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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:向こう見ずな紅蓮術士(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:向こう見ずな紅蓮術士(モダン)

by 岩SHOW

 2マナの強力なクリーチャーの登場はデッキ構築に革新をもたらすもの。《闇の腹心》が登場し、黒はライフを代償に尽きぬドローを用いるデッキが作られるようになった。《タルモゴイフ》が登場し、緑は他のデッキに足されまくることとなった。《石鍛冶の神秘家》が登場し、白は強力な装備品を自在に操るデッキ構築が可能となった。《瞬唱の魔道士》が登場し、青はただでさえ優れたインスタントでの攻防を極めることとなった。

 さあ、赤のターンが来るのはいつだ? 皆が待ち続けたそれは、アンコモンというレアリティにて登場することとなった(ここまで紹介したカードはいずれも初登場時はレアだ)。ただ、アンコモンと言えどその実力は上述のカードに肩を並べるスーパースペック!《若き紅蓮術士》の登場はまさしく赤にとっての革新だった。

 2マナ2/1、腹心・瞬唱と同じサイズだ。能力が最も重要ではあるものの、欲を言えば殴りにいけるクリーチャーであってほしい、そんな思いに最低限応えてくれるスペックは嬉しい。

 そしてその能力、インスタント or ソーサリーを唱えると1/1のエレメンタル・トークンを生成! 強い! 《稲妻》のテキストに1/1のトークンを生成する、と書かれているとどれだけヤバいかわざわざ想像するまでもなくヤバい。

 赤いカードはアドバンテージという概念をかなぐり捨てて、手札を吐き出して行動していくものとしてデザインされる傾向にある。それゆえに、ゲーム中に対戦相手よりも先にリソースが尽きてしまうことが多々、そのいわゆる「息切れ」に付け込まれて敗北すること幾星霜。そんな悩みを、呪文にオマケをつけることで解決してくれる、《若き紅蓮術士》は赤を支えるスーパーエースだ!

 そんな紅蓮術士をフィーチャーしたデッキは複数ある。特にモダンではこれを核にした「マルドゥ・パイロマンサー」がプロツアーで活躍したのも記憶に新しい。

 今日は同じくモダンで、紅蓮術士が活躍するデッキを紹介しよう! それじゃリストを見てみよう。

Jonathan Blank - 「マッドキャップ・ムーン」
StarCityGames.com Invitational Qualifier Falls Church 4位 / モダン (2018年2月11日)[MO] [ARENA]
7 《
1 《
2 《蒸気孔
4 《沸騰する小湖
4 《溢れかえる岸辺
2 《硫黄の滝
2 《僻地の灯台
-土地(22)-

4 《瞬唱の魔道士
1 《凶兆艦隊の向こう見ず
1 《ヴェンディリオン三人衆
2 《白金の帝像
-クリーチャー(8)-
4 《稲妻
4 《血清の幻視
3 《選択
2 《呪文嵌め
4 《差し戻し
1 《削剥
3 《血染めの月
2 《電解
4 《向こう見ずな実験
3 《謎めいた命令
-呪文(30)-
4 《若き紅蓮術士
2 《凶兆艦隊の向こう見ず
1 《イゼットの静電術師
2 《払拭
2 《削剥
2 《軽蔑的な一撃
2 《神々の憤怒
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 メインに入ってないやん! そんな声も聞こえてきそうだが、それはいったん置いといてくれ。このデッキの主役の1つであることには違いないのだ。今日のデッキは「マッドキャップ・ムーン」!

どんなデッキ?

 《向こう見ずな実験》(マッドキャップ)と《血染めの月》(ムーン)による2つの切り口で攻めてくる青赤のコンボデッキ。

 《向こう見ずな実験》はランダム性が高いビックリ箱的なカードとしてデザインされているが、デッキに入っているアーティファクトを1種類に限定すれば必ずそれにたどり着くことが可能、という面に注目してこのデッキは作られた。

 そのアーティファクト枠を《白金の帝像》にすることで、《向こう見ずな実験》から必ず帝像が戦場に降臨→帝像の能力によりコントローラーのライフは変動しなくなるので、実験で何枚公開していようがノーダメージ!という、たった4マナとカード1枚で不死身になりつつ8/8を手に入れるというコンボがこのデッキの決め技だ。

 実験帝像コンボは強いものの、これをそうやすやすと許してくれるほどモダンのデッキもお人好しではない。ここに至るまでのお膳立てとして《血染めの月》による土地妨害や青い打ち消しによるサポートがあってこそデッキとして成立しているわけだ。

 青は《向こう見ずな実験》にたどり着くためのドロー操作も兼ねている。打ち消しやドロー操作、除去を使いまわすために《瞬唱の魔道士》が採用され、コンボが決まらずともこれでアドバンテージを得ながら相手を押さえつけているうちに殴り勝つことも可能だ。

 サイド後には対戦相手はアーティファクト対策や《墓堀りの檻》といった妨害手段を多数用意してくる。コンボを決めて勝つのは困難になってくるのだが......ここで活躍するのが《若き紅蓮術士》!

 サイドボードからこれと相手への対策カードをドカンと取り入れ、相手によってはコンボセットをすべて抜き去って瞬唱&紅蓮術士の分厚いタッグで戦うデッキへと変身だ。

 メインは派手に決め、サイド後は堅実なアドバンテージ勝負に持ち込む。完璧に使いこなすには技量が求められるデッキではあるが「マジックをやっている!」という感覚を味わうには最高のデッキの1つだと言える。

テクニック!

謎めいた命令》+《瞬唱の魔道士》:《謎めいた命令》には4つのモードがあり、これを場面によって完璧に使い分けることが勝利への道。瞬唱が手札や戦場にいる際には「パーマネントを1つオーナーの手札に戻す」モードを有効活用することも考えてみよう。相手の呪文を打ち消したり、クリーチャーをすべてタップして攻撃を防ぎつつ瞬唱を手札に戻して、もう1回命令を使えるというロック状態に持ち込むのは対戦相手にとっての悪夢だ。

注目のカード:《凶兆艦隊の向こう見ず

 『イクサランの相克』にて登場した、対戦相手の墓地からカードを再利用する、瞬唱の変種とも言える1枚。対戦相手に手札破壊やクリーチャー除去でやられたら、こっちも同じ手でやり返せ! その呪文を唱えないにしてもとりあえず追放してやることで、再利用することを防ぐという最低限の仕事をする点にも注目。

 

 メインではいかにコンボを通すかを考え、サイド後は紅蓮術士で盤面を形成しながら相手を妨害し続けることに注力する。2つの戦略を併せ持ったデッキというのは実に魅力的だ。モダンでエキサイティングなゲームを体験したいのであれば、ぜひとも候補に!

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