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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ機体~不動の横綱~(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ機体~不動の横綱~(スタンダード)
by 岩SHOW
前環境では「コピーキャット(4色サヒーリ)」と並んで東西横綱とされていたデッキ、「マルドゥ機体」。「コピーキャット」が技巧派であれば、こっちは力の体現者だ。
メインデッキでは《キランの真意号》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を軸とした他を寄せ付けぬ圧巻のビートダウンを披露し、サイドボード後は全体除去やプレインズウォーカーといったパワーカードによるコントロール戦略を用いる。生半可なデッキでは、この動きには太刀打ちできない。「マルドゥ機体」のメインおよびサイドと戦えないようではデッキではない、そんなレベルに達しつつあった。
だんだんと機体によるビートダウンよりも盤面を制圧する方向に進化していき、その呼称を「マルドゥ・バリスタ」と改めた方が良いのではなんて潮流が起こったのも記憶に新しい。
「マルドゥ機体」は本来、パワーダウンするはずだったデッキである。今では4枚必須になった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》。彼は『アモンケット』発売により起こるローテーションによりスタンダード環境から退くはずだった。しかし現実にはそうはならず、スタンダード・ローテーションのタイミングが変更になったことで、まだまだあと半年ほど現役を続けることに。この変更により『アモンケット』発売前より「戦力が何も変わらない機体デッキ最強やん!」「『アモンケット』のカード無しでもそのままで機体は強い」などの意見が声高に叫ばれていた。
さて、実際はどうか。強い、強いぞ横綱。故障により引退した「コピーキャット」の分まで自分やっていくと言わんばかりの強さだ。このコラムで紹介したような新環境の個性的なリストもあるにはあるが、優秀な成績を収めたデッキリストを見ると機体がわんさか並んでいる。まさしく横綱相撲、新環境を正面から受け止めて蹴散らしていく様には感嘆のため息が出る。
今日はゴールデンウィークにて国内で開催されたイベントにて戦果を挙げたデッキリストを見るとしよう。いまさら何がどうのこうので強い、みたいな解説は不要なレベルなので、僕も一観客となって。
4 《平地》 2 《沼》 1 《山》 4 《秘密の中庭》 2 《乱脈な気孔》 4 《感動的な眺望所》 2 《泥濘の峡谷》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地(25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《異端聖戦士、サリア》 2 《大天使アヴァシン》 2 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(18)- |
4 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 1 《木端 // 微塵》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(17)- |
1 《大天使アヴァシン》 1 《マグマのしぶき》 2 《精神背信》 2 《光輝の炎》 1 《苦渋の破棄》 1 《俗物の放棄》 1 《苦い真理》 1 《グレムリン解放》 2 《排斥》 2 《燻蒸》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
TOP8中、5名が「マルドゥ機体」という、プロツアー『霊気紛争』を思い出すような結果となった今回のBIG MAGIC Open Vol.9。それでいて決勝には進出ならずという予想外の結果となったが......それは置いといて。TOP16で見てもひたすらに「マルドゥ機体」が勝ち組ということがよくわかるトーナメントとなった。僕は現地から生放送をやっていたが、フィーチャーマッチに呼ばれる大多数のプレイヤーがそれを使うことに、視聴者はやや食傷気味だったようだ。散々横綱と言ってきたが、まあこの辺も横綱っぽいね。
軽量クリーチャーを展開、《キランの真意号》に乗って殴って除去撃ってギデオンで蓋。この定番ムーブを決めるためには4ターン目までスムーズに土地を置く必要がある。となるとデッキには24~25枚の土地が欲しい。しかしメインデッキではそれほど重いカードもないので、6枚目以降の土地は腐りがち。こういった状況を緩和する可能性を持ったカードが《泥濘の峡谷》!
