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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「選択」がある時代(過去のスタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「選択」がある時代(過去のスタンダード)
by 岩SHOW
《選択》が帰ってきた! 再びスタンダードで相まみえようなど、夢にも思わなかった。
選択
{U}
インスタント
占術1を行う。
カードを1枚引く。
注釈文を除くと、今ならこんなにすっきりしたテキストに。このカードがスタンダードおよびモダンで使用可能になることで、それぞれの環境の青いデッキにどのような変化がもたらされるのか、今から楽しみである。
今回は地味ながらも名カードであるこの《選択》を使用したデッキを紹介しようと、過去のトーナメント結果を振り返っていたところ......良いもの発見! つい先日、復活した日本選手権が開催されたばかりだが(結果はまだ知らない)、この2017年に復活するトーナメントはニッセンのみにあらず! 年末の構築一大イベント「The Finals」も開催される!
......ということは、把握されている方が圧倒的に多いかな。そんなThe Finals、過去のトーナメントではこの《選択》を4枚ずつ採用した、しかし方向性は全く異なる2つのデッキが同時にTOP8に残ったことがあった。今日はその2つを簡単にご紹介しよう。使用者も、2名とも皆知っているはずだよ!
8 《島》 4 《森》 3 《沼》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《塩の湿地》 2 《ラノワールの荒原》 -土地(24)- 4 《神秘の蛇》 3 《魂売り》 -クリーチャー(7)- |
4 《選択》 4 《対抗呪文》 4 《破滅的な行為》 4 《排撃》 4 《蝕み》 4 《嘘か真か》 3 《ロボトミー》 2 《悪意 // 敵意》 -呪文(29)- |
4 《ジャングルの障壁》 4 《反論》 2 《禁制》 3 《殺戮》 2 《説得》 -サイドボード(15)- |
The Finals 2001にて活躍したデッキ、まず1つ目は「カウンター・モンガー」!
モンガーとは《魂売り》のこと。この黒緑の怪物は、驚異的な能力と優秀なサイズを併せ持った、This is a finisherとでも言わんばかりのパワフルカード。《魂売り》が戦場を支配するまでの時間をカウンター=《対抗呪文》&《蝕み》が稼いでやり、また再生不可能な除去からも護ってやる。
対戦相手が早いターンに展開してきた小物は、まとめて《破滅的な行為》でお掃除。手札の補充は《嘘か真か》に任せろ、と......書いていてなんだか完全無欠デッキに思えてきた。
事実、このトーナメントではその肩書は間違いではない。初日全勝者は2名、その両名がこのデッキを用いていたという。そして1名は準決勝まで駒を進め、今回キーになっている《選択》を2回唱えるものの、2枚目の青マナになかなかたどり着けずに青デッキ同士の戦いに敗れてしまったと伝え聞く(カバレージにて)。
その方こそ、プロツアー殿堂顕彰者・プロツアー『カラデシュ』王者、八十岡翔太! 世界のヤソさんその人である。実に16年前、ここからヤソさんの伝説が始まったとも言える、記念すべき大会だ。準々決勝は濃厚なトップデッキ対決で、今読んでもなかなか面白い。書いているのはあの黒田正城、黒ちゃんだ(参考記事)。
青黒緑3色のパワーカードでがっちり固められたデッキで、最近では聞かなくなったがこのようなデッキは「グッドスタッフ」と呼ばれたりしていた。ただパワーカードを詰め込むだけだとデッキが動かなくなるので、《選択》のような潤滑油を採用することが非常に重要となってくる。
それから忘れちゃいけない特徴として、《対抗呪文》4枚と《説得》2枚以外がすべて『インベイジョン』ブロックのカードで構成されている。インベ万歳デッキなので、そういう面からみてもこの当時プレイしていた世代には響くものがある。
11 《島》 4 《森》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(19)- 4 《敏捷なマングース》 4 《熊人間》 -クリーチャー(8)- |
4 《選択》 3 《魔力の乱れ》 4 《対抗呪文》 4 《記憶の欠落》 4 《予報》 4 《排撃》 4 《嘘か真か》 2 《激動》 4 《中略》 -呪文(33)- |
3 《クローサの獣》 4 《たい肥》 4 《反論》 3 《冬眠》 1 《枯渇》 -サイドボード(15)- |
もう1つのデッキは、実はもうすでにこのコラムで紹介したことがある。「8Man」と呼ばれるデッキで、これのレガシー版を紹介する際に取り上げた。こちらを読んでいただいてもわかる通り、鬼才・浅原晃、AAさんが世に送り出した名デッキである。
《選択》以外にも《予報》《排撃》と軽いドロー付き呪文を連打して、数少ないクリーチャー&土地と豊富な打ち消し呪文をかき集め、相手を妨害しながら殴ることを繰り返す。スレッショルド達成に強化された《敏捷なマングース》&《熊人間》でこのままゲームエンドまで持っていければそれに越したことはないが、いざともなれば《激動》でちゃぶ台返し。
自分からガンガン動きつつも相手のアクションを妨害するためにマナも残すという、プレイング自体は高度なレベルを求められるデッキだ。このデッキをコピーした友人もいたが、文字通り《選択》で見えたカードを引くか否かの選択に悩まされていたのを覚えている。
軽量1マナドローというカードは、それ自体が直接的にゲームに影響をもたらすわけではない。しかしこれによりデッキの動きが安定したり、逆転の糸口を掴んだりすることは多々ある。名脇役《選択》の帰還により進化を遂げるデッキたちの、その活躍する姿を思い浮かべるのが楽しくてしょうがない。
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