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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒ゾンビ~オルゾフ・オブ・ザ・デッド~(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒ゾンビ~オルゾフ・オブ・ザ・デッド~(スタンダード)
by 岩SHOW
ゾンビを好きになるとはどういうことなのか考えたことがある。幼いころは恐怖の対象でしかなかった。あれはおそらく「死霊のえじき」であろう、ゾンビがおっさんに群がりそのはらわたを......というシーンをたまたまテレビで観てしまい(昔のロードショーは良かったという話をまたどこかでしたいものである。でもここはマジックのデッキに関するコラムだ)、それが脳裏に焼き付いてしまった。どうやって撮影しているのかなんてわからなかったから、そのおっさんは本当に食われてしまったのだと思っていた。まあすぐに成長して作りものだということは理解するのだが、途端に異様にゾンビ映画を観てみたいという欲求にかられるようになった。初めて観たのは「ゾンビ」で、以降このジャンルには首ったけだ。
ちょうど中学くらいからお小遣いでレンタルビデオを借りるということをはじめたのだが、ここで天秤にかけられたのがマジックだ。マジックのパックを買うのか、あるいはビデオを借りるか。貴重なお小遣いの使い道に悩む、という道は皆も通ったことだろう。どちらも多く買えない・借りることができない僕にとっては、非常に悩ましい問題だった。
そんな中で一つの折衷案もあった。マジックでゾンビデッキを使うこと!
アホのような話だが、実際これでも満足できた。ちょうど『ウルザズ・レガシー』あたりだったので、ファイレクシア産のぐちょぐちょウジュルウジュルしたヤツらがその欲求を満たしてくれたものである。《ファイレクシアの食屍鬼》が強かったなぁ......というかそれ以外弱かった。《ゾンビ使い》で沼渡りと再生をつけてキャッキャしていた頃が懐かしい。その後、《火葬のゾンビ》《ヴォーデイリアのゾンビ》《アンデッドの王》や《夜の力》《死人カタパルト》といったカードが固まって登場した。第一次ゾンビブームの到来である!
......当時、周りでは僕しかハマらなかった。それから少し経って訪れた第二次ゾンビブーム! 部族がテーマのオンスロート・ブロックにて黒の主要部族に選ばれたゾンビはその数を増やし、シナジーを形成するカードがわんさか登場した。無論、僕がゾンビデッキを作らないなんてことはあり得なかった。《萎縮した卑劣漢》《腐れ肺の再生術師》《有毒グール》あたりが強かったなぁ......。
その後もちょくちょく黒の主要部族に選ばれ、さまざまなデザインの部族シナジーを持ったカードが与えられてきたゾンビ。この度は『アモンケット』にて黒と、そして白の主要部族を担うこととなった。
白のゾンビ!? と驚かれた方も少なくないだろう。ゾンビといっても腐敗した姿ではなく、祝福を受けて処置を施されたミイラを指す。以下にもエジプトな感じで、良いじゃないか。黒のゾンビとはまた違った不気味さと愛嬌を兼ね備えており、味わい深い。不朽で出てくるゾンビ・トークンも皆、包帯グルグル巻きの白いゾンビだ。
一気にその数を増やしたゾンビーズ。既に『イニストラードを覆う影』『異界月』でも推されていたため、これらと併せてデッキを組めないわけがない!というわけで、現行スタンダードで這いずっている動く死体の群れを眺めてみることとしよう。
10 《沼》 4 《平地》 4 《秘密の中庭》 4 《乱脈な気孔》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地(24)- 4 《墓所破り》 4 《戦慄の放浪者》 4 《むら気な召使い》 2 《束縛のミイラ》 2 《無情な死者》 4 《戦墓の巨人》 4 《呪われた者の王》 -クリーチャー(24)- |
4 《致命的な一押し》 2 《闇の掌握》 3 《リリアナの支配》 3 《闇の救済》 -呪文(12)- |
2 《束縛のミイラ》 2 《断片化》 3 《精神背信》 2 《集団的蛮行》 2 《没収》 1 《苦渋の破棄》 3 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
《むら気な召使い》という、ゾンビデッキを組みなさいと言わんばかりの{W}{B}2/2を用いる部族ビートダウンデッキだ。
すべてのゾンビが戦場に出れば対戦相手のライフをすり減らす飛び道具となってくれるのだから、この召使いは実に気の利く優秀なやつだ。
同じ『アモンケット』出身の《呪われた者の王》はサイズが2/2以下にまとまりがちなゾンビを強化してライフを削るのを手伝ってくれる。
全ゾンビに威迫を与えてくれるのも最後の数点を削り切ることを手伝ってくれる。これらを得て《無情な死者》《戦墓の巨人》がついにそのポテンシャルを発揮できる時が来た!
デッキとしてはとても簡単なもの。毎ターン、マナを最大効率で使ってゾンビを展開し、殴る。特段マジック特有のテクニックや高度な読みなどが必要なデッキでもないので(そりゃ、あればより勝てるだろうけど)、これからマジックを始める人にもお勧めできるデッキである。
《闇の救済》《リリアナの支配》のように1枚で複数ゾンビを生み出すカードを上手く使えるようになれば、勝ち星を重ねることができるようになるだろう。《むら気な召使い》《束縛のミイラ》とのシナジーが強いため、ぜひともプチコンボを狙ってほしい。
僕もゾンビがいたからマジックにどっぷりハマれた。これから始める・始めたばかりのプレイヤーもゾンビきっかけでスタンダードをプレイするようになって他のフォーマットにも手を出して気が付けばマジック沼に......なんてことになってくれれば嬉しいね。死者の群れを従え突撃させる、屍術師になりきって戦え! プロツアーでも活躍するかもしれない、とワクワクしながら放送開始を待とうじゃないか。
マジック:ザ・ギャザリング プロツアー『アモンケット』 in ナッシュビル DAY1
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