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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
スクイーの大冒険~ファラオの復讐編~(モダン)
スクイー。最も有名なゴブリンだろう。実名はドミナリアのゴブリンの間ではメジャーなものだという設定があるのだが、背景世界でしっかりと役割を与えられているスクイーと言えば皆さんのよく知る、ウェザーライト号の初代クルーの一員であったあのスクイーに他ならない。
スクイーに関するエピソードは多く、虫を食べるのが大好き・船室係としてクルーに料理を振舞ったらとんでもないことになった・メルカディアでは太守の地位となった(その際、一人称がおいらから私に)・艦長シッセイをして役立たずだと思われていた・そんなシッセイも認める、見事な射撃の腕を持っている……などなど、挙げていけばキリがない。コミカルなキャラクターで、暗くなりがちなウェザーライト号の戦いの旅を盛り上げてくれた。
そんな彼の最も有名な点は、不死身であることだろう。ファイレクシアのドミナリア侵攻の際、いろいろあって捕らわれの身となったスクイーは死んでも蘇生する身体に改造された。毎日100回殺されるという、地獄のような日々を送ったが、ヨーグモスの死により戦争は終結。数少ないウェザーライト号クルーの生き残りとして、新たな冒険に旅立っていった……そして、『ドミナリア』で再登場。
今回のカード化ではその名も《不死身、スクイー》となり、墓地からでも追放領域からでもしぶとく蘇り続けるクリーチャーとなった。
このカード、変なデッキを作るのが好きな人にはたまらないデザインである。これを使ってアドバンテージを得たい! そんなプレイヤーが作ったのかどうかはわからないが、スクイーが奇妙な連中とともにチームを結成したデッキがコチラだ。
4 《山》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《血染めのぬかるみ》 3 《銅線の地溝》 -土地(17)- 4 《ボーマットの急使》 4 《傲慢な新生子》 4 《スカークの探鉱者》 1 《ゴブリンの奇襲隊》 1 《不死身、スクイー》 4 《復讐蔦》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 1 《わめき騒ぐマンドリル》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(31)- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《稲妻》 2 《安堵の再会》 4 《黄泉からの橋》 -呪文(12)- |
1 《渋面の溶岩使い》 1 《稲妻》 1 《稲妻の斧》 2 《破壊的な享楽》 1 《削剥》 1 《古えの遺恨》 1 《倦怠の宝珠》 2 《血染めの月》 4 《虚空の力線》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
ファラオが眠る棺のような見た目の《虚ろな者》、意志を持ち復讐する植物《復讐蔦》……そこにスクイーが合わされば、これはもう大冒険の予感! ビジュアルにストーリー性があって、見ているだけでワクワクしてくるデッキだ。
このデッキの元の骨格になっているのは、現在モダンで大活躍中の「赤黒虚ろな者」の原型となった「Hollow Vine」。2色にまとめて安定感を、《ゴブリンの知識》を得て爆発力を得た「赤黒虚ろな者」の方がデッキとしての完成度が高く使用者が多いが、《復讐蔦》を捨てて《虚ろな者》で戦場に戻す「Hollow Vine」のデッキとしての面白さにハマり使い続けているプレイヤーだって少数派ではあるが存在している。そのデッキに、『ドミナリア』からの新戦力がこの度ドッキング。
《信仰無き物あさり》などでスクイーを捨てて墓地から唱え、そのターンの2回目のクリーチャー呪文プレイという《復讐蔦》の復活条件を満たそうというのが狙いだが、しかし真の新戦力はスクイーよりも《スカークの探鉱者》だったりする。
このゴブリン、生け贄に捧げれば1マナが得られる。自身も1マナと軽く、そのため蔦のためのクリーチャー連打をサポートしやすい。ゴブリンを生け贄にしてマナを得る、という動きは《わめき騒ぐマンドリル》や《歩行バリスタ》といったカードとの相性も良い。相手の絆魂持ちの攻撃をスクイーでブロックし、コイツで生け贄に捧げて戦闘ダメージを発生させずに回復を防ぐ……なんて小技も、どこかで炸裂するかもしれない。
土地は削った構築にしたいが、いざというターンではある程度のマナが欲しい、そんな我儘な「Hollow Vine」というデッキを支える、マスターピースかもしれないカードだ。
《スカークの探鉱者》と《不死身、スクイー》は今後ゴールデンコンビとして、さまざまなデッキに顔を見せることになりそうだ。モダンのみならず、スタンダードでも活躍してくれるとゴブリン好きとしては嬉しい限り。死の拷問を受け続けたスクイーにはゆっくりと長い長い余生を過ごしてほしいとも思うのだが……うん、やっぱり何度も死と生を往復して楽しませておくれ!
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