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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:神秘の指導(Pauper)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:神秘の指導(Pauper)

by 岩SHOW

 マジックがこの世に生を受けた時にそれは既にあった。《Demonic Tutor》......サーチカードである。ライブラリーから直接カードを探して手札に加えるこのカードは、どんな局面でも役に立つカードであり、マジック壊れカード殿堂にもその名を連ねている(そんなものはないが、いつか書いてみたい)。

 たった2マナでデッキに入っているカードなら何でも持ってこれるこのカードはさすがに強すぎるので、以降作られたサーチの類はもっとコストを重くしたり、サーチ可能なカードに制限をかけたりといった調整が施された。手札ではなくライブラリーの一番上に置くという形でデザインされた《吸血の教示者》《神秘の教示者》らはその軽さが強みで、数々のコンボデッキを成立させた。恒久的に使用可能なクリーチャーサーチ《適者生存》はひとつの時代を作り出した。サーチしたものを戦場に出しちゃう《修繕》はぶっ壊れだったな......。サイドボードからサーチするという斬新さに驚かされた《燃え立つ願い》らウィッシュサイクル。《冥府の教示者》はパワーバランス的にも素晴らしく、今でもコンボデッキや「ランタン・コントロール」を支えている......他にもまだまだあるが、サーチカードというもの基本的に強力なものが多く、これらが特殊なデッキを成立させる。

 《神秘の指導》もそんなサーチカードの系譜に名を連ねる1枚であり、熱烈なファンが世界中に存在している。このカードはインスタントと瞬速を持ったカードをライブラリーからサーチするというもので、マナ・コスト自体は4マナと重いがこれ自身もインスタントであり隙無く使えること、フラッシュバックを持っているので1枚で2度おいしいことから、これを用いて状況に適したインスタントをサーチするコントロールデッキが多数作られた。ブロック構築、スタンダード、モダンと数々のフォーマットで大規模トーナメントにて活躍するデッキがデザインされたものである。全世界のコントロールマニアたちはこれらのデッキを見て歓喜の声をあげたことだろう。

 そんな《神秘の指導》デッキを今日でもプレイできると知ったら、食いつく方もいらっしゃるのでは? 今日はこのカードが現役でバリバリ活躍中の、Pauperに存在する青黒コントロールデッキを紹介しよう!

Travis Hobrla - 「神秘の指導」
Rags to Riches 7 優勝 / Pauper (2016年11月19日)[MO] [ARENA]
6 《
2 《
1 《
4 《陰鬱な僻地
3 《ディミーアの水路
1 《ボジューカの沼
4 《砂漠
4 《灰のやせ地
2 《光輝の泉

-土地(27)-

3 《海門の神官

-クリーチャー(3)-
3 《清純のタリスマン
2 《探検の地図
1 《見栄え損ない
1 《恐ろしい死
1 《ミューズの囁き
4 《対抗呪文
3 《チェイナーの布告
3 《熟慮
1 《剥奪
1 《肉貪り
1 《悪魔の布告
1 《残響する衰微
1 《本質の散乱
1 《霊魂放逐
1 《大量の芽吹き
1 《転覆
1 《墓所への乱入
1 《除外
1 《肉体の奪取
4 《神秘の指導
3 《エヴィンカーの正義

-呪文(36)-
2 《水流破
2 《自然の要求
1 《見栄え損ない
1 《払拭
1 《恐ろしい死
1 《チェイナーの布告
1 《黒の防御円
1 《赤の防御円
1 《交錯の混乱
1 《血まみれの書の呪い
1 《除外
1 《エヴィンカーの正義
1 《平地

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 コモン限定構築、Pauper。Magic Online上でコモンカードとしてリリースされているカードを用いてデッキを構築するフォーマットで、これがやってみるとなかなか面白い。何も知らずに適当に手持ちのカードでバーンを組んで参加した時には「こんなカードが使われているのか!」とワクワクしながらボコボコにされたものである。デッキの組み甲斐は他の構築フォーマットと比べて遜色のないものだ(マジックオタクであれば、なおさらね)。

 話は戻ってこの《神秘の指導》コントロール。可能な限りの青黒インスタントを揃えてみた!という構築がなんとも素敵である。デッキの基本的な動きは「ドローゴー」。ドローして土地を置いてゴー(ターン終了宣言)を繰り返す。対戦相手のターンにてマナを使用して呪文を打ち消したり、パーマネントをバウンスしたり、カードを引いたり、《神秘の指導》したりする。昔ながらのヘビー・コントロールデッキで、触れば謎の懐かしさを覚えるかもしれない。

 何と言っても《対抗呪文》を4枚使えるのが良い。このカード=わが青春なプレイヤーにはたまらないことだろう。《神秘の指導》と青3マナ含む6マナあれば、どんな時でも呪文を打ち消すことができる。いざという時のために《対抗呪文》をとっておくために《霊魂放逐》《本質の散乱》《除外》《否認》といった対象が限定されるカードを優先的に使っていくのも良いかもしれない。そのあたりは手札と残りのライブラリー内のカードと相談だ。

 クリーチャーも豊富なインスタント除去で徹底的に排除。《秘密を掘り下げる者》を2体以上展開、なんてことをしてきたうかつ者には《残響する衰微》で痛い目を見せてやろう。インスタントではないが、黒いコントロールデッキの嗜みとして《チェイナーの布告》がしっかりと採用されている。フラッシュバックは正義。

 正義と言えば、《エヴィンカーの正義》もこのデッキの特徴と言える。Pauperにおける数少ない全体除去であり、少々重いがバイバックで繰り返し使うこともできる。対戦相手のライフを削ることもできるので、フィニッシャーの仕事も兼ねている(自分のライフには注意)。同じ黒いコントロールでも「黒単コントロール」ならより扱いやすい《墓所のネズミ》なんかを使うのだが、このデッキではそこまで黒マナを大量に注げるわけではないしね。

 クリーチャーでないパーマネントに対抗するには《転覆》、墓地利用系デッキとのマッチでは《墓所への乱入》と、特定の相手を撃ち抜く銀の弾丸はしっかりと搭載されている。他に目を引くカードとしては、《大量の芽吹き》がある。

 これは《海門の神官》と併せて、このデッキの数少ない勝ち手段のひとつである。《神秘の指導》でサーチしたら、対戦相手のターンエンドが来るたびにバイバック込みでこれを唱えて、戦場に苗木を大繁殖させよう。このカードのバイバック・コストは召集能力で支払うことができるので、後半はほとんどマナを使わずに増えていくことだろう。《エヴィンカーの正義》《転覆》と揃って、バイバック・デック・ウィンと呼びたくなってくる。

 《神秘の指導》といい、各種フラッシュバック・バイバックコストといい、とにかくマナを食うカードが多数投入されているので、土地はたっぷり27枚。

 注目は、なんと《砂漠》が採用されているところ。4枚ガッツリ採用すれば、これによるダメージで攻撃クリーチャーをプチプチと潰していける(戦闘終了時にしか使えない能力なのでダメージは受けてしまうが)。

 そして《灰のやせ地》という最新カードを使っているのも面白い。無色マナでも良いからマナを伸ばしたい時にはそのまま置けて、色マナが欲しければ基本土地サイクリング可能というのは使い勝手が良さそうだ。これも最新のサーチカードであると言えよう。

 しっかりと『統率者(2016年版)』までチェックして作られているデッキで、Pauperやり込みプレイヤーの実力を見せつけられた、あっぱれ! ちょっと気分転換に、僕もやんちゃなPauperデッキ組んでみるかな!

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