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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
古き良きステロイド(モダン)
Magic Onlineにはさまざまなコンテンツが存在するが、プレイヤーにとって最も参加しやすくメインコンテンツであると言えるものはリーグ(League)戦だろう。全5回戦、自分の好きなタイミングでマッチを行い、勝利数によって賞品がもらえるというものだ。
純粋にマジックを楽しむために、控えているトーナメントに向けての調整のために、参加する動機はさまざま。フレンドリーと競技(Competitive)の2つのリーグが存在し、競技の方がより「ガチ」志向のプレイヤーが集まっている。
競技リーグ戦を5戦全勝で終えたデッキリストの中からいくつかが毎日のように公式サイトに掲載されており、ここではそうしたリストの中から環境を定義づけるものや面白い構成のものを取り上げることがしばしば。
競技リーグ戦で勝つということは、このようにデッキが世の中に公開されることを意味しており、グランプリやプロツアーなどの大一番前には、プレイヤーはあえて全勝はせずに手の内を封じることもあり、そのようなことから「リーグ全勝デッキリストはあてにならない」と言われることもある。5回戦であれば、環境にフィットしていないデッキであっても駆け抜けることができ、そういった点からも勝っているデッキを強いと鵜呑みにしてはいけないとも。
実際にそうかもしれないが、個人的には全勝は全勝、確実に参考になるものがそこにはあると信じてここで紹介し続けている。それに、このコラムは強いデッキを紹介するだけのものではないからね。こんなデッキもあるんだ、という発見を一人でも多くの人に届けられたらと……そんな思いでやらせてもらってます!
今日のデッキも強いかどうかという議論をすると賛否両論あると思う。でも、僕は個人的に好きなカードがこのデッキに採用されていて、そしてこれが競技リーグで全勝しているという事実だけでなんだか嬉しくなった。その思いを皆にも共有できたらな……
ってことで、今日のデッキは古き良き時代を思い起こさせる「ステロイド」だ!
5 《森》 3 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《吹きさらしの荒野》 -土地(20)- 4 《密林の猿人》 4 《ドライアドの闘士》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《漁る軟泥》 4 《絡み根の霊》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《月の大魔術師》 4 《血編み髪のエルフ》 -クリーチャー(27)- |
4 《怨恨》 4 《稲妻》 2 《削剥》 3 《血染めの月》 -呪文(13)- |
4 《台所の嫌がらせ屋》 2 《大祖始の遺産》 1 《自然のままに》 2 《古えの遺恨》 2 《漸増爆弾》 1 《削剥》 2 《コジレックの帰還》 1 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
ステロイドといえば筋肉増強剤のことが思い浮かぶ人が多いかと思う。マジックにおいては赤と緑のビートダウンを昔はこう呼んだもので、その理由は猛烈に攻める様子だったり、デッキに採用された《アーナム・ジン》のムキムキな身体からだったりと諸説あるが、よくわかってはいない。とにかくそういうもんだと思ってもらえるとありがたい。今風に言うと「グルール・ビート」とか「赤緑アグロ」とかに、まあ個人の好きなように呼ぶのが良いだろう。
カードの固有名詞を含まず、呼び方が自由なデッキというものは、コンボや絶対的な主軸というものがない、構築の自由度が高いデッキである。ステロイドというジャンルもそうなのだが…個人的にこのデッキを特別「ステロイド」と呼んでやりたいのはあるカードのせい。それは《密林の猿人》だ。
大昔のステロイドといえばこの1マナ1/1を《山》であり《森》でもある《Taiga》から展開することで2/3にサイズアップさせて殴る、というのが定番ムーブだったようで……ついたあだ名が「タイガ猿」。僕もこの伝承を伝え聞く側だったのだが、『基本セット第9版』に猿人が再録、『ギルドパクト』にて《踏み鳴らされる地》が登場した際にはこのTHEステロイドという動きを体感して少し感動したものである(往々にしてボコられる側だったが)。
モダンではあまり見ない動きではあるが、1ターン目に2/3を出す動きが弱いということはなく、後続もどんどん展開しつつ殴るのは相手にとっては中々の圧を感じるものだろう。
そして猿4枚では足りない1マナ圏に採用されたのはなんと《ドライアドの闘士》。珍しいチョイスで興味深い。
パワーが2あり、インスタントとソーサリーが墓地に落ちなくなるというニッチな能力持ち。《瞬唱の魔道士》や《グルマグのアンコウ》にちょっと効く、その能力のおかげで勝てることもあるのだろう。4枚採用された《怨恨》はこの闘士と猿の1マナパワー2軍団が最初から最後まで立ち止まらずに攻撃にいけるように手助けしてくれる。
個人的に大好きなクリーチャーである《絡み根の霊》《ゴブリンの熟練扇動者》が採用されているのも嬉しいし、これらも《怨恨》と好相性。こういう連中でガシガシ前のめりに殴りにいきたいものだ。
どちらもカード1枚分以上の働きを見せるポテンシャルを持っており、粘り強い点も◎。これらと《血染めの月》《月の大魔術師》なんかが《血編み髪のエルフ》からめくれるとテンションがとんでもないことになってしまいそうだ。
このデッキでリーグ全勝というのは当たり運もあるだろうが、そもそもデッキが多すぎる上に当たり運の要素が大きいのがモダンである。あまり細かいことは気にせず、自分が良いと思ったデッキを回して楽しんでみる、そういう姿勢で遊びつくしていきたいもんだな!
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