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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・コントロール(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・コントロール(スタンダード)
by 岩SHOW
この回が掲載されるころには、マジックの歴史に新たなプロツアー王者の名が刻まれ、忘れられない名シーンに関するトークで世界中のマジックプレイヤーが盛り上がっていることだろう。僕は飛行機の中でぐっすり寝ているか、寝れん......と映画なんかを延々と観ているか。いずれにせよ大人の事情でリアルタイム更新ではないので、何が活躍し優勝したのかは全く知らない状況で書かれたものである、ということをご了承いただきたい。
話は戻って、プロツアー『カラデシュ』明けの月曜日は日本中が大いに沸いていたと把握している。何せ、あのヤソさん(八十岡翔太)がプロツアー個人戦初優勝!めでたいッ!プロツアー『戦乱のゼンディカー』のタキニキ(瀧村和幸)に続き、2年連続で日本人プロツアー王者が誕生しているという事実もめでたい。決勝がカルロス・ロマオ/Carlos Romaoとの打ち消し呪文飛び交う青いコントロールデッキ対決だったというのもオールドファンにとっちゃめでたい。プロツアー『霊気紛争』では何が起きたのか。まだ確認していない人はカバレージに目を通してみてほしい。きっと、胸躍る物語が記されているはずだ。
ロマオを前プロツアーで準優勝まで導いたのは前述の通りコントロールデッキ、白青赤の「ジェスカイ・コントロール」だ。白は除去に優れた色、青は打ち消しとドローと《奔流の機械巨人》を擁し、そして赤には......白とは違う方向の除去と、現スタンダード環境最強の土地でもある《さまよう噴気孔》がある。
マナ基盤を安定させる2色土地にして、ゲーム終盤ではクリーチャー化して4点のダメージを刻むフィニッシャーとして機能する。歴代のクリーチャー化する土地と比較しても、屈指の性能だ。この土地をフィニッシャーに据えた「ジェスカイ・コントロール」の最新型をご紹介しよう。
6 《平地》 4 《島》 4 《大草原の川》 2 《感動的な眺望所》 4 《さまよう噴気孔》 3 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(27)- 1 《弾圧する構築物》 4 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
3 《ショック》 4 《蓄霊稲妻》 2 《神聖な協力》 2 《否認》 2 《革命的拒絶》 4 《不許可》 4 《天才の片鱗》 3 《燻蒸》 1 《隔離の場》 2 《先駆ける者、ナヒリ》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -呪文(28)- |
1 《保護者、リンヴァーラ》 2 《払拭》 1 《ショック》 2 《否認》 3 《熱病の幻視》 2 《稼働停止》 1 《罪人への急襲》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
早速だがこのデッキの最大の特徴に触れよう。1枚だけ採用された《弾圧する構築物》の存在感!
この領事府が用いる自動機械は、アーティファクトとクリーチャーが起動型能力を使用するたびにターン終了時までパワー/タフネスが上昇する。《さまよう噴気孔》は0マナで起動できる能力(パワー/タフネス入れ替え)を持っている。すなわち......噴気孔がクリーチャー化してからチャキチャキと能力を起動し続ければ、構築物のパワーを無尽蔵に上昇させることができる。いわゆる「ワンショット・キル」が可能だ。
コントロールデッキであれば、対戦相手のクリーチャーをどかして殴る、打ち消しで護るといったことが可能で、コンボに特化したデッキよりも安全・確実に運用できる。それでもあくまで、サブの勝ち手段ということで採用は1枚に留めてある。赤いダメージ系の除去にはめっぽう強いコンボなので、そういったデッキが増えてくれば今後この枠が拡張される可能性もある。《先駆ける者、ナヒリ》から突然死を狙えるのはポイント高いぞ。
残りの部分は、前環境のコントロールデッキと大差はない。打ち消し呪文枠には《不許可》《否認》《革命的拒絶》を採用。さまざまな状況に対応できる《不許可》というカードは、コントロールにとってありがたいことこの上なし。ただこの枠も昂揚系デッキが大量繁殖となったりしたら、墓地にカードを落とさない《虚空の粉砕》と入れ替わる可能性はある。この辺りはお近くのトーナメントのデッキ分布次第か。
特徴的なのは除去の枠か。前環境では重さから敬遠されがちだった《燻蒸》が3枚も採用されている点は見逃せない。
前環境では3マナという手軽さから《光輝の炎》が使用されることが多かったが、現環境のビートダウンは......3点なんかじゃ除去させてくれない。「黒緑アグロ」のようなタフネス4を超えるクリーチャーを使うデッキを相手にはカードとして機能しないのだ。重くても確実にすべてのクリーチャーを破壊し、かつライフの回復までついてくる《燻蒸》にスポットライトが当たるのは必然の流れだ。全国のラスゴ(※1)愛好家には朗報だね。
(※1:初代全体除去《神の怒り》は英名がWrath of Godであるため、しばしばラスゴと呼ばれた。この名残で、今でも全体除去をラスゴと形容することがしばしばある。おじいちゃんプレイヤーは《燻蒸》を「回復ラスゴ」と呼んだりする)
打ち消して除去って盤上のコントロールを掌握したら、《奔流の機械巨人》《さまよう噴気孔》、あるいは構築物コンボで速やかにゲームを終わらせよう。ダラダラしていると危ないので、「ここからは攻撃に転じる」というラインをしっかり設定して、それを越えたらガシガシ殴って優位なうちにゲームエンドへ持っていこう。
コントロールデッキは土地が止まるとこういった防御→攻撃への切り替えがうまくいかず、打ち消しを構えながらクリーチャー展開といった2アクション取れずに負けてしまうことがしばしばあるので、土地はたっぷり多めの27枚。この辺りは土地引き過ぎ病(※2)の人なんかは自分に合った枚数に調整しても良いかもしれない。とは言え土地がゲーム開始時に手札にあった枚数から増えない、とかだと詰みなので、枚数の削りすぎは禁物だ。
(※2:引いても引いても土地ばっかり。こんな仕打ちを受けて敗けた時は悔しく、そして強く印象に残ってしまう。こういった状態をマナフラッド(マナがあふれている)と呼ぶ。マナフラッドで敗北しても、何かに当たらないように。今一度考えてみてほしい。そうやって負ける時もあれば、その逆もまた然りなのだ。事故はしょうがない、割り切りが大事)
ジェスカイというマジック人気カラーなのもあってか、根強い使用者がいる「ジェスカイ・コントロール」。《さまよう噴気孔》という最強の土地を抱えている間は、成立し続けるんじゃないかな。環境が変わったら......と臆することなく組んで回して楽しんでほしい!
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