後半引いてしまって不要であれば、サイクリングで捨ててしまって違うカードを引き込もうというわけだ。見た目にはこれまでと大差ないが、こういう微差がデッキを引き締める。実際に使ってみてそのありがたみがよくわかるカードの典型と言えるだろう。『アモンケット』を経て、「マルドゥ機体」はそのマナベースが強化された。ただでさえ強いのに最早ずるい!
《木端 // 微塵》を得たのも強みだ。2マナの便利除去《木端》として対戦相手のブロッカーを排除しやすくなり、墓地に落ちてからは《微塵》として唱えることで最後の数点を詰めることができる。この見えているプレッシャーというものが、相対する側としてはなんともいやらしく......最早ずるい! 新カードいらないとか散々言ってて結局取り込んで強くなってるやん!......いや、素晴らしいことです。さすがは横綱。
3 《平地》 3 《沼》 4 《秘密の中庭》 2 《乱脈な気孔》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 1 《燻る湿地》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《異端聖戦士、サリア》 1 《ピア・ナラー》 2 《大天使アヴァシン》 3 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(20)- |
4 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(16)- |
2 《豪華の王、ゴンティ》 2 《精神背信》 2 《没収》 2 《リリアナの誓い》 1 《苦渋の破棄》 2 《燻蒸》 1 《木端 // 微塵》 1 《先駆ける者、ナヒリ》 1 《死の権威、リリアナ》 1 《死の宿敵、ソリン》 -サイドボード(15)- |
CARDBOX OPENでも「マルドゥ機体」がTOP8を占領、その席を6つもいただいていく形となった(うち1つは青をタッチしたもの。プロツアー『カラデシュ』を思い出すね)。
先のリストと併せてサイドボードを見ると、割と『アモンケット』のカードはその存在感を示している。万能パーマネント除去である《排斥》、同じくユーティリティの代名詞《解呪》のサイクリング付き版である《俗物の放棄》は、特に環境初期の「よくわからないデッキ」を相手取る時に役に立つ。津村君も紹介していた浅原さんのデッキのような、普通に殴っては勝てない類のコンボデッキ・とにかくややこしいデッキを相手にする時は、この手のパーマネントに触る手段があると安心感マシマシ。
定番のプレインズウォーカー投入型サイドボードには、新たなメンバーとして《死の権威、リリアナ》が。
実際問題、昂揚デッキほどシナジーが仕込まれていないためデッキとはそこまで噛み合っていないカードではある。それでも《大天使アヴァシン》《豪華の王、ゴンティ》を再利用してプラスアルファがあるのであれば、対戦相手からすればたまったものではない。《先駆ける者、ナヒリ》とも相性は良いし。
《没収》は「臭いは元から断つ」タイプの、黒にはよくある手札・墓地・ライブラリーから特定のカードを抜き去るカードだ。
アーティファクトしか指定できず、用途は狭いが......《霊気池の驚異》デッキを相手にこれで霊気池を抜き去ってしまえば、随分と楽になるだろう。個人的にはこの手のカードはあまり好きではない(範囲が狭すぎるし、抜いたところで別の勝ち手段が用意されていることが多い)のだが、3マナなので4ターン目の霊気池に間に合うという点は評価が高い。2枚目を引いた時は《奔流の機械巨人》でも指定してやろう。まあこれだけでは勝てるタイプのカードではないので、過信せずに。他の対策と併せて使いたいところだ。
プロツアーでは「マルドゥ機体」が最大勢力となる、と僕は予想しているのだけども、皆はどう? このデッキ、いつぞやの《集合した中隊》系のデッキみたいに、これといった「ぶっ刺さってそれ1枚で敗北」みたいな対策カードを取られないってところが強みなんだよなぁ。どのデッキともビートorカードパワーの勝負ができる。なんというか《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が強すぎる。
ギデオン、実は『戦乱のゼンディカー』発売以降の、プロツアー『カラデシュ』以外の残り全てのスタンダードのプロツアー優勝デッキに4枚採用されてたの、知ってたかな? 今回も「プロツアーギデオン」となってしまうのか、どんな結果になるかが楽しみだ。
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