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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・オーバーラン(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:アブザン・オーバーラン(スタンダード)
by 岩SHOW
君は「オーバーラン」を知っているか? 電車とか野球の用語の話じゃないぞ、マジック用語ね。よく「バーラン」と言ったりもする。その元祖は《踏み荒らし》のことで、緑によくある自身のクリーチャーすべてのパワー/タフネスをターン終了時まで上昇させ、ついでにトランプルもついたりする呪文および能力の総称である。《孔蹄のビヒモス》の誘発型能力や《野生語りのガラク》の[-4]能力をオーバーランと呼んだものである。オーバーランかまして勝ち、といった具合に。
最近始めたプレイヤーは《踏み荒らし》をそもそも使ったことがないだろうから、知らなくても無理はない。言葉はともかく、体験して肌身を通して知っているか?という点が重要。これを知っていると知らないとでは文字通り世界が違う。あの爽快感は他の類のカードではなかなか味わえない。小さくとも数を並べたクリーチャーを、ドーピングして突撃させて二桁ダメージ一撃死......君は知らないまま現スタンダード環境を終えて良いのか? 暴走を先導する権利は、君にもある。
9 《森》 2 《沼》 1 《平地》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 3 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《壌土のドライアド》 4 《導路の召使い》 4 《歩行バリスタ》 4 《巻きつき蛇》 4 《ピーマの改革派、リシュカー》 4 《不屈の追跡者》 4 《新緑の機械巨人》 1 《起伏鱗の大牙獣》 1 《タジュールの戦呼び》 2 《州民を滅ぼすもの》 -クリーチャー(32)- |
3 《顕在的防御》 2 《致命的な一押し》 -呪文(5)- |
1 《致命的な一押し》 3 《闇の掌握》 3 《英雄的介入》 3 《精神背信》 3 《苦渋の破棄》 2 《失われた遺産》 -サイドボード(15)- |
この環境のオーバーランを全力で詰め込んだ「黒緑巻きつき蛇」の変形版だ。《巻きつき蛇》がいる状態での《新緑の機械巨人》が実質全体+2/+2、ならばこれもオーバーラン! 5枚目の機械巨人としての《起伏鱗の大牙獣》もオーバーラン! カウンターではない形でのオーバーラン、《タジュールの戦呼び》! そして、サイズアップに追加でトランプルまでついてくる《州民を滅ぼすもの》!これらを叩き付け、対戦相手の小細工を無視してブチ抜くパワフルデッキだ。見せつけよ、純粋なる暴力!
基本的な構造は「黒緑巻きつき蛇」だ。ただ、上述の生きたオーバーランたちを投入するために、呪文の枠を極限まで削っている。除去は《致命的な一押し》2枚のみ! 潔さたるやよし。いずれも5マナ以上必要とするオーバーランのためにはマナが必要・そしてそもそもその強化を受けるクリーチャーが不可欠である。呪文を削った分、軽いマナクリーチャーも投入して、加速とクリーチャーカウントを両立させている。《壌土のドライアド》の姿を見たのはしばらくぶりだ。これと安定の《導路の召使い》、《巻きつき蛇》とコンボを形成する《ピーマの改革派、リシュカー》とくれば、マナは問題なく捻出可能だ。
早いターンからマナカーブに沿ってクリーチャーを展開し、オーバーランをドカンとかます。ただそれだけのことで勝ちに行こうっていう姿勢は、ストレートに言ってバカに見えるかもしれない。ただ、真面目にバカをやるということも時には大事だ。そもそも、このデッキと対峙した対戦相手は、そんなバーランバカ一代が自分の正面に座っているだなんて思わないものである。現スタンダードで《州民を滅ぼすもの》ケアして動いたこと、ある? 大多数の人はないし、できない(したところでどうにもならなかったりする)。だからこそ、やる価値があるのだ。皆もバカなこと、しよう。
サイド後は除去と手札破壊を投入した真面目デッキに変化するのもイケてる。メインから4枚投入した《不屈の追跡者》が、サイド後には特に良い仕事をしてくれることだろう。《顕在的防御》でこれを護りつつ、単騎で攻めていく。追跡者をめぐる消耗戦の末に、稼いだアドバンテージを活かしてマナクリーチャー展開→《新緑の機械巨人》で大きくなって残りライフをかすめ取る......こういうゲームプランに持ち込めれば理想的か。
3ゲーム目でこちらが先手の場合は、クリーチャーどっさりのブン回り前提圧殺攻勢に戻すのもアリ。だって、おらはオーバーランしたいから......。ウララーと雄叫びあげながら突撃したい(デュエルスペースではマナーを守ってゲームを楽しもう)。
考えてみれば、現在のスタンダードのデッキでオーバーランを受けきれるようなデッキがどれだけあるのか......ほとんどのデッキが、グチャッと踏みつぶされそうだ。メインは中途半端なカードを抜いて、パワーに全振りしてみるってのも良いんじゃないか? 環境末期、特に目標とするトーナメントもない今だからこそ......全力で遊んでみてほしい。最後まで楽しんだものこそが勝者!
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