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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

プロツアー『ドミナリア』直前のおさらい その2(スタンダード)

岩SHOW

 こっちを見るんだ。……よ~し、しっかり睡眠をとったって顔だ。今日からプロツアー『ドミナリア』の中継が始まる、それを観るために徹夜する準備は問題ないようだ。体力面で問題ないのであれば、今度はデッキのことを知っておこう。

 てなわけで昨日の続きで、スタンダード環境の代表的なデッキをおさらいだ。今日はまず、このデッキからいってみよう!

黒緑巻きつき蛇
JeffCunningham - 「黒緑巻きつき蛇」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2018年5月20日)[MO] [ARENA]
7 《
3 《
4 《森林の墓地
4 《花盛りの湿地
4 《霊気拠点
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《光袖会の収集者
4 《巻きつき蛇
2 《マーフォークの枝渡り
4 《翡翠光のレインジャー
2 《ピーマの改革派、リシュカー
4 《貪欲なチュパカブラ
4 《新緑の機械巨人
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(32)-
4 《冒険の衝動
2 《霊気圏の収集艇
-呪文(6)-
4 《致命的な一押し
3 《形成師の聖域
2 《強迫
3 《造命師の動物記
1 《霊気圏の収集艇
2 《生命の力、ニッサ
-サイドボード(15)-
 

 《巻きつき蛇》デッキ、本当に息が長い! 大幅な強化を受けているということもないのだが、毎セット着実にデッキに入るカードを得ているのがこのデッキが生き延び続けている理由か。《巻きつき蛇》からエネルギーや+1/+1カウンターを得るクリーチャーを展開し、強固な盤面を作り上げて圧倒する中速のデッキだ。

 『ドミナリア』から得たもの、まずは《ラノワールのエルフ》。

 もともと1ターン目にクリーチャーを出すことがないデッキが、このマナ・クリーチャーを得たのは大きい。3ターン目に《巻きつき蛇》+2マナのクリーチャーと動けるのは実に頼もしい。《ピーマの改革派、リシュカー》以外にも《新緑の機械巨人》を唱えるのを楽にするカードがあるのはありがたい。

 続いては《冒険の衝動》。

 ライブラリーの上から3枚と、見ることができる枚数自体は少ないがクリーチャーか土地が手に入る。序盤は22枚と比較的少なめな土地を探すのに使って、後半は機械巨人などの決め手を見つけ出す、実に便利なソーサリーだ。クリーチャーでも土地でもないカードはこのリストでは6枚に抑えられており、3枚しか見られないとはいえ外すことはまずない。《霊気との調和》を失って1ターン目のアクションがほぼ無くなっていた《巻きつき蛇》デッキだが、これとラノワールのおかげでその問題は解決された。

 『霊気紛争』以降のスタンダードのプロツアーを振り返っても、《巻きつき蛇》を用いたデッキが4大会中3回でトップ8入賞しており、大舞台に強いデッキでもある。今回も数多あるデッキを締め付けてスルスルと勝ち上がるか?

 
青黒ミッドレンジ
Antonio Martos Donaire - 「青黒ミッドレンジ」
グランプリ・バーミンガム2018(スタンダード) 27位 / スタンダード (2018年5月12~13日)[MO] [ARENA]
8 《
3 《
4 《異臭の池
4 《水没した地下墓地
4 《霊気拠点
3 《廃墟の地
-土地(26)-

4 《才気ある霊基体
4 《光袖会の収集者
4 《機知の勇者
2 《貪欲なチュパカブラ
1 《人質取り
3 《スカラベの神
2 《歩行バリスタ
-クリーチャー(20)-
4 《致命的な一押し
2 《喪心
2 《大災厄
2 《ヴラスカの侮辱
2 《ウルザの後継、カーン
2 《死の権威、リリアナ
-呪文(14)-
2 《巧射艦隊の追跡者
3 《強迫
3 《否認
2 《アルゲールの断血
1 《喪心
1 《ヴラスカの侮辱
1 《最古再誕
2 《霊気圏の収集艇
-サイドボード(15)-
 

