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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Bazaar Dredge(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Bazaar Dredge(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
《ゴルガリの墓トロール》はモダンで使えなくなったけど、まだまだ発掘し足りない? こっちへおいで、遊び場はまだまだあるよ! エターナル・フォーマットへの誘いだ。このコラムを読んで「このデッキを組もう!」と決意するプレイヤーがいれば、今回は僕の勝ちだと思っている。いわゆる、沼に引きずり込むってやつだ。墓トロールは墓では眠らない、まだまだストレージに納まるのは早い。君のお気に入りのスリーブに包まれて、墓地と手札と行ったり来たり(たまに戦場に出たり)することを望んでいるのだ。
そもそも発掘という能力について、改めて振り返っておこう。「発掘X」と表記されたこのキーワード能力は、墓地にある時のみに機能する常在型能力である。この能力に関して、注釈文には以下のように記されている。
あなたがカードを引く場合、代わりにあなたはあなたのライブラリーのカードを上からちょうどX枚、あなたの墓地に置いてもよい。そうした場合、あなたの墓地にあるこのカードをあなたの手札に戻す。そうしなかった場合、カードを1枚引く。
つまり発掘持ちが墓地にいるとすべての「カードを引く」という行動を墓地の発掘持ちを手札に戻すことに置き換えることができる。ライブラリーの一番上のカードに賭けずとも、確実にクリーチャーや除去を手に入れることができる。ライブラリーからカードを墓地に置くことで、次なる発掘に繋げることもできる。ゴミ漁りや死体処理を行い、死から生に繋げるギルドであるゴルガリ団らしい能力と言える。
この能力は、還ってくるカードそのものよりも猛烈な速度でマナを使わずに墓地を肥やすことができるという点に注目されて、「フリゴリッド」のような発掘を主軸としたデッキを誕生させた。《ゴルガリの墓トロール》は同能力持ちの中でも最大の発掘6を保持するため、各種発掘デッキ(主に発掘の英名から「ドレッジ」と呼ばれる)では引っ張りだこだ。モダンでは《秘蔵の縫合体》らの登場後、「ドレッジ」が環境のかなり優位なポジションにつけていた。環境のバランスを取るため、《ゴルガリの墓トロール》は禁止カードとなってしまった。
まあまあ、モダンでダメならエターナル! レガシーとヴィンテージでは好きなだけ発掘することが許されている。レガシーでは《ライオンの瞳のダイアモンド》で墓トロールらを捨てて《信仰無き物あさり》フラッシュバックで1ターン目からクライマックス!ってな動きもできたりする(もちろん、いわゆる「ぶっぱ」なので推奨するわけじゃあない)。
ではレガシーよりもさらに一歩深淵に踏み込んだヴィンテージならどうか? ハッキリ言って、無茶苦茶する。初見だと訳が分からないかもしれない。とりあえず、地獄見てみる?
4 《Bazaar of Baghdad》 4 《石化した原野》 -土地(8)- 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 4 《イチョリッド》 4 《ゴルガリの墓トロール》 3 《復讐に燃えたファラオ》 1 《龍王コラガン》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(25)- |
4 《血清の粉末》 4 《陰謀団式療法》 4 《精神的つまづき》 4 《黄泉からの橋》 4 《精神壊しの罠》 3 《戦慄の復活》 4 《意志の力》 -呪文(27)- |
2 《吸血鬼の呪詛術士》 4 《暗黒の深部》 4 《演劇の舞台》 4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《裂け岩の扉》 -サイドボード(15)- |
燦然と輝く《Bazaar of Baghdad》。このぶっ壊れ土地の能力は「{T}:カードを2枚引き、その後カードを3枚捨てる。」というもの。マナ能力を持たないのが黎明期のカードっぽくて良いね。
それはさておき、マナを使わずにカードを2枚引けるなんて、この市場は太っ腹の店が揃っているものだ。このドローを墓トロールらの発掘に置換→二桁枚数墓地を肥やして、発掘持ちや《黄泉からの橋》などの墓地にあることで効果を発揮するカードを3枚捨てる。これを2~3回繰り返せば......もう墓地はパンパンだ。
この発掘作業を行っていると、自然とライブラリーから墓地に《ナルコメーバ》が落ちることだろう。これにより《ナルコメーバ》の能力が誘発して戦場に出る。あるいは、《イチョリッド》の能力がアップキープに誘発し、《ゴルガリの凶漢》あたりを餌に戦場に出てくる。
