READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:歯と爪~テリー・ソーの作戦~(過去のスタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:歯と爪~テリー・ソーの作戦~(過去のスタンダード)

by 岩SHOW

 今週は「変形デッキウィーク」としてやっていくというのは前回述べた通り。率直に言おう、国内グランプリが終わって新セット発売までまだ時間がある。即ち、ネタがないのである! いやまあ皆無ってわけじゃないが、新しいデッキの誕生がそう簡単に起こらないタイミングなのは間違いない。そんなわけで苦肉の策として新旧デッキ交えて紹介していこうってわけだ。

 今日のデッキは結構シブい。シブいの定義も色々。個人個人で変動する価値観というのは百も承知。それでも、人類共通の(ごめん言い過ぎた)マジックプレイヤーには伝わるシブさってのはあると信じて疑わない。とりあえず、コイツを見てくれ。どう感じたのか、お聞かせ願いたい。

Terry Soh - 「歯と爪」
マジック・インビテーショナル2005 優勝 / スタンダード (2005年5月18~20日)[MO] [ARENA]
10 《
4 《ウルザの塔
4 《ウルザの鉱山
4 《ウルザの魔力炉

-土地(22)-

4 《桜族の長老
4 《永遠の証人
1 《鏡割りのキキジキ
2 《映し身人形
2 《隔離するタイタン

-クリーチャー(13)-
4 《師範の占い独楽
4 《森の占術
4 《木霊の手の内
3 《忘却石
3 《刈り取りと種まき
1 《すき込み
3 《精神隷属器
3 《歯と爪

-呪文(25)-
2 《ぶどう棚
4 《トロールの苦行者
2 《素拳の岩守
2 《腐食ナメクジ
2 《剃刀毛のマスティコア
3 《すき込み

-サイドボード(15)-

 これはシブいでしょう。通ならわかる緑単の美しさ。『基本セット第8版』と『ミラディン』~『神河謀反』までが使用できたスタンダードのデッキである。高らかに宣言しよう。好きやわぁこういうデッキ。ご覧の通り、現在モダンで活躍する緑系トロンデッキのご先祖様にあたるデッキだ。《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》の3種類の土地を揃え、あふれ出るマナから重くて強い呪文を連打して勝つ、力でねじ伏せるモンスタートラックのようなデッキである。

 やることは簡単。《師範の占い独楽》と《森の占術》《刈り取りと種まき》を駆使してウルザの土地をかき集める。これだけだと、ウルザ土地およびこれらの探すカードを引かなかった時に詰んでしまうので、《木霊の手の内》《桜族の長老》ら堅実なマナ加速も採用。この辺りの現実的な構築もまたシブい。

 大量のマナの使い道は概ね4つ(実質3つ)。《忘却石》設置から起動で対戦相手のパーマネントを根絶やしに、《精神隷属器》で対戦相手をコントロールしてけちょんけちょんにする、そして《歯と爪》双呪からフィニッシャー降臨!...と、フィニッシャー素出し。以上だ。

 《歯と爪》から持ってくるのは、《鏡割りのキキジキ》+α。概ね持ってくるのは《隔離するタイタン》。これ自身と、キキジキが作り出したコピーで能力が3回誘発する。これで対戦相手の土地をバキバキに破壊し(自分の《》も割れるかもしれないが些細なことだ)、かつパワー7で殴るという拷問のような状況を創り出すことができる。この時点で心が折れて投了する相手も少なくない......というか無理。

 タイタン以外の選択肢は《映し身人形》。クリーチャーに殴られてライフを押されている状況であれば、こいつを量産して刻印祭りだ。タイタンも人形もあまり効かない相手というのはそうもいないが、《精神隷属器》でハメるために《永遠の証人》を持ってくるなんてことも選択肢にないわけじゃない。ちなみに、《鏡割りのキキジキ》を戦場に出す方法はこのデッキには《歯と爪》しか用意されていない。潔くって良いじゃない。

 メインではやりたい放題のこのデッキ、サイドボード後は......サイドボードの15枚をフルに投入し、「真面目ビートダウン」に生まれ変わる。この変形サイドは多くのプレイヤーの虚を突いたことだろう。

 除去耐性の高い《トロールの苦行者》、素のサイズで優れる《素拳の岩守》、除去能力も有する《腐食ナメクジ》《剃刀毛のマスティコア》......これらを早いターンからガンガン展開し、《歯と爪》プランへの対策を積んで除去を減らした相手を咎めようというわけだ。

 クリーチャーで殴る時間を長くするための《すき込み》も採用。トロール→岩守と展開しての《すき込み》は大抵のデッキの息の根を止めるだけの力がある。

 これらのカードを採用することで、緑マナの要求量が増大することを見越しての《ぶどう棚》の採用はお見事。変形サイドボードを成立させるには、このような細やかな配慮が必要だ。

 現在のスタンダードでもサイドボードに土地が1枚採用されていることがとても多い。変形機構を組み込むのはそう易々といかない、現実と向き合わなきゃいけないってわけだ。さながら、人生のように。

 サイドボードを完全に変形に振っているのがこのデッキの魅力。15枚メインにさして、15枚抜く。その状態で2・3ゲーム目を開始して、対戦相手にプランを読ませないように振舞いたい。特に3ゲーム目はこれが重要だ。相手の脳裏にほんの少しでも迷いを生じさせること、これが変形サイドボーディングの基本中の基本! 「うわ~変形してないやん!」と言わせたら、気持ちの上では勝利だね。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索