 現スタンダード環境最強のパワーカードは何か? 多くのプレイヤーが《スカラベの神》の名を挙げるのではないだろうか。

 対戦相手を勝利から遠ざけ、自分を勝利へと近づける……打点・アドバンテージ・墓地対策・しぶとさと、あらゆる面で強いやべー1枚。これを使わない手はないだろうと、青黒のデッキを愛用するプレイヤーは少なくない。

 この2色の組み合わせといえば、かつてはコントロールが真っ先に思い浮かんだ。しかし現在主流なのはミッドレンジ、中速デッキだ。《光袖会の収集者》《才気ある霊基体》《機知の勇者》と2~3マナ圏に優秀なクリーチャーが多く、それらと《スカラベの神》《奔流の機械巨人》などのフィニッシャー、そしてプレインズウォーカーが合わさってパーマネントの強さ勝負では他の色に引けを取らない。

 これに黒の除去や手札破壊、青の打ち消しやドローが絡んで、理論上最強系のリストとなっている。リストにはばらつきがあるが、最近ではサンプルリストのように《ウルザの後継、カーン》を採用して、より能動的に動く構成のものが主流のようだ。

 大抵のことはこなせる器用さがウリではあるが、赤いデッキの最序盤からの攻めにはやや脆い。中速にシフトしたデッキと多く対戦することができれば《スカラベの神》が大暴れして大勝を収めることだろう。《ゴブリンの鎖回し》がどれだけ意識されるのか、それによってトーナメントでの立ち位置は異なってくるんじゃないかな。

 
青白コントロール
Ben Wienburg - 「青白コントロール」
StarCityGames.com Standard Classic Louisville 優勝 / スタンダード (2018年5月20日)[MO] [ARENA]
7 《平地
5 《
4 《灌漑農地
4 《氷河の城砦
2 《曲がりくねる川
2 《イプヌの細流
1 《天才の記念像
2 《廃墟の地
-土地(27)-
 
-クリーチャー(0)-
3 《一瞬
3 《本質の散乱
3 《封じ込め
2 《アズカンタの探索
4 《不許可
3 《排斥
3 《残骸の漂着
2 《燻蒸
1 《暗記 // 記憶
2 《中略
2 《明日からの引き寄せ
1 《試練に臨むギデオン
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(33)-
1 《領事の権限
3 《否認
2 《魔術遠眼鏡
1 《封じ込め
4 《ベナリア史
2 《神聖の発動
1 《燻蒸
1 《試練に臨むギデオン
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 最後に紹介するのは環境で最もどっしり構えて戦うデッキ、青白のコントロールだ。

 《封じ込め》という軽くて使いやすい除去を得たことで、《屑鉄場のたかり屋》や《再燃するフェニックス》といった通常の除去では処理しづらいクリーチャーに簡単に対処できるようになったのは大きく、より生き延びやすくなった。

 そして《ドミナリアの英雄、テフェリー》、アドバンテージエンジンであり除去も兼ねる、まさしくコントロールのために作られたこのプレインズウォーカー。

 これと《アズカンタの探索》を並べてしまえば、そこから先のドローの質は保証されたようなもの。《水没遺跡、アズカンタ》に変身させてしまえば、それで勝負アリと言っても決して過言ではない。

 《副陽の接近》や《黎明をもたらす者ライラ》といったフィニッシャーを採用することもあるが、このリストでは上述のアドバンテージの化身のような盤面を作り「もう勝てないな」と相手に思わせての勝利を狙っている。直接的な勝利手段になり得るカードは、何とメインでは《試練に臨むギデオン》のみ!

 このデッキも態勢が整うまでの間に攻め切られるというのが負けパターンであり、そういった超速攻デッキがどれだけいるのかがカギとなる。また、他のデッキがサイドボードにコントロール相手に刺さるカードをどれだけ用意してきているか、という点にも注目。しっかりと対策された上でそれを跳ねのけてコントロールしきることができるか……?


 2回に分けてスタンダードの有力デッキをざっと紹介した。フィーチャーマッチにてこれらのデッキが登場しないということはないと思うが……世界中の調整チームが、これらを過去のものとする新しいデッキを持ち込んで、それらが激突することになるかもしれない。どんな結果になるのかは、その目で確かめてみてくれ! というわけで今夜から始まるプロツアーの生中継、各種配信サイトで楽しんで!

   
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