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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
逆説的ストーム(スタンダード)
モックス/Moxは良いものだ。マジック最古のセットにて、各色のマナを出す0マナアーティファクトとして5つのモックスが登場した。モックスは造語で、その由来はアメリカなどで用いられるスラング「moxie」だと言われている。同名の炭酸飲料があり、それから転じて活気に満ちている・エネルギッシュな様を表す言葉とのこと。各色のエネルギー、すなわちマナの結晶というわけだ。
初代5つのモックスは強すぎたため、現在ではヴィンテージでしか用いることができない。その後のセットで、同様に0マナでマナを生み出すがデメリットを付けることでバランスを取ったリメイク版モックスが登場し続けている。
マジック生誕25周年の今年、『ドミナリア』にはその最新版である《モックス・アンバー》が収録された。
伝説がテーマのセットらしい、自身がコントロールする伝説のクリーチャー or プレインズウォーカーと同じ色マナが出るという制限付きで、これがなかなか扱うのは難しい。早いターンに出してもマナを得ることは困難で、悪用されないように上手く調整されている。
ただ、法の抜け穴が存在するのがマジックの常。このモックスのテキストを一切無視して、0マナの無色マナ加速として用いるデッキがある。その使用者は少なく、トーナメントに出ても当たることはほとんどない。が、世の中に確実に潜むそのデッキを知っておいて損はないだろう。
スタンダードらしからぬクリーチャーでない呪文が主体のコンボデッキ、「逆説的ストーム」だ。
13 《島》 4 《ザルファーの虚空》 1 《発明博覧会》 -土地(18)- 4 《羽ばたき飛行機械》 3 《光り物集めの鶴》 -クリーチャー(7)- |
3 《モックス・アンバー》 4 《改革派の地図》 1 《旅行者の護符》 4 《予言のプリズム》 4 《鼓舞する彫像》 3 《金属の叱責》 4 《逆説的な結果》 3 《霊気貯蔵器》 4 《解析調査》 3 《バラルの巧技》 2 《暗記 // 記憶》 -呪文(35)- |
2 《遵法長、バラル》 1 《発明の領事、パディーム》 1 《沈黙の墓石》 4 《否認》 2 《魔術遠眼鏡》 2 《川の叱責》 3 《ウルザの後継、カーン》 -サイドボード(15)- |
キーカードは《鼓舞する彫像》。
このカードがあれば、《モックス・アンバー》はアーティファクトでない呪文を唱えるために使える0マナのマナ加速となる。アンバーのみならず、《羽ばたき飛行機械》も同様だ。夢のデメリットなし無色モックス!
これの助けを得て唱えるのは、ヴィンテージでお馴染みとなっている《逆説的な結果》だ。
これを《島》1枚とアーティファクトを3つタップして唱え、0~1マナのアーティファクトを手札に戻す。大量にドローして、それらのアーティファクトを設置しなおす→《逆説的な結果》おかわり……と、まさしくヴィンテージチックな動きが可能になる。グルグルと呪文をプレイしまくる、青単のコンボデッキだ。
そうやってドローをし続けてどうするのか? このデッキのフィニッシャーは《霊気貯蔵器》だ。
このアーティファクトは、変なデッキを好む方々にとってはお馴染みのもの。呪文を唱えると、そのターンにすでに唱えた呪文の数だけライフを回復できる。50点のライフを支払えば、好きな対象に50点ダメージ。バカげているが、問答無用の一撃必殺である。この1つ目の能力を、《逆説的な結果》&軽量アーティファクトの連打で誘発させまくって50点砲を叩き込んでやろうという、ドリーミーなデッキなのである。
実際こんな夢物語が決まるのか? 疑問に思うプレイヤーは少なくないが、これが案外決まるのである。《解析調査》でコンボパーツを集め、《鼓舞する彫像》を設置してターンが返ってくる余裕があれば……決して白昼夢ではない、現実としての50点ダメージを実現させることが可能だ。
とてもいい仕事をするカードは《バラルの巧技》だ。このカードはちょっとしたマナ加速になる。
《鼓舞する彫像》の能力ではアーティファクト呪文に即席を与えることはできず、アンバーら軽量アーティファクトをタップして《霊気貯蔵器》を唱えることはできない。そこで《バラルの巧技》、このカードを即席能力でアーティファクトを使って唱え、4マナ以下のカードを手札から唱える能力で《霊気貯蔵器》を戦場に出そうというわけだ。ついでに相手のクリーチャーなどを手札へと戻して、次のターンにコンボを始動する時間を稼いでくれる。もちろん、これから《逆説的な結果》に繋げることもある。戻して嬉しいパーマネント《光り物集めの鶴》《予言のプリズム》などもあるので、うまく使ってさまざまな角度からのコンボを決めたいものだ。
自身のターンにすでに唱えられた呪文を参照するのが、かつてのストーム能力と似ているので「逆説的ストーム」とか、「即席ストーム」などと呼ばれている。この手のデッキはMagic Onlineでプレイするとライフなんかも自動的に回復してくれるので楽なのだが、実際に対人戦で使用する際には注意。しっかりと「今、呪文がいくつプレイされているのか」という情報を、自分にも対戦相手にもわかるように……メモを取るなり、ダイスなどを用いてカウントするなり、気を付けるようにしよう。何が何だか分からなくなっちゃうと、損するのは自分自身だからね!
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