こうやってマナを用いずにクリーチャーを戦場に出したら、それを生け贄に捧げて《陰謀団式療法》をフラッシュバック。対戦相手の手札を破壊しつつ(1発目で当てられなくても2発目3発目があれば確実に引き裂ける)、《黄泉からの橋》の能力が誘発して2/2のゾンビ・トークンが沸いてくる。複数あれば、その数だけゾンビがわらわらと。このゾンビの群れと、《ナルコメーバ》《イチョリッド》で殴って勝つのだ。
これらを生け贄に捧げて《戦慄の復活》をフラッシュバックし、《龍王コラガン》を釣り上げて速攻ゾンビ軍団で仕留めたり、《大修道士、エリシュ・ノーン》によって盤面を制圧したりという一段階上のプランもある。単体のパンチ力が欲しいのであれば、《ゴルガリの墓トロール》を釣り上げるという手もあるぞ。
御覧の通り、ここまでの一連の動きで1マナも使用していない。それがこのデッキの強みだ。《Bazaar of Baghdad》があれば何でもできる。ただ、これに頼り切りなデッキであるのも事実で、それゆえにゲーム開始時の手札にこれが来なければひたすらにマリガンを繰り返す必要がある。それを少しでも緩和するために、《血清の粉末》が投入されている。なるべく頼りたくないカードだが、やむを得ないケースもある。ちなみにこのアーティファクトは、いざゲームが始まると何の役にも立たない。そんなものがデッキに入るくらい、《Bazaar of Baghdad》を握ってゲームを開始することが大事なのだ。
また、1ターン目にBazaarを設置して発掘クリーチャーを捨てて準備OK、というところで《不毛の大地》《露天鉱床》でパキンと割られる可能性も大いにある。これで詰んでしまわないように......墓地から土地を回収する《石化した原野》がしっかりと取られている。一度割られたぐらいでは死なん!
この土地は、Bazaarで順調に発掘している時にも墓地から2枚目のBazaarを拾ってさらに発掘を繋げてトドメ、という動きでも用いることができる。実際に使ってみると、これがビックリするぐらい強い。まずは体感すべし。
デッキの残りの部分は打ち消し祭り。《意志の力》《精神的つまづき》のマナ不要カウンターコンビで《Ancetral Recall》なんかのヤバすぎるカードに対処、「ストーム」などの各種コンボデッキには《精神壊しの罠》まで用いて徹底抗戦の構えだ。
まあこれらのカードも、ゲーム開始時に手札になければそれ以上増えることはほぼないので、お守りみたいなものである。これらがあるというよりは、Bazaarを優先してマリガンしていただきたい。
このデッキは、サイド後に苦戦を強いられる。対戦相手の墓地対策が戦場に出てから触れる手段は皆無だ。《マナの合流点》のような5色土地を用いて、《鋳塊かじり》のようなアーティファクト破壊を運用するというプランが一般的ではあるが、このリストは墓地対策に中途半端な対策で立ち向かうぐらいならやめてしまえ!という清々しい姿勢で臨んでいる。上述の打ち消しで消せなかったら諦めろ!ということだが、まあもちろんそれだけではなく手は打ってある。勝ち方を丸っきり変更してしまうのだ。このコラムでも幾度となく紹介してきた《暗黒の深部》+《演劇の舞台》による20/20破壊不能・飛行の《マリット・レイジ》降臨コンボを狙いに行くのだ(詳しくはコチラ)。
土地2枚によるコンボなので、マナを生み出す能力がほぼないこのデッキでも問題なく......って問題あるだろ!《演劇の舞台》で《暗黒の深部》をコピーするためには、能力起動のための2マナが必要だ。どうするのか?《石化した原野》《演劇の舞台》だけではマナ基盤としてカウントできないぞ!
ということで、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を採用。これですべての土地は沼のタイプを得るので、Bazaarや深部からマナが捻出できるように!舞台に追加のコンボパーツとして《吸血鬼の呪詛術士》も採用できるようになったぞ。
さらにアーボーグだけでは土地にマナ能力を与えるカードが足りないとみて《裂け岩の扉》も採用。この土地が墓地にある限り、すべての土地は緑マナと白マナを生み出せるようになる。《Bazaar of Baghdad》×発掘でこれを墓地に落として活用しよう。コンボパーツの土地が落ちたら、《石化した原野》で拾ってやろう。相手が用意した墓地対策が《墓掘りの檻》だったりしたら、この動きが阻害されないからラッキーだ(《虚空の力線》だった場合は......頑張ろう)。
《Bazaar of Baghdad》はアップキープに起動するようにしよう。発掘カードが墓地にある状況ならばその後の通常ドローも発掘に置き換えられるし、《イチョリッド》の能力解決前に起動すれば、餌となる黒いクリーチャーを用意できる可能性も高まる。こういった小技を見つけるのも楽しいので、一度回してみることをオススメするよ。
ヴィンテージは敷居が高い? Magic Onlineならリアルよりもカードが集めやすいので、そっちもオススメだ。とにかく、Bazaarの虜になってくれ! 異次元マジック、気持ちよすぎる!
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