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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール親和(Pauper)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール親和(Pauper)

by 岩SHOW

 新しいものに挑むというのはいつだって、何だってワクワクするものだ。僕も先日、チャレンジしてみたものがあった。しばし離れていたPauperに、それまで使ったことのないデッキで挑んでみたのだ。

 PauperとはMagic Online上で遊ばれている、コモンのカードのみを用いた構築フォーマットだ。Magic Online上ではコモンとなっているカードのみを用いることができるので、《トーラックへの賛歌》《陥没孔》といった、リアルではコモンでもMagic Onlineではそれより上のレアリティでしか存在しないカードは使うことができない。それとは逆に、《チェイナーの布告》なんかはリアルではコモンではないがMagic Onlineだと『Vintage Masters』というセットでバッチリコモンなので万能除去として使えるぞ。

 このフォーマットでは昨年11月まで《流浪のドレイク》を用いた無限マナコンボがさまざまな青いデッキに搭載され、これらが環境を支配していた。詳しくは「ドレイク・フリッカー」の項を読んでいただければ幸いである。

 《流浪のドレイク》は禁止を免れることはできず......しかし、このデッキが消滅したことでさまざまなデッキの道が開けた。コンボを阻害できない色にも、環境を戦う権利が巡ってきたのだ。今では「緑単アグロ」なんかが伸び伸びと駆け回っていたりする。実に楽しそうじゃないか!ということで「親和」デッキを構築して突撃してみたのだ。

 「親和」と言えば、現在ではモダンにて常に一線級のデッキとして確固たる地位を築き上げている、アーティファクト主体のビートダウンデッキだ。Pauperの「親和」はこれのコモン限定版......と言うよりは、本家本元「親和」の正統後継者と言った方が正しい。

 何の話かというと、モダンでは使うことのできない《教議会の座席》のようなアーティファクト・土地をしっかりと用いて、早いターンから戦場にアーティファクトをばら撒いた上で、「親和」能力を持ったカードを連打する、『ミラディン』発売当初の「親和」と同じ戦法を用いる、ということだ。おそらくオールドファンには、モダンのものよりもPauperのデッキリストこそ「そうそうこれが僕らの知ってる『親和』だよ!」と受け入れられやすいことだろう。

 それでは、そんな古き力を受け継ぐ、テクノロジーに満ちたデッキを見てみよう。「ティムール親和」だ!

ABoG - 「ティムール親和」
Magic Online Pauper Constructed League 5勝0敗 / Pauper (2017年1月2日)[MO] [ARENA]
4 《教議会の座席
4 《大焼炉
4 《伝承の樹
4 《ダークスティールの城塞

-土地(16)-

4 《エイトグ
4 《甲殻の鍛冶工
4 《金属ガエル
4 《マイアの処罰者
1 《歯車襲いの海蛇

-クリーチャー(17)-
4 《感電破
4 《彩色の星
4 《バネ葉の太鼓
4 《予言のプリズム
2 《ティムールの激闘
1 《投げ飛ばし
4 《物読み
4 《皮剥ぎの鞘

-呪文(27)-
3 《払拭
2 《電謀
2 《大祖始の遺産
3 《古えの遺恨
2 《部族養い
2 《心に静寂
1 《ティムールの激闘

-サイドボード(15)-

 ティムール(緑青赤)カラーのデッキが、最近のリーグ戦では好成績を収めているようである。昔から、「親和」における青と赤は鉄板であった。手札を高速ダンプするこのデッキにとっては、何よりも恐ろしいのは息切れ。《物読み》はそれを緩和する、素晴らしい1マナ2枚ドロー(になり得る)呪文だ。また《感電破》は数少ない除去として、そして最後の数点のライフを削り切る一押しとして用いることができる、万能1マナ呪文だ。これらが使える限り、「親和」から青と赤が抜けることはない、と言っても決して過言ではない。

 これらに加えて緑が採用されているのは、《甲殻の鍛冶工》というコモンの《タルモゴイフ》を擁するからだ。

 ......うん、これは言い過ぎた。でも、往々にして2ターン目に4/4として出てくる2マナのクリーチャーなんてそうそういない。このエルフ自身はアーティファクトではないので、それらへの対策で積まれたカードの影響を受けにくいのも評価できる点だ。アーティファクト・土地2枚に《バネ葉の太鼓》《金属ガエル》、そして《甲殻の鍛冶工》という手札がキープできれば、2ターン目には2/2と4/4を戦場に並べることができる。まさしくロケットスタート!

 また、緑を採用するとサイドボードが強くなる点も見逃せない。同型を中心に活躍する超万能アーティファクト除去《古えの遺恨》、「バーン」のようなガシガシと手札を消費してライフを削りに来るデッキに効果的な《部族養い》、そしてこのデッキの場合はエンチャントに触れる手段も緑にゆだねている。

 《心に静寂》はすべてのオーラを破壊するというニッチな役割を2マナという軽さで担うインスタントだ。これはいわゆる「ボーグルズ」系の、呪禁持ちにオーラをペタペタ貼って強化して殴るデッキ対策として用いる。

 話は少々戻って......青には期待の新人《歯車襲いの海蛇》もある。ズラズラアーティファクトを並べた後に、2マナで召喚できる5/6という頼もしいヤツ。

 {U}{U}が簡単に支払えるものではないので採用枚数は抑えめであるが、リーグ戦を回しているとこれを2枚以上採用したデッキと対戦することもあった。より青を濃くした「親和」が今後主流になる可能性もあるね。《厳粛な空護り》のような強い飛行クリーチャーも使えるしね。

 ただ赤も負けていない。必殺コンボは、他の追随を許さない殺傷能力を誇っている。《エイトグ》にたらふくアーティファクトを食わせた上で《投げ飛ばし》、あるいは《ティムールの激闘》で二段攻撃・トランプルを与え、二撃必殺ッ! アーティファクトが5つ以上並んでいる状況で対戦相手が迂闊にガードを下げると、これで仕留めることが可能だ。うまく《マイアの処罰者》なんかを囮にして、《エイトグ》を活かすように心がけると良い結果に繋がることだろう。僕はこのコンボの感触が非常に良かったので、《ティムールの激闘》の枚数は増やしたいくらいだ。

※《エイトグ》はMagic Online限定セット『Masters Edition 4』にてコモンで再録されています。

 各デッキとの体感相性(あくまで僕個人の感想)は......青黒のコントロール系のデッキには有利、「バーン」相手にも骨太なクリーチャーと《部族養い》で有利に立ち回れる。「ボーグルズ」には割とケチョンケチョンにされてしまい、「赤白金属術」には、相手がビート主体の構成であれば五分、除去コントロール寄りだった場合は苦しい......といったところだ。不利な相手でも隙を見せれば《エイトグ》で仕留めることができるので、祈りながらその時を待つ、くらいの心持ちでいると気が楽だね。

 Pauperはカジュアル・フォーマットであるため、プロがしっかり取り組むということがまだなされていない、真っ白な大地だ。このデッキも回していて、アレも欲しいしこれも試してみたいと思ったものだ。何度もオススメしているが、自己表現系プレイヤーには向いているフォーマットだと思うよ!

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