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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:GerryTのマルドゥ・パイロマンサー(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:GerryTのマルドゥ・パイロマンサー(モダン)
by 岩SHOW
プロツアー『イクサランの相克』は経歴の差こそあれど実力者揃い、8名がそれぞれの夢に描いたプロツアー王者の座を目指して争ったわけだが、この中で唯一、実はプロツアー優勝の経験を持つプレイヤーがいた。アメリカのジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonだ。
「GerryT」の愛称で知られるプロツアー『アモンケット』王者は、本当にマジックが大好きで、そしてそれを通じて人とかかわることを楽しんでいることが伝わってくる、最高に爽やかなプレイヤーだ。僕もとある形式(何かは言うまい)でデュエルを挑んだことがあるのだが、それを通じて以降は仲良くさせてもらっている。本当に人懐こくて、人を喜ばせる冗談と笑顔が素敵なのだ。
そんなGerryTがモダンで使用したデッキを今日は紹介しよう。どんなデッキでも柔軟に使いこなすイメージのある彼が選んだのは、以前このコラムでも取り上げたことのある「マルドゥ・パイロマンサー」だ。
3 《山》 2 《沼》 2 《血の墓所》 1 《聖なる鋳造所》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《湿地の干潟》 4 《黒割れの崖》 -土地(20)- 4 《若き紅蓮術士》 4 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー(8)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 4 《稲妻》 2 《致命的な一押し》 2 《集団的蛮行》 1 《戦慄掘り》 1 《終止》 1 《魔力変》 4 《未練ある魂》 3 《コラガンの命令》 2 《血染めの月》 1 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(32)- |
1 《大爆発の魔道士》 3 《外科的摘出》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《集団的蛮行》 2 《溶鉄の雨》 1 《神々の憤怒》 2 《摩耗 // 損耗》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
どんなデッキ?
黒と赤が中心となっており、それらの色が得意とする手札破壊とクリーチャー除去を多数搭載。
本来はこれらを唱えているだけでは、相手の足が止まりはするもののゲームに勝利することはできない。そこに《若き紅蓮術士》を添えてやると、これらの軽量呪文を唱えているだけでトークンが増殖し、対戦相手に敗北をもたらしてやることができる。
モダンは相手に強烈な動きを押し付けて対処を迫る・対処できなければそのまま勝つというデッキが多く、受けに回りすぎるデッキで長丁場を戦うのは厳しいとされる。その問題点をクリアした、相手の動きを阻害しながら殴る理想的な中速デッキが「マルドゥ・パイロマンサー」だ。
マルドゥ(赤白黒)と名乗ってはいるものの、白いカードは非常に少なく6枚のみ、白いマナを生み出す土地も実に1枚だけとなっている。これはメインの白いカード=《未練ある魂》であるため。このカードは《信仰無き物あさり》などで捨ててしまうことで、白いカードでありながら黒マナで唱えることが可能で、普通に唱える機会の方が少ないためこのような構築になっている。これと紅蓮術士が組み合わされば、地上にエレメンタル・空にスピリットと強固な盤面を作り上げることができる。
妨害および物あさりでの手札回転と、序盤からノンストップで手札を消費し墓地にカードを貯め続ける。この手のデッキが最も苦手とするのは手札が空になること=息切れだが、その問題は《騒乱の歓楽者》が解決してくれる。
墓地にインスタントとソーサリーがたっぷりあるはずなので、軽くなったこのデビルを唱えてザクッと3枚ドローしよう。毎ターン途切れなく相手を妨害し、盤面を作り、手札は尽きない。理想の動きができた時には、なんとも言えぬ満足感を与えてくれるデッキだ。
テクニック!
《コラガンの命令》+《騒乱の歓楽者》:いくら墓地にカードを落とすスピードが速いと言っても、序盤に歓楽者を唱えられるようなレベルのブン周りは非常に稀。なので、《信仰無き物あさり》や《集団的蛮行》で捨てるカードに困ったら、捨ててしまって構わない。消耗戦にもつれ込んだら《コラガンの命令》で回収してアドバンテージ地獄を体感させてやればよいのだ。
注目のカード:《魔力変》
コンボデッキのお供という印象の強いカードがなぜ入っているのか? これは手札もマナも消費せずに、墓地のインスタント・ソーサリーの枚数を増やしつつ、色マナを変換することで《ヴェールのリリアナ》や《未練ある魂》のようなやや唱えにくいコストを持ったカードの運用を楽にするため。紅蓮術士でトークンも作れば、カード1枚以上の働きを見せてくれる。こういう潤滑油ポジションのカードをうまく見つけてくるのがプロの構築、なのだろう。
GerryT自身はMagic Onlineで一度プレイしただけで、調整仲間を信じてこのデッキを選択したのだという。彼の非常に高いプレイスキルによって、一見いびつにも見えるこのデッキがスムーズに動き、プロツアー準優勝という素晴らしい結果に繋がったのだろう。
選択肢を1つ間違えると動きがちぐはぐになってしまいかねないデッキだが、プレイを重ねると何が間違っているのかがわかり、相手によってどう動くべきなのかが見えてくる。練習のし甲斐もあるデッキだと思うので、モダンでじっくり使い込むデッキを探している人は参考にしてみてはいかがだろうか。紅蓮術士はやっぱり良いカードだね!
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