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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Three Deuce(エクステンデッド)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Three Deuce(エクステンデッド)
by 岩SHOW
早いもので......このコラムも今回で333回目。原稿ファイルをナンバリングして管理しているのだが、このぞろ目には思わず反応してしまった。もう少しで365回。連載自体はもう1年と3か月ほどやっているが、真の意味での「デイリー」換算した場合の丸ごと1年分まであと少し。当初はここまで続けさせてもらえるとは思わなかったわけで、読んでくださっているすべての方にここで改めて感謝の言葉を。ありがとうございます!I love you!
......ぞろ目は人のテンションを上げてしまうもの。今日はせっかくだし、3にまつわるデッキを紹介しよう!なんのこっちゃと思われるかもしれないが、デッキ名に「3」という数字が入ったものがあるのだ。その名も「Three Deuce(スリーデュース)」!
4 《Taiga》 4 《Savannah》 4 《Plateau》 3 《樹上の村》 4 《不毛の大地》 -土地(19)- 4 《農芸師ギルドの魔道士》 4 《モグの狂信者》 2 《エルフの抒情詩人》 2 《スカイシュラウドの精鋭》 4 《リバー・ボア》 -クリーチャー(16)- |
4 《怨恨》 4 《剣を鍬に》 3 《呪われた巻物》 4 《土地譲渡》 4 《浄化の印章》 4 《獣群の呼び声》 2 《増進 // 衰退》 -呪文(25)- |
2 《ドワーフ鉱夫》 4 《紅蓮破》 4 《偽の信心》 3 《火薬樽》 2 《増進 // 衰退》 -サイドボード(15)- |
「Three」は白・赤・緑の3色を指す。この頃にはまだ「ナヤ」なんて便利な言葉はなかった......2000年頃の話だからね。では「Deuce」とは?これはトランプの2のカードや、サイコロの2の目を指す、即ち「2」。3-2ってなんだよという話だが、「3色で2マナ以下のカードで構成されたデッキ」をオシャレにまとめて「Three Deuce」......という背景を知れば良い感じに聞こえないか? センスのあるデッキ名だと個人的に思っている。
「Three Deuce」はエクステンデッドのデッキだ。それもその早い時期、『アイスエイジ』『第5版』以降のセットのカードが使用可能で、各種デュアルランド(※1)のみが特別に使用可能、という今考えてみるとなかなかに面白いフォーマットだった。
(※1:二重の土地、の名の通り、2つの基本土地タイプを持った最古の2色土地10種類の総称。このデッキならば《Taiga》《Savannah》《Plateau》がそれにあたる)
3色の軽いクリーチャーと呪文を集めて作られた、速攻ビートダウン!というのが「Three Deuce」のルーツ。《Spectral Bears》で殴って《火葬》で本体を焼く、といった具合に。だがしかし、このデッキは速攻一辺倒というわけでもない。そもそもそれを狙うのであれば、赤単の方が早いくらいだ。
わざわざ3色にしてまでビートダウンデッキを組んでいる理由は、コントロール要素を併せ持ったデッキにするためだ。赤は火力によるクリーチャー除去と土地破壊、白もクリーチャー除去とエンチャント・アーティファクト対策、そして緑がクリーチャーとマナベースの安定を担う......3色それぞれの良いところを寄せ集めてある。
「Three Deuce」は使用者やメタゲームでその姿を変えるが、大体は《農芸師ギルドの魔道士》《モグの狂信者》を1マナ域に据えていた。今日紹介するのはプロツアー殿堂顕彰者であるアントン・ヨンソン/Anton Jonsonがプロツアー・ニューオーリンズ2001でTOP8に入った際に使用していたものだ。
これらのクリーチャーは1ターン目にスッと出てきて、対戦相手が後から出してくるクリーチャーに睨みを利かせる。同じような軽量ビートダウンは、この2体がいるだけでちょっとクリーチャーを展開できなくなってしまう。どちらも相手がクリーチャーで盤面を固めて攻撃が通らない状況下でもダメージソースとなってくれるのがありがたい。ここに加えて、《投火師》まで採用する形もあった、あれは何かこうカッコイイと思わされるものがあった。
パンチ役を担当するのは《スカイシュラウドの精鋭》と《リバー・ボア》。あとDeuceの域を超えた3マナ(であり4マナ)の《獣群の呼び声》もある。
どれもマナ効率の良いサイズおよび能力で......って今ならもっと強いクリーチャーが入りそうなもんだが、当時はこれでも時代の最先端だった。とりあえずこれらの緑のクリーチャーに、《怨恨》を付けた状態で殴る殴る、いかにコントロール要素を持ったデッキであるとはいえ、長期戦に勝てるようなデザインにはなっていない。さっさと殴って早期決着できるに越したことはない。
《樹上の村》も殴れるタイミングでは積極的に。相手のクリーチャーを処理する仕事も兼ねる《呪われた巻物》で最後の数点を削り切って、手札を使い切るタイミングで勝ちたいものだ。
土地は少ないながらも《土地譲渡》でデュアルランドを持ってこられるので、色マナトラブルはそこまで問題なし。《不毛の大地》は即投げつけて相手を足止めだ。クリーチャーは先述の1点ダメージ部隊と《呪われた巻物》、そして万能除去《剣を鍬に》。これだけあれば大抵のクリーチャーデッキに押し負けることはないだろう。数を展開してくるデッキでも《怨恨》のトランプルでダメージをねじ込むことができる。
さて、ここらでこの「Three Deuce」の最大の特徴に触れるとしよう。それは、エンチャント破壊が山盛り採用されていること! 《エルフの抒情詩人》《衰退》《浄化の印章》と、メインから8枚体制という力の入りよう。これは当時のエクステンデッドで、エンチャントを使ったデッキが多数存在していたことを裏付ける証拠と見ることもできるね。
当時のエンチャント使用デッキの代表格と言えば、同じくプロツアー・ニューオーリンズ2001のTOP8で、殿堂顕彰者イェルガー・ヴィーガーズマ/Jelger Wiegersmaが使用した《ドルイドの誓い》デッキ、そして同プロツアー優勝者のカイ・ブッディ/Kai Buddeの相棒「トリックス」! これらに抗う手段をメインからしっかりと採用したことで、コンボ耐性を持ちたいクリーチャー戦も得意とするクリーチャーデッキとして、「Three Deuce」は活躍することができたのだ。《衰退》は不要な時は《増進》として打点を上げることができるのもナイス。
「Three Deuce」の精神は、その後ラヴニカブロックの登場により生まれた軽量クリーチャーを寄せ集めたビートダウン「Zoo」に引き継がれることになる。そして「Zoo」の魂は現行モダンの「ナヤ・バーン」へ......マジックのデッキはその時代に沿ったものへと進化していく。君が今使っているデッキにも、何かご先祖様がいるかもしれないね。
このコラムを続けているうちにもデッキは進化し、世代交代を繰り返している。666回を迎えるころにはどんなデッキが......ってそこまでやらせてもらえるのかな。頑張らんとね。
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