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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青緑打撃体(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青緑打撃体(スタンダード)
by 岩SHOW
さあ、待ちに待った『イクサラン』環境、最初の勝ち名乗りを挙げたデッキを紹介しよう!
Magic Onlineのリーグ戦を全勝で制したデッキの中には、新カードを1枚も用いていない「ティムール・エネルギー」や「赤緑打撃体」の姿もあった。まあこれはいつものことで、ローテーション直後のMOではまだまだ新カードを揃えているプレイヤーの方が少なく、これから前環境で使っていたデッキのアップグレードに必要なものを集めていこう、あるいは組みたいデッキを定めていこうというところだ。《霊気池の驚異》が火を噴いていた『アモンケット』の際にはこれが顕著で、随分悩まされたものである。
さて今回も、やはり『カラデシュ』ブロックのエネルギー絡みのデッキがそのままの姿で勝っちゃってるか......ネタあるかな......と、リーグ戦全勝リストのページをスクロールしていると、そこにはエネルギーデッキではあるものの、一際異彩を放つデッキが!
これは紹介しなくっちゃな、「青緑打撃体」の鮮烈デビューだ!
4 《島》 3 《森》 4 《植物の聖域》 4 《ハシェプのオアシス》 4 《霊気拠点》 -土地(19)- 4 《導路の召使い》 4 《静電気式打撃体》 4 《戦利品の魔道士》 3 《逆毛ハイドラ》 -クリーチャー(15)- |
4 《霊気との調和》 4 《顕在的防御》 4 《潜水》 4 《気宇壮大》 4 《織木師の組細工》 3 《塁壁壊し》 1 《霊気圏の収集艇》 2 《自然に仕える者、ニッサ》 -呪文(26)- |
4 《牙長獣の仔》 4 《呪文貫き》 4 《造命師の動物記》 3 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
先にも触れた「赤緑打撃体」、そして「黒緑打撃体」など、《静電気式打撃体》を主軸としたコンボ要素の強いビートダウンデッキには細かなバージョン違いが見られた。
今回紹介する「青緑打撃体」も、実は前環境から見られたデッキのアップグレード版ではある。「赤緑打撃体」デッキに、打撃体にアクセスするために《戦利品の魔道士》を採用したものが前環境末期にはプチブームとなっていたのだ。そのデッキから赤を抜き去り、緑と青の2色でまとめられたのがこのデッキだ。
そもそも打撃体デッキとは何か、おさらい。《静電気式打撃体》は、エネルギーを3つ注いでやると、自身のパワーに等しい+X/+X修整を受ける。カードに印刷されているパワーは1しかないが、これを緑と赤が得意とするクリーチャー強化呪文で上昇させてやり、エネルギーを2度3度注ぎ込んで一撃ノックアウトを狙える......そんなコンボを狙いつつ、《逆毛ハイドラ》などのクリーチャーで普通に殴ることもできる、そんなデッキだった。
緑には《霊気との調和》《導路の召使い》というマナもエネルギーも安定させるカードがあり、《気宇壮大》のような一撃必殺のタネ、打撃体に対する除去への対抗手段となる《顕在的防御》があり、この色はメインカラーとして外せない。
その相棒を最も担っていた赤には《暴力の激励》《放たれた怒り》による強化で瞬殺、《蓄霊稲妻》というエネルギー源兼除去、ナイス2マナ圏《通電の喧嘩屋》なんかが揃っていた。
そんな充実した赤を切って青を相棒に選んだ理由とはなんだろうか。エネルギー・デッキと言っても3色はなんだかんだきつい、それでもコンボを確実に成功させるために《戦利品の魔道士》は外せない、というところだろうか。しかしそれだけの理由で、手広くやってくれる赤にとって代われるものなのか? それを後押ししたのが『イクサラン』の新カードというわけだ。
《塁壁壊し》はクリーチャーに+3/+3修整とトランプルを与えるインスタントだ。
リミテッドでどれだけ使えるカードなのか、その点だけを考えていたが、なるほどこれは《暴力の激励》の代わりにもなる。マナ効率では幾分劣るものの、打撃体にトランプルを与えてダメージを突き抜けさせてブロッカーごと風穴を開ける、という役目は果たしてくれる。マナ・コストが上昇したため、使いづらくなってしまったのだが......そこも、軽い新カードがサポートしてくれる。《潜水》だ。
いや~このカードを構築で見ることになるとは夢にも思わなかった、ドラフトでも最後の1枚として流れてくるようなカードなのだが、マジックって本当にわからないものだな。このインスタントはクリーチャーのタフネスを3上昇させつつ、呪禁を与える......1マナで呪禁を与える、そう《顕在的防御》の追加枠だ。青緑になったことで、《通電の喧嘩屋》のような打撃体以外での勝ち筋が減ってしまっている、逆に考えれば打撃体で勝つことに特化させているということだが、これを可能としたのが《潜水》というわけだ。
《静電気式打撃体》というクリーチャーは、速攻を持っていない。戦場に出して、1ターン待って召喚酔いが解けたのちに攻撃するという、展開からスーパーパンチを決めるまでにどうしてもタイムラグが生じてしまう。この1ターンはそれはそれはとんでもない隙であり、それを埋めるために《顕在的防御》は採用されていたのだが、これ4枚だけではカードが足りない。この呪文のパワー2上昇を攻めのタイミングで用いたいということも多々あったり。
そこでパワーは上昇させないが、完全に1ターンのタイムラグを耐えるように割り切って使える《潜水》の登場はアリガタヤーなわけだ。3ターン目に《戦利品の魔道士》で打撃体をサーチ、4ターン目は打撃体展開で《潜水》or《顕在的防御》を構え、5ターン目に決着、という安定感のあるストーリーをたどることが可能となった。青緑というカラーリングがパワーでぶち抜くというデッキを成立させたのもなんだか面白い。
環境初期にはいろいろなデッキが生まれては消えていく。その連鎖の末に、環境最強クラスのデッキたちが君臨するようになる。そこへ至るまでの過程は、世界中のプレイヤーの試行錯誤が見られて本当に面白い。今週開催される世界選手権2017.このトーナメントが、新たなスタンダード環境にもたらす影響は計り知れない。トッププロたちが解答を世に示すまでの残された時間、あなたもお近くの平日大会やオンラインにて混沌の環境を楽しんでみよう!
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