアチの真っ赤なデッキはいかがかな？ 夏バテに効きそうな、パンチの効いたホットなやつを見つけたよ！

　これはレガシーの「赤単ストーム」デッキだ。ストームとは、『スカージ』と『時のらせん』の一部のカードが持つ能力のこと。

　ストーム持ちのインスタントかソーサリーが唱えられると、そのターンにすでに唱えられていた他の呪文の数だけ、それのコピーが生み出されるというもの。これを持つ最も強力なカードの１つが《苦悶の触手》で、同一ターンに９回以上呪文を唱えてからこれを唱えると、20点以上のライフを吸い取って勝利することができる。《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《渦まく知識》《冥府の教示者》《ライオンの瞳のダイアモンド》《むかつき》……などなど、十分なストームを稼いで触手に繋げる「ANT」がレガシーにおけるストームデッキの代表格だ。

　このリストにはそのどれもが入っていない。赤単、赤いカードのみでストームを稼いで勝つ！ 熱いヤツなんですわ。

　赤いカードに絞っていることで《ルビーの大メダル》が採用できるのが強み。

　あらゆる赤い呪文のコストが{1}少なくなるので、マナ加速系のカードの効率が段違いになる。特に本来はマナを増やすことがない《魔力変》がブーストになるのは大きい。この大メダルは設置に２マナかかるが、この問題を《古えの墳墓》で解決しようというアプローチが面白い。１ターン目は墳墓から大メダル、２ターン目にありったけの手札を吐き出す！ 熱いヤツでしょう。

　マナ加速をプレイして、目指すゴールは《巣穴からの総出》か《燃え立つ願い》だ。

　《巣穴からの総出》は「ANT」でもしばしば用いられるフィニッシャーであり、ストームカウント５くらいでゴブリン・トークン10体前後、とかでも十分に勝負を決めることができるカードである。まあこのデッキでは、より派手に《炎の中の過去》からのフラッシュバックでガンガンにストームを稼いで、一気に20体以上のワンショット・キルを目指したいところだ。

　《燃え立つ願い》はサイドボードにアクセスし、４枚目の《巣穴からの総出》を持ってきたり、まだまだストームが足りない時には《炎の中の過去》や《魂の再誕》を、あるいは《魔力変》から黒マナを得て《苦悶の触手》でのフィニッシュを狙ったり……いろいろなことができるこのデッキのキーだ。ストームを稼ぐのに邪魔な能力を持ったクリーチャーやアーティファクトがあれば《紅蓮地獄》《力ずく》を引っ張ってくるという万能な動きも。

　この願いサーチで持ってくるカードでユニークなのは《ゴブリンの集中攻撃》。

　ゴブリンの数だけ対戦相手にダメージを与える本体火力で、総出からゴブリン・トークンを並べた状態で使用すると攻撃する回数を減らせる、うまくいけばワンショットだ。こういう「ANT」には入りにくいカードを使えるのも赤単の魅力だね。

　青いドロー＆ライブラリー操作呪文などがないので、じっくりと準備してコンボに入る、という従来のストームデッキではない。とにかく早く仕掛けて、ダメだったらその時だという熱い魂を持って臨んでもらいたい。《圧服》で要所を通すということもできるが、多くの場合はリスクを背負ってでもリターンを狙いに行くことになるだろう。

　暑い夏こそ熱くなろう！ 上手くいかなかった時は冷えた麦茶でも飲んで、クールダウン。マジックは切り替えが大事！