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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
親和に新カード?(モダン)
『イクサランの相克』発売後の環境を振り返る。スタンダードでは……多種多様なデッキが誕生した。どれがナンバー1か断言するのが難しいくらい、目まぐるしく新しいデッキが誕生しては活躍した。
では、モダンはどうだったか。広大なカードプールを誇るモダンでは、新セットから環境に影響を及ぼすレベルのカードは得にくいもの。『イクサランの相克』にも《血染めの太陽》のような面白いカードはあったが、環境に大きな影響を与えたとは言いがたい。
しかしながら、ここ数か月のモダンは非常にエキサイティングなものとなり、その勢力図は塗り替えられた部分もある……禁止改定によって。《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》の解禁により、それまで以上に存在感を示したデッキはいくつかある。
特にジェイスが入ることで青いコントロールデッキは繁栄の時を迎えるのではないかと予想され、実際に解禁直後はこの歴代でも最強クラスのプレインズウォーカーでゲームを支配するデッキが多数戦果を挙げていた。「青白コントロール」などの台頭により肩身が狭い思いをしたのは各種ビートダウンで、その中でもアーティファクトを中心とした「親和」デッキはこのデッキとの相性がよろしくないこともあって追いやられるのでは……と思われた。
しかし、グランプリなどを経てより環境・デッキが洗練されるにつれ、コントロールデッキは環境最初期に比べてグッと数を減らした。ジェイスによる環境支配、という多くのプレイヤーが恐れていた事態にはならなかったのである。
となれば、「親和」も安心して使用することができる。そんなわけで、各種トーナメントにおいて「親和」の名を見る機会が再び増えてきた。
1 《島》 4 《ダークスティールの城塞》 4 《墨蛾の生息地》 3 《ちらつき蛾の生息地》 4 《産業の塔》 1 《空僻地》 -土地(17)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 3 《鋼の監視者》 2 《光り物集めの鶴》 2 《刻まれた勇者》 2 《エーテリウムの達人》 -クリーチャー(27)- |
4 《オパールのモックス》 1 《溶接の壺》 4 《バネ葉の太鼓》 3 《感電破》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(16)- |
1 《呪文滑り》 2 《刻まれた勇者》 1 《熱烈の神ハゾレト》 2 《思考囲い》 1 《苦花》 2 《安らかなる眠り》 1 《古えの遺恨》 1 《鞭打ち炎》 2 《血染めの月》 1 《ギラプールの霊気格子》 1 《摩耗 // 損耗》 -サイドボード(15)- |
「親和」というデッキは広く知れ渡っていて、このコラムでも過去に何度か取り上げており、メインのリストにもそれほど大きな違いは生まれていないので……今さら語る部分は少なかったりする。メインデッキについては。というわけで、今回はサイドボードを中心に話をしたいと思う。
とは言っても、メインについて初めて目にする方もいらっしゃることかと思うので簡潔に。このデッキは《ダークスティールの城塞》《オパールのモックス》《羽ばたき飛行機械》などの1ターン目からばら撒けるアーティファクトを中心に構成されている。
これらを早いターンで展開し、《頭蓋囲い》の修整値を大幅に引き上げ、《大霊堂のスカージ》や《刻まれた勇者》に装備して殴り、早期決着を狙うビートダウンデッキだ。
カード1枚1枚のパワーは低くとも、《電結の荒廃者》などアーティファクト・シナジーに満ちており、爆発力はモダンでもトップクラス。常に一定数の使用者が存在しており、そのためこの環境でプレイする際にはサイドボードに《石のような静寂》などの対策カードを用意する必要があるのだ。
で、今日の話の中心はサイドボード。先に述べた通り、モダンの既存デッキに最新セットのカードが採用されることはそう多いことではない。「親和」も『霊気紛争』にて《産業の塔》を手に入れたが、これも《空僻地》と置き換わっただけで、全く新しいパーツであるとは言いがたい。そして、それ以降はメインに採用されるカードにほとんど変化がない。よっぽど強くて軽いアーティファクトが登場すれば話は別だが、スタンダードで暴れかねないのでそういったカードが最新セットに入ってくることは難しい。
しかしながら、全く新しいカードが使用されていないわけじゃない。特にサイドボードにはチャンスがある。《熱烈の神ハゾレト》などは、今ではわりと定番の1枚になりつつある。
一見、このデッキと何も噛み合っていないように見えるかもしれないが、手札を消費しやすい「親和」であれば簡単に攻撃することができ、アーティファクト対策で沈黙しやすいサイド後でもパワー5の速攻・破壊不能とパワフルなアタッカーとして機能してくれる頼もしい神様なのだ。実際に僕も使ってみたが、これはなるほどこのデッキによく合っているなと驚かされた。疑っている人は実際に使ってみて、使用感を自身の手で確かめてほしい。
また、このデッキではメインに採用されている2枚の《光り物集めの鶴》も、メインとサイドで分けて採用されたりしている。
これもハゾレト同様比較的新しいカードで、アーティファクト対策が厳しくなったりアドバンテージ勝負を強いられる相手へのサイド後に強かったと実感した。2マナ1/3飛行というサイズは、実はこのデッキ内でも素のスペックが高い方である。《頭蓋囲い》の装備先としても申し分なく、額面以上のカードパワーを感じた。
これらの2枚は、それが世界で最初の挑戦かどうかは言い切れないが、日本の「親和」デッキ大好き調整チームが何度も実戦でテストしてたどり着いたカードだ。新セットが出て、少しでもチャンスを感じたカードがあると、彼らは議論した後に実際に試してみる。その結果、海外のプレイヤーも用いる新たなテクニックとして定着したというわけだ。
僕はこの「実際に試してみる」ということがとても大事だということを、《光り物集めの鶴》そして《熱烈の神ハゾレト》を見るたびに思い出すようになった。何事も、やってみなくちゃわからない。
そんなわけで、発売間近の『ドミナリア』に収録されている《ウルザの後継、カーン》がこの「親和」の新たな1枚にならないかなと、とても期待しているのだ。
[-2]能力で作れられるクリーチャーは《頭蓋囲い》装備済みみたいなもんである。アーティファクトが多数並ぶこのデッキなら、十分な打点となるだろう。4マナのカードは重く見えるが、ハゾレトが運用できるということは証明済み。《光り物集めの鶴》のようにアドバンテージを得られるカードはありがたい……と、活躍する予感でいっぱいなのだ。使う前から否定しないで、ぜひとも1回試してほしい。使ってみて合わなかったら、その結論に自分で達することができただけでも良いじゃないかと。
カーンに限らず、もしピンときたカードがあったら、何でも試してみるべき。それが新たな常識となるかもしれないって!
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