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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ランドスティル(レガシー)
先日、グランプリのラウンド間の待ち時間を友人らと潰していた時の話。そこでとても面白いクイズと出会った。
適当な枚数のカードを用意し、一人がすべて裏面の状態でプレイする。そこにはテキストも何も書いていないのだが……さも、書いてあるかのように一人回し。その挙動を見て、他のメンバーは一体何のデッキがプレイされているのかを当てる。シルエットクイズみたいなもんだね。
カードの姿は見えずとも、特徴的な動きから何のデッキかというのはわかるものだ。例えば1ターン目、裏向きのカードを出してタップ、裏向きのカードをプレイしてエンド宣言。2ターン目アップキープ、ライブラリーの一番上のカードを見て……公開、同時に先のターンに出したカードを裏向きに。もうわかるよね、《秘密を掘り下げる者》をプレイして変身させる、「グリクシス・デルバー」なのでした。
一見しょうもないやりとりだが結構面白く、奥が深い。僕は以下の問題を出題した。
- 1ターン目:土地を置くような動きをしてエンド
- 2ターン目:土地を置くような動きから、それら2枚をタップして何やらパーマネントを展開してエンド
- 3ターン目:土地を置くような動きから、それを1枚タップして1つを指さす。その後、それで攻撃するかのように前に出しながらタップ……
ここで友人皆が「その動き懐かし~(笑)」「(3ターン目の)アタックの瞬間に全部のカードの絵が見えましたわ(笑)」と良い反応をしてくれた。
これ、正解は「ランドスティル」というかつてレガシーで活躍したデッキ。
2ターン目に《行き詰まり》を設置し、対戦相手が呪文を唱えてきたら3枚ドローできる状態にして、不用意に動けなくしてしまう。このエンチャントで蓋がされている中、こちらは《ミシュラの工廠》を出して起動して殴る。呪文を唱えずに土地で攻め手を確保するわけだ。
たかが2点のダメージでも相手はいつまでもこれを受け続けるわけにもいかず、また自分が勝ちにいくためにも覚悟を決めて呪文を唱えてくる。そこでいただきますと3枚ドローして、引いてきた打ち消しや除去で対処してやる……という、ロングゲームを挑むコントロールデッキである。土地(ランド)と《行き詰まり》(スタンドスティル)で勝つので「ランドスティル」と呼ばれている。
このデッキは、《精神的つまづき》が使えた頃には1ターン目のアクションを弾いて2ターン目から《行き詰まり》でひきこもることができ、アドバンテージ勝負で他のデッキを圧倒する最強デッキのひとつとして君臨していた。その後、つまづきが禁止されたり奇跡呪文などの新カードが続々と出たりして、コントロールの主流からは外れてマイナーデッキとなり、今に至る。
ただなんか、忘れた頃にポッと出てくるデッキでもあるんだよね。「あれ、ランドスティル勝ってるやん」と、不意にその姿を浮上させてマニアを喜ばせては、特に流行ることもなくまたしばらく潜伏……(笑)。でもまあ、レガシーっていろんなカード、デッキにチャンスがあるんだなってことを思い出させてくれる好例である。
ちょうどそんな遊びをしたついでに、ふと調べてみたら、たまたま最近勝ってるじゃないかと。懐かしの青白「ランドスティル」、ご覧あれ!
4 《島》 2 《平地》 4 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《沸騰する小湖》 1 《カラカス》 3 《ミシュラの工廠》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 3 《瞬唱の魔道士》 1 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー(4)- |
4 《渦まく知識》 4 《剣を鍬に》 2 《神話実現》 2 《思案》 2 《呪文貫き》 4 《行き詰まり》 2 《対抗呪文》 2 《アズカンタの探索》 1 《議会の採決》 1 《世界のるつぼ》 2 《至高の評決》 1 《謙虚》 4 《意志の力》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《思考を築く者、ジェイス》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
3 《封じ込める僧侶》 1 《外科的摘出》 2 《青霊破》 2 《狼狽の嵐》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 2 《解呪》 2 《安らかなる眠り》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
なんかこう、良い意味で古くさいのがたまらんなぁ……《アズカンタの探索》とか新しいカードも入っているけど、根っこにあるのはミシュラと《行き詰まり》の伝統的な戦略。《世界のるつぼ》でミシュラや《不毛の大地》を使いまわす動きも、古き良きイケてるムーブだ。
プレイングは、とにかく相手のやることなすことを否定して《行き詰まり》で引いてを繰り返して、心が折れて投了するのを待つかミシュラで殴りきるか……あるいは、秘密兵器《約束された終末、エムラクール》という手もあるぞ!
エンチャントが墓地に落ちるデッキなので、案外唱えやすいのだろう。夢があってイイジャナイ。《謙虚》と《思考を築く者、ジェイス》の[+1]能力でクリーチャーによる勝利を全否定できたりと、オールドファンなら楽しめること間違いなしなデッキだ。
もしあなたが初めて《行き詰まり》をプレイされたとしたら、その対処に困ると思う。開き直ってさっさと割りに行く、デッキによってはそれもアリだ。でももし青いデッキなんかを使っているのであれば、お互いの手札が7枚になった状態で、対戦相手のターン終了時に《渦まく知識》でも唱えてやって、割りにいきたいね。これなら3枚ドローされてしまっても、相手は7枚を超えた余剰の手札を捨てなければならない。被害は最小限で済む。《行き詰まり》をプレイする側も、むやみに貼ると全然お得じゃなかった、なんて目にあっちゃうかもね!
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