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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・フラッシュ(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・フラッシュ(モダン)

by 岩SHOW

 モミール・ベーシック(※1)なんかをやっていると、近年のクリーチャーの性能がいかに高いのかを思い知らされる。昔はとにかくデメリット持ちばっかりだったが......最近ではとりあえず最低でもキーワード能力を与えられているというクリーチャーが圧倒的に多く、僕も口癖が「これ『テンペスト』の頃ならレアですよ!?」になってしまったほどだ。

(※1:Magic Online独自のフォーマットで、《シミックの幻想家、モミール・ヴィグ》のアバターを用いて「{X},カードを1枚捨てる:点数で見たマナ・コストがXである、無作為に選ばれたクリーチャー・カード1枚のコピーであるトークンを1体戦場に出す。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動でき、各ターンに1回しか起動できない。」という能力を用いて、基本土地のみで構成されたデッキで対戦する。ランダムに生成された怪物たちが飛び交う、ハチャメチャ楽しいフォーマットだ)

 キーワード能力の中でも特に強いものは2つ。1つは絆魂で、これはダメージレース(※2)の概念を破壊してしまう。《グリセルブランド》しかり、大型クリーチャーがこれを出すまでの間に受けたダメージをチャラにするために持っていることが多い。《ワームとぐろエンジン》などのフィニッシャーと呼ぶにふさわしい怪物たちだ。

(※2:主にクリーチャーを用いるデッキ同士で起こる、殴り合う状況。このままだと対戦相手がレースに勝つ=こちらのライフが0になるので、そうならないようにブロッカーを用意したり除去をここで使ったり、火力をクリーチャーとプレイヤーどちらに撃つかを考えたり......という駆け引きを、高パワー絆魂持ちで力業で打ち破る!)

 ではもう1つの能力は? 個人的には瞬速かなと。かつてはこの能力を持っているだけでも相当に珍しかったものだが、最近では青を中心にコモンもこのキーワード能力を持っていたりして、たまげる。レア・神話レアに至っては《ヴェンディリオン三人衆》《瞬唱の魔道士》《修復の天使》と強いものばっかり。最近でも《呪文捕らえ》《大天使アヴァシン》が「青白フラッシュ」なるデッキを成立させているのはご存知の通り。

 今日はそんなフラッシュ(瞬速持ち)クリーチャーたちを用いたモダンのデッキを紹介しよう。「ジェスカイ・フラッシュ」だ。

Pierre Bousquet - 「ジェスカイ・フラッシュ」
GPT Modern @ MagicCorp (Paris, France) ベスト4 / モダン (2016年12月10日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《平地
1 《
1 《神聖なる泉
2 《蒸気孔
1 《聖なる鋳造所
4 《溢れかえる岸辺
4 《沸騰する小湖
4 《天界の列柱
1 《氷河の城砦
1 《硫黄の滝
1 《幽霊街

-土地(24)-

4 《瞬唱の魔道士
4 《呪文捕らえ
2 《刃の接合者
2 《ヴェンディリオン三人衆
3 《修復の天使

-クリーチャー(15)-
4 《稲妻
4 《流刑への道
4 《血清の幻視
2 《呪文嵌め
3 《稲妻のらせん
2 《否認
2 《謎めいた命令

-呪文(21)-
2 《刃の接合者
2 《イゼットの静電術師
3 《祖先の幻視
2 《外科的摘出
2 《払拭
1 《呪文貫き
1 《安らかなる眠り
1 《塵への崩壊
1 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 ジェスカイ(白青赤)カラーのこのデッキ、メインデッキ60枚中、土地と《刃の接合者》《血清の幻視》を合わせた30枚を除いた残りの30枚のカードが、インスタントおよび瞬速持ちで構成されており......対戦相手の動きを見てから動く、後出しじゃんけんデッキとして仕上がっている。

 デッキとしては、とにかく構えて戦う。土地を置く、ターンエンドを静かに繰り返す序盤。対戦相手がクリーチャーを展開して来たら、軽い除去呪文で即座に対処。また出してきたら......《瞬唱の魔道士》で除去をフラッシュバックしてどかす。

 自分のターンではこれでアタック、エンド。対戦相手が何かしらの呪文を唱えて来たらこれを打ち消す。《呪文捕らえ》ならば殴る値も増えてなおよし。

 こうやって、盤面には自身のクリーチャーしかいないという状況を作りながら、コツコツと殴っていって最後は火力を本体に撃ち込んでドンッと勝つ。典型的なクロック・パーミッションだ(※3)。悠然と構えながらジワリと詰めていく、王道マジックスタイルであるため、特にオールドファンからすると魅力的に映るデッキだと思うね。

(※3:打ち消し呪文でガチガチに固めたコントロールデッキおよび戦略を、それに対する対戦相手が「この呪文は良いですか?」と許可を求める様子から「パーミッション」と呼ぶ。この打ち消しを用いるパーミッション系のデッキでありながら、早いターンに《タルモゴイフ》のようなクリーチャーを展開して殴りながら対戦相手の行動を縛っていくものを「クロック・パーミッション」と呼ぶ。クロックとはダメージ源全般を指す俗語)

 このデッキのクリーチャーはすべて戦場に出た時に誘発する能力を持っているので、《修復の天使》の強さもマシマシ。《刃の接合者》でゴーレムを増やして殴り勝つ、《呪文捕らえ》《ヴェンディリオン三人衆》を使いまわして妨害する、そして《瞬唱の魔道士》でアドバンテージをガッチリ稼ぐ......これらを対戦相手の除去に対応して行えれば最高だ。対戦相手に対して「何をやってもダメじゃないか......」と思わせ心を折ってやろう。

 クロック・パーミッションの常として、コンボデッキ相手には強いのだが......現モダン環境のコンボと言えば、「アドグレイス」というダメージを受けることに対して耐性のあるものが台頭している。

 基本的には肝となる《むかつき》を打ち消せば問題ないが、これは《呪文捕らえ》ではキャッチ不可の5マナの呪文だったりもして、舐めてかかると痛い目を見そうだ。《五元のプリズム》などのマナ加速や《手練》のような手札を整える呪文をしっかりと《呪文捕らえ》《呪文嵌め》で弾きつつ、最速の動きを意識して立ち回ろう。《呪文捕らえ》で一度追放した《五元のプリズム》は、《呪文捕らえ》が戦場を離れて再度唱えられても色マナが支払われていないので烈日能力が機能しない。これを忘れずに、恐れずに《修復の天使》で使いまわしてやろう!

 コンボデッキや細かいクリーチャーを真面目に展開してくるデッキに対しては有利に立ち向かえるはずなので、自分の周りにそういったデッキが溢れているなら一考の余地があるデッキだと思う。フラッシュ界でも屈指のパワーカード《奔流の機械巨人》を採用してみても楽しいぞ!

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