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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ストームチェイサー・フラッシュバック(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ストームチェイサー・フラッシュバック(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
マジックには定石はあっても常識はない、いつも常識を打ち破るデッキが登場するからだ。○○というカードはあんまり強くない、リミテッド用、リミテッドでも使いにくい......そんな常識が一刀両断される光景を、構築シーンで僕らは何度も何度も見てきた。柔軟な発想、ひらめき。それらを形にするべく動けば、その情熱にデッキは応えてくれる。
今日紹介するデッキも、これらのカードを活躍させたい!という情熱を強く感じるものだ。まずはリストを見てみよう。
1 《島》 3 《Volcanic Island》 2 《Tundra》 2 《Tropical Island》 2 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 2 《霧深い雨林》 2 《汚染された三角州》 1 《Library of Alexandria》 -土地(16)- 2 《嵐追いの魔道士》 1 《道の探求者》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《僧院の導師》 -クリーチャー(5)- |
1 《Black Lotus》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Sapphire》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Emerald》 1 《太陽の指輪》 3 《精神的つまづき》 1 《ギタクシア派の調査》 1 《Ancestral Recall》 2 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 3 《航路の作成》 1 《古えの遺恨》 1 《商人の巻物》 1 《物静かな思索》 1 《森の知恵》 1 《Time Walk》 3 《綿密な分析》 1 《精神壊しの罠》 1 《神秘の回復》 4 《意志の力》 1 《噴出》 1 《時を越えた探索》 1 《宝船の巡航》 1 《火 // 氷》 2 《ダク・フェイデン》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《卓絶のナーセット》 -呪文(40)- |
3 《封じ込める僧侶》 1 《稲妻》 1 《自然の要求》 3 《古えの遺恨》 1 《天啓の光》 1 《炎渦竜巻》 4 《虚空の力線》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
ヴィンテージのリストは毎度ながらボリューミー! 今一度、このフォーマットについて整理してみよう。
ヴィンテージはその名の通り、25年前の古えのカードから最新鋭のカードまで、マジックのほぼすべてのカードを用いることができるフォーマット。特徴的な部分は「強烈なカードを使いたい!」という要望に応えるべく、マジックのゲーム以外の要素を持ったカード(例えばカードを投げるとか)のみを禁止し、他の環境をブチ壊した猛獣のごときパワーカードは大体野放し! 強すぎるカードでも、制限カード(デッキに1枚のみ)という形で抑えられはするものの使用可能となっている。この制限カードの存在により、ヴィンテージのデッキリストは1枚挿しのオンパレードでとても長いものとなっているのだ。
それではデッキについて。このデッキはかつてヴィンテージで暴れていた「メンター」系デッキの血を継ぐものである。メンターとは《僧院の導師》のこと。
これを出して軽い呪文を連打するだけで数でもサイズでも対戦相手を圧殺できる驚異的なクリーチャーで、軽すぎる呪文があふれるヴィンテージには噛み合い過ぎてしまい、環境に蔓延しすぎたため導師は制限カードとなった。
軸となっていたカードが制限となったことで大幅なパワーダウンを余儀なくされたのだが......このデッキでは《道の探究者》と《嵐追いの魔道士》という果敢能力持ちを採用し、導師と合わせて4枚にすることでかつての「メンター」スタイルに近づこうとしている。
何もこれらのクリーチャーは導師の代役というだけではなく、絆魂や飛行に速攻と、キーワード能力で勝っている点もある。特に《嵐追いの魔道士》は奇襲を仕掛けられる点が魅力的だ。
このデッキはそれら果敢持ちクリーチャーを展開した後《Black Lotus》や各種Mox、そして青のドロー呪文を連打することでサイズを大きくしてブン殴って勝負を決める、ストーム系のコンボデッキにも似た勝ち手段を備えつつ、打ち消し呪文で対戦相手を妨害し続けることも可能な作りとなっている。
非常に特徴的なのは、このデッキの回転を生み出すために採用されているカードにある。《定業》や制限カードである《思案》《渦まく知識》などをドロー呪文枠に採用することが多いのだが、このデッキではそれらライブラリー操作を重視した呪文とは違い確実に手札の枚数を増やすことができるドロー呪文を重視して採用している。
《航路の作成》は攻撃後であれば2マナで2枚ドロー可能と、低コストながら手札の枚数を増やしてくれる。
攻撃する体制が整っていない状況で唱えた場合は手札が増えないのだが、そこは《綿密な分析》を捨てることでカバーしている。まさかこのカードを現在のヴィンテージで見ることになるとはね。
4マナ2枚ドローと重たいソーサリーながら、フラッシュバックであれば2マナと3点のライフという低コストで手札を増やせる名カードだ。これを航路で捨てればデメリットなんて帳消しもいいところだ。
このデッキでは、さらにこの《綿密な分析》を活かそうという構築が採られている。《物静かな思索》はフラッシュバック呪文を3枚墓地に落とすことができる。
お互い打ち消し呪文を連打しあう消耗戦を経て、このカード1枚で最大で手札6枚分のカードをストックできるのだ。う~ん、これらのカードがスタンダードにて使用されていた時代を愛する身としてはたまらないね。
この呪文でサーチできるフラッシュバック呪文は他にも採用されている。《古えの遺恨》でアーティファクトに対処できるのは嬉しい。そして、《神秘の回復》!
このカードの採用には驚きを隠せなかったが、確かにこのデッキには合っている。序盤に打ち消されてしまった《Ancestral Recall》を回収して、今度こそ3枚ドローしてやる......想像しただけでワクワクする光景だ。ここまで手厚く手札が補充できるようになっているので《意志の力》を代替コストで唱えやすく、対戦相手のコンボや妨害を弾きながらクリーチャーの展開もしやすくなっている。後はこっちだけがモリモリ呪文を唱えられる、いわゆるマウント状態に持ち込んでタコ殴りじゃい!
ヴィンテージは日々、こうした常識を破壊するカードチョイス・デッキ構成が見られて実に面白いフォーマットとなっている。そういえば、今年はヴィンテージの祭典の1つであるエターナル・ウィークエンドがついに日本に上陸するんだったね。その日までに一体どれだけの常識が打ち破られているのか、実に楽しみだ